Documenta11  

 6/8-9/15
 フリデリチアヌム美術館ほか、カッセル(ドイツ)

カタログについて

 Preface

 Essays:

 Okwui Enwezor, "The Black Box"

 Carlos Basualdo, "The Encyclopedia of Babel"

 Jean Fisher, "Toward a Metaphysics of Shit"

 Sarat Maharaj, "Xeno-Epistemics: Makeshift Kit for Sounding Visual Art as Knowledge Production and the Retinal Regimes"

 Molly Nesbit, "The Port of Calls"

 Ute Meta Bauer, "The Space of Documenta11: Documenta11 as a Zone of Activity"

 Boris Groys, "Art in the Age of Biopolitics: From Artwork to Art Documentation"

 Abdoumaliq Simone, "Globalizing Urban Economies"

 Angelika Nollert, "Realities of the Artistic Imagination"

 Mark Nash, "Art and Cinema: Some Critical Reflections"

 Sverker Sorlin, "Can Places Travel?"
 
 Artists

 Artists' Writings/Project Proposals for Documenta11

 Documenta11 Team

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 Platform 1-4

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 Authors

Volume II:
  Appendix
  Artists' Biographies
  List of Works
  Photo Credits


 序文
 論文:
  オクウィ・エンヴェゾー「暗箱」
  カルロス・バスアルド「バベルの百科事典」
  ジーン・フィッシャー「くそ形而上学へ向けて」
  サラ・マハラジ「異種-認識論―知の生産と網膜の制度として、威風ある視覚芸術のための間に合わせの道具」
  モーリー・ネスビット「呼び声たちの港」
  ウテ・メタ・バウアー「ドクメンタ11の空間―行為領域としてのドクメンタ11」
  ボリス・グロイス「生物政治学の時代の芸術―芸術作品から芸術資料へ」
  アブドウマリック・シモーネ「地球規模化する都市経済」
  アンジェリカ・ノレート「芸術的想像力のリアリティ」
  マーク・ナッシュ「アートと映画―批評的考察の断章」
  スヴェルカー・スーリン「諸所の場は旅することができるか?」
 作家の図版
 作家による寄稿
 ドクメンタ11組織
 所蔵先
 プラットホーム 1-4
 謝辞
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 著者紹介


展覧会構成

会場:
 フリデリチアヌム美術館(Fridericianum)
 ドクメンタ・ホール(Documenta-Halle)
 カルチャー駅(Kultur-Bahnhof)
 アウエ庭園内元宮殿栽培温室(Orangerie)
 ビンディング・元ビール工場(Binding Brewery)、ほかカッセル市内各所

アーティスティック・ディレクター
 オクウィ・エンヴェゾー(Okwui Enwezor)

共同キュレーター
 カルロス・バスアルド(Carlos Basualdo)
 ウテ・メタ・バウアー(Ute Meta Bauer)
 スザンヌ・ゲッツ(Susanne Ghez)
 サラ・マハラジ(Sarat Maharaj)
 マーク・ナッシュ(Mark Nash)
 オクタヴィオ・ザヤ(Octavio Zoya)


出品作品紹介



講義ノート

 ●第3世界出身のディレクター抜擢と共同キュレーター制

 オクウィ・エンヴェゾー:1963年、ナイジェリア、カラバー生まれ。82年、ニューヨークへ移住し、政治学と文学を学ぶ。アフリカ現代美術の批評誌『Nka』を創刊、編集にあたる。97年、第2回ヨハネスブルグ・ビエンナーレのアーティスティック・ディレクター。98-2001年、シカゴ・アート・インスティテュートのキュレーター助手(Adjunct Curator)。

 カルロス・バスアルド:アルゼンチン生まれ。オハイオ州、ウェクスナー・アート・センター(the Wexner Center for the Arts)のチーフ・キュレーター。

 ウテ・メタ・バウアー:ドイツ生まれ。1985年以来、フリーのキュレーターとして活躍。ウィーン芸術アカデミー教授。フェミニズム、建築、社会政治学的言説と連関させた芸術理論を展開。

 スザンヌ・ゲッツ:アメリカ合衆国生まれ。シカゴ大学、ルネサンス・ソサエティーのエグゼクティヴ・ディレクター。

 サラ・マハラジ:南アフリカ生まれ。ロンドン大学、ゴールドスミス・カレッジ教授。エッケ・ボンク(Ecke Bonk)とともに、「網膜的、光学的、視覚的、概念的」展(retinal. optical. visual. conceptual)を企画(ボイマンス・ファン・ブーニンゲン美術館、ロッテルダム、2002年)。

 マーク・ナッシュ:ロンドン生まれ。イースト・ロンドン大学、主任講師(Senior Lecturer)。キュレーター、映画プロデューサー。ハーヴァード大学客員講師。1996年、映画「フランツ・ファノン―黒い肌、白い仮面」(イザック・ジュリアン監督)をプロディース。

 オクタヴィオ・ザヤ:カナリア諸島生まれ。ニューヨーク在住のインディペンデント・キュレーター。2003年のグアダラジャラ・ビエンナーレ、メキシコ(Guadalajara Biennale 2003, Mexico)の共同キュレーター。

 ●展覧会のテーマ

  「グローバリゼーション」、「文化多元主義」、「ポスト植民地主義」の時代の芸術―脱領域化された文化理解

  ・オクウィ・エンヴェゾー「暗箱」(カタログ p.42-55 所収)より

<芸術の革新性について>
p.43 According to Guy Debord, institutional formalism in the name of tradition and the avant-garde through its lofty invocation of innovation are locked in "[t]he struggle between tradition and innovation, which is the basic principle of the internal development of the culture of historical societies, [and] is predicated entirely on the permanent victory of innovation. Cultural [artistic] innovation is impelled solely, however, by that total historical movement which, by becoming conscious of its totality, tends toward the transcendence of its own cultural presuppositions--and hence towards the suppression of all separations." I

I Guy Debord, The Society of the Spectacle, New York: Zone Books, 1999, pp.130-31.

ギュイ・ドゥボーは、伝統と前衛、という枠組みを持った美術制度における形式主義が、「革新」という高尚な概念を度々引き合いに出すことを通じて、次のような状況に閉ざされていることを指摘している。即ち、「伝統と革新の間のせめぎあいは、歴史を持つさまざまな社会の文化面における内的な発展の基礎原理と言うことができるが、それは、革新側が永遠に勝利し続ける物語として語られるのが常である。しかし、文化的[芸術における]革新は、全体としてひとつに統一された歴史的な運動の内で推進されているのであるから、その革新というものも、全体性に大変意識的でありつつ、自らの文化的な前提条件に対する逸脱へと向かっている。そして同時に、全てのまったく独立した逸脱に対しては抑圧的な方向をとる。」

<展覧会の果たす役割>
p.55 What emerges in this transformation in different parts of the world produces a critical ordering of intellectual and artistic networks of the globalizing world. The exhibition as a diagnostic toolbox actively seeks to stage the relationships, conjunctions, and disjunctions between different realities: between artists, institutions, disciplines, genres, generations, processes, forms, media, activities; between identity and subjectification.

世界のさまざまに異なる場所において起こっているこのような変化の中で明らかになりつつあることが、グローバリゼーション化している世界の知的、芸術的ネットワークに決定的な秩序化を生み出している。展覧会は、状況診断的な道具箱として、異なるリアリティ同士の関係、つまり結合と切断を積極的に舞台に上げようとする。そのリアリティとは、さまざまな作家、機関、原則、ジャンル、世代、プロセス、かたち、メディア、行為の間にあるものだ。そしてまたアイディンティティーと主体化の間の関係もまた問題化している。

 ●ドクメンタ前史
  「documenta 1-9」(CD-ROM, (c)1997 CIS GmbH/documenta Archiv)より


 Documenta11公式サイト(英語版)へのリンク