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平野 均先生の今日この頃シリーズ

                       

季節性うつ病、今日この頃

 

 

 「体がだるく、勉強(仕事)に身が入らない。人と話すのも億劫で、気が塞いでしかたがない。」これは誰もが日常生活でよく経験することですが、医学的には「うつ状態」といいます。学生なら前期や後期の試験後に一時的にこの様な状態になることもあるでしょう。肝心の単位を落としていたら、症状は少しばかり重いかもしれません。一方、社会人でも根を詰めた後とか、転勤前後に軽いうつ状態になることはよくあります。しかし、このような元気の出ない状態はそう長くは続かず、気が付いてみると元通りになっていたということが多いものです。ですから、うつ状態が一二ヶ月も続くようでしたら、一度専門家に相談してみることをお勧めします。

 さて、うつ状態を訴えて精神科を受診される方は、このところ年々増加の一途を辿っています。うつ状態とはあくまでも一つの状態像にすぎませんから、精神科医は問診を繰り返し、心理検査や血液検査、さらには脳波やCT検査などの結果を参考にして、その原因を探っていきます。この様な過程をへて、うつ状態の一原因である「うつ病」が診断されていくのです。うつ病は数ある精神科の病気のなかでも、いち早く市民権を獲得しました。その理由には、先にも述べたようにうつ病が増えていっていることが挙げられますが、同時に「真面目な人がなる病気であり、ずぼらな人はならない。」という、うつ病になりやすい人の性格面が強調されてきた影響もあると思われます。「うつ病はステータスの一つ」とまではいいませんが、世知辛い世の中を正直に努力しながら生きてきて、途中少々息切れを起こしてしまったわけですから、これぞ日本人というJISマークの一つでも押してもらって差し支えないのではないでしょうか。

 近年、若い女性に多くみられるうつ病として、「季節性うつ病」が話題となっています。夏にうつ状態となる夏期うつ病の報告もありますが、これは極めて希であり多くは冬期うつ病です。秋から冬にかけて決まってうつ状態となり、春から夏にかけて症状は消失します。一般のうつ病と同様に、うつ状態の間は憂うつ感、いらいら感、不安感に苦しみ、また何をするにも億劫で元気が出ないと意欲減退を訴えます。しかし、一般のうつ病とは異なり、よく食べ、よく眠り、よく太るため、専門家を受診してもなかなかうつ病とは診断してもらえないハンディーがあります。一般のうつ病は、食欲が減退し月に5kg以上痩せることも希ではありませんし、「うつ病の早朝覚醒」は医師国家試験での丸暗記項目です。この様に辛い状態にありながらも、患者さんは決して人を悪く言わず自分の不甲斐なさを責められますので、「喰う・寝る・太る」タイプの季節性うつ病は少々分が悪く、私の患者さんは長いことヒステリーとして治療されていました。

 季節性うつ病が注目を集めるようになった理由には、一般のうつ病に用いられる治療薬が概ね無効であり、そのかわり光パルス療法が劇的に症状を改善させることが挙げられます。光パルス療法は、2500から3000ルックス程度の光を早朝2時間ほど浴びる(1分間に10秒程度光源を見つめる)治療法で、早い人では二三日中にも効果が現れてきます。

 季節性うつ病の初発年齢は20歳代前半で、2〜4倍の割で女性が多いといわれています。もしあなたが冬場に元気がなくなり、甘いものばかり食べて体重が増えるようなら、一度保健管理センターに相談に来てみませんか。

平成9年1月10日

 

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