片耳が聞こえない・耳鳴でお困りの方へ

一側性高度難聴に対する人工内耳治療のご案内

山口大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科

突発性難聴などの治療後も、片耳の聞こえにくさや耳鳴が続いていませんか。片耳の聴力が大きく低下した「一側性高度難聴」では、検査の結果によって、人工内耳が治療の選択肢となる場合があります。現在は通院していない方も、まずはご相談ください。

複数人での会話で聞こえにくさを感じる場面

複数人での会話で聞こえにくさを感じる場面のイメージ

このような症状はありませんか

・騒がしい場所で会話が聞き取りにくい

・聞こえにくい側から話しかけられると気づきにくい

・音がどちらから聞こえるのか分かりにくい

・会議や複数人での会話についていきにくい

・聞こえにくい耳の耳鳴が続き、仕事や日常生活の負担になっている

人工内耳とは

人工内耳は、音を電気信号に変え、聞こえにくい耳の聴神経を刺激して聞こえを補う医療機器です。体の外で音を拾う装置と、手術で体内に埋め込む装置を組み合わせて使います。耳の奥にある蝸牛(かぎゅう)という部分に電極を入れます。音を大きくする補聴器とは、聞こえを補う仕組みが異なります。

蝸牛の内部に人工内耳の電極が挿入されている様子を示す模式図

蝸牛の中に電極を挿入した状態の模式図
理解を助けるために簡略化しています。形状や挿入範囲は製品・症例により異なります。

期待できる効果と個人差

聞こえにくい側からも音の情報を取り入れることで、騒がしい場所での会話の聞き取り(雑音下聴取)や、音の方向を判断する力(方向定位)が改善する可能性があります。また、難聴のある耳の耳鳴が軽減し、負担が軽くなる方もいます。

効果には個人差があり、聞き取りや方向の判断、耳鳴の改善を保証するものではありません。元の聞こえに戻る治療ではなく、新しい聞こえに慣れるための練習が必要です。十分な効果を実感できない場合もあります。耳鳴だけで手術の対象が決まるわけではありません。

治療の対象になるかは検査で判断します

突発性難聴などによって片耳に高度な難聴が残り、ほかの治療や補聴器では十分に聞こえを補えない方などが検討の対象です。長年聞こえにくい方も相談できますが、難聴の期間などによって効果が限られる場合があります。

両耳の聴力、ことばの聞き取り、騒がしい場所での聞き取りや音の方向の判断、画像検査などをもとに、治療の適応を総合的に判断します。難聴の原因や発症時期、補聴器などの効果、全身の状態、術後の通院・練習の見通し、ご本人の希望も確認します。補聴器や、聞こえにくい側の音を反対側へ届けるCROS(クロス)補聴器なども含めて相談します。

治療の流れ

診察・検査で適応を確認し、期待できる効果と限界、手術の方法やリスクについて説明します。そのうえで、ご本人と相談して治療方針を決めます。

人工内耳治療には入院と手術が必要です。手術では体内装置を埋め込み、蝸牛に電極を挿入します。手術に伴い、めまい、味覚の変化、感染、残っている聴力の低下などが生じることがあります。入院期間や個別のリスクは診察時に説明します。

術後は傷の状態を確認して装置の使用を始め、音の感じ方に合わせて調整する「マッピング」と、音やことばを聞く練習をする「聴覚リハビリテーション」を行います。日常での装用と、定期的な通院・調整を継続し、少しずつ新しい聞こえに慣れていきます。

保険診療と費用について

2026年から、一側性高度難聴に対する人工内耳治療は、所定の条件を満たす場合に保険診療の対象となっています。個別の保険適用については診察・検査で確認します。

保険診療の自己負担には、高額療養費制度を利用できます。保険適用の医療費について、原則として1か月(1日から末日まで)の自己負担が上限額を超えた場合に、超えた分が支給される制度です。上限額は年齢や所得などによって異なります。入院中の食事代や差額ベッド代などは対象外です。

費用の見通しや利用手続きは、加入している医療保険の窓口、または当院の[医療費相談窓口名]にご確認ください。

受診のご案内

山口大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科
担当外来:耳科手術外来または難聴遺伝子外来 受診方法:再診の場合は電話で予約、初診の場合は主治医の先生の紹介状を取得してください
予約・問い合わせ:0836-22-2520
受付時間:平日8:30-17:00 

なお、急に聞こえが悪くなった場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診してください。

診療について
TREATMENT