講義ノート3


1 アヴァンギャルドのオリジナリティ 精読

  1-1 構成

1 ロダン芸術の複数性 p.122-p.126 下l.21
 (1)<地獄の門>の事情 p.122
 (2)横断する複数性 p.123-p.124 l.20
 (3)造物主神話 p.124 l.21-p.125 下l.26
 (4)オリジナリティと時代様式 p.125 下l.27-p.126 下l.21

2 オリジナリティと反復 p.126 下l.23-p.131 上l.11
 (1)アヴァンギャルドのオリジナリティ p.126 下l.23-p.127 下l.9
 (2)グリッド:芸術の起源 p.127 下l.10-p.128 下l.21
 (3)グリッド:反復、複数性、透明なシニフィエ p.128 下l.22-p.130 下l.15
 (4)モダニズムの言説による抑圧、機関=制度の結託 p.130 下l.16-p.131 上l.11

3 特異性と自発性 p.131 上l.15-p.135 上l.23
 (1)ピクチャレスクが露呈させる特異なものと公式的なものの共犯関係 p.131 上l.15-p.134 上l.28
 (2)モネ―瞬間的・独創的行為としての自発性の幻想 p.134 下l.1-p.135 上l.23

4 オリジナリティの脱構築 p.135 上l.27-p.136


1-2 分節ポイント

1 ロダン芸術の複数性 p.122-p.126 下l.21

 (2)横断する複数性
  p.123 l.1 しかし、ヴァルター・ベンヤミンの...

 (3)造物主神話
 p.124 l.21 ところで、怪物的な造物主としてのロダン神話から、...

 (4)オリジナリティと時代様式
 p.125 下l.27 しかしさらにもう一歩さがってみると、...

2  オリジナリティと反復 p.126 下l.23-p.131 上l.11

 (2)グリッド:芸術の起源
 p.127 下l.10 自らをアヴァンギャルドと見做す芸術家たち...

 (3)グリッド:反復、複数性、透明なシニフィエ
 p.128 下l.22 しかし、グリッドがこれらの芸術家たちを、...

 (4)モダニズムの言説による抑圧、機関=制度の結託
 p.130 下l.16 この視座からは、画面を再現=表象することによって...

3  特異性と自発性 p.131 上l.15-p.135 上l.23

 (2)モネ―瞬間的・独創的行為としての自発性の幻想
 p.134 下l.1 だがここは、十九世紀の絵画的実践の中でコピーが果たした役割や...



2 赤線を引くところ、青線の中でも特に重要なところ


  1 ロダン芸術の複数性
(1)<地獄の門>の事情 p.122

p.122 上l.8-9 "ナショナル・ギャラリーの展覧会には例えば、<地獄の門>の真新しい鋳造が含まれていた。"

p.122 上l.21-24 "ロダンは死に際して、彼の全財産をフランス国家に遺贈した。そこには、彼の所有になるすべての作品だけではなく、それを複数する全権、つまり遺産となった石膏の諸像からブロンズ像をつくる権利も含まれていた。"

p.122 下l.12 "...彼の死のときにあっても<門>はまさに大いに未完成だった。"

p.122 下l.18-19 "最初のブロンズは、芸術家の死の三年後の一九二一年につくられた。"

p.122 下l.24-26 "すべての<地獄の門>の鋳造は、オリジナル不在のもとに存在する複数のコピーの一例であると言うことができる"

(2)横断する複数性 p.123-p.124 l.20

p.123 l.9-11 "ロダンは幾多の石膏原形をブロンズであれ大理石であれ何らかの恒久的な素材に移すことなく残している。"

p.123 l.13-15 "鋳造の多くは鋳造所で行われ、その製作の進行中にロダンは一度も姿を現さなかった..."

p.123 l.27-p.124 l.1 "...ロダンの制作の核をなす石膏原形は、それ自体、型取られたものであり、それ故潜在的マルティプルだからである。"

p.124 l.13-16 "<門>それ自体、 ロダンの想像力がモジュール式に働くことを示すまた一つの例であり、そこでは同一の像が何かに取り憑かれたように繰り返され、位置を変えられ、組み換えられ、再結合されている。"

p.124 l.19-20 "...ロダンの制作手続きは、複製という事実を、このスペクトルの全域にわたって横断させるのである。"

(3)造物主神話 p.124 l.21-p.125 下l.26

p.124 l.23-24 "...造物主とは、自らのオリジナリティによって勝ち誇る、オリジナルの作り手だからだ。"

p.125 上l.9-12 "リルケの喚起するこうした人物像の群がりは、それらが異なった像から構成されていると信じさせる。しかもこの信念は、ロダンの周囲に育まれ、彼自身が自ら招き入れたオリジナリティ崇拝によって助長される。"

(4)オリジナリティと時代様式 p.125 下l.27-p.126 下l.21

p.126 上l.3-5 "近年の写真市場においてこのオリジナル文化―ヴィンテージ・プリント―は、十全に機能している。"

p.126 上l.8-下l.2 "これは勿論作者に対する機械論的な見方であり、・・・(中略)・・・古い印画紙と化学調剤をもう一度つくって、十九世紀のヴィンテージ・プリントのような見かけを甦らせることが可能であり、その結果、真正性が必ずしも技術の歴史の函数である必要はない、などの事柄が踏まえられていない。"
 ↑講師註:「見かけ」はあくまでも「見かけ」にとどまるという留保は可能である。

p.126 下l.3-6 "...写真的原作を「美的瞬間に近い」ときにつくられた一枚のプリントと特定する定式は、明らかに、時代様式という美術史的概念から指図された定式であり、鑑定という実践を有効にするものである。"

p.126 下l.7-8 "様式という概念にたたみこまれた真正性は、様式を発生したもの、すなわち集合的かつ無意識的に産出されたものと認識することから生じている。"

p.126 下l.10-12 "後世のコピーが人目にさらされるのは、まさにそれがその時代のものではないという理由によるのだ。"

p.126 下l.14-16 "一九七八年に鋳造された<地獄の門>が侵しているのではないかと感じられるのは、この時代様式の概念にほかならない。"

p.126 下l.18-19 "...賭けられているのは、オリジナルの文化に基礎を置く、様式というものの美学的権利だからである。"

  2 オリジナリティと反復 p.126 下l.23-p.131 上l.11

(1)アヴァンギャルドのオリジナリティ p.126 下l.23-p.127 下l.9

p.127 上l.4-6 "...前衛主義的な言説(ルビ:ディスクール)にあって、一つのことだけはずっと一定であるように見える。それはオリジナリティという主題である。"

p.127 上l.11-13 "過去に対する拒絶や清算以上のものとして、アヴァンギャルドのオリジナリティは、文字通りの起源、零地点からの出発、誕生と見做されている。"

p.127 上l.19-21 "...オリジナリティは有機体論的メタファーとなっており、形式的な創案ではなく、生命の源を指しているからである。"

p.127 下l.3-9 "ところで、もしアヴァンギャルドという概念それ自体を、オリジナリティのディスクールの函数と見做すことができるのだとすれば、前衛的芸術の現実の実践は、「オリジナリティ」とはそれ自体、反復と循環の地場から現れる作業仮説なのだということを、明かしてゆくこととなろう。視覚芸術におけるアヴァンギャルドの実践の中から一つの図形を、例として引くことができる。その図形とはグリッド〔格子〕である。"

(2)グリッド:芸術の起源 p.127 下l.10-p.128 下l.21

p.127 下l.10-16 "自らをアヴァンギャルドと見做す芸術家たち・・・(中略)・・・の作品において、グリッドがほとんど至るところに現れるということに加え、グリッドには、本質的に前衛の専有を許すいくつかの構造的特性がある。その一つは、言語を受け入れないということだ。"

p.127 下l.19-20 "グリッドはこの沈黙を促進し、この沈黙をさらに、語ることの拒絶として表出する。"

p.127 下l.26-28 "この沈黙は、単に、語ることに対してグリッドがはなはだ効果的なバリケードとして働くということだけでなく、外部からのあらゆる侵入に対してその網の目が発揮する保護力に起因する。"

p.128 上l.2-4 "...グリッドは、自然の空間性を、純粋に文化的な事物の限定された表面の中に折り畳んでしまった..."

p.128 上l.5-7 "そしてこの新たに発見された静寂の中に、多くの芸術家が聞き取ることができると考えたもの、それは《芸術 Art》の端緒であり起源であった。"

p.128 上l.8-10 "...グリッドは芸術作品がそこから自律性の約束を得る、芸術作品の完全な無関心性、絶対的な無目的性の表徴であった。"

p.128 上l.14-15 "そしてグリッドは、新たに白紙還元された美学的純粋性と自由の空間の中に誕生するということを感じさせる手助けをしたのだ。"

p.128 下l.6-8 "そしてグリッドは、絶えずパラドキシカルに発見される一個の紋切り型であるのとちょうど同じように、より深いパラドックスとして、一個の牢獄、そこに閉じ込められた芸術家が自由を感じるである。"

p.128 下l.16-19 "だから、グリッドに最も深く関わった芸術家たちの制作の過程を調べてみれば、彼らがこの構造に自らを委ねるようになってからは、作品は事実上発展するのをやめ、その代わりに反復に巻き込まれるようになると言うことができるだろう。"

(3)グリッド:反復、複数性、透明なシニフィエ p.128 下l.22-p.130 下l.15

p.128 下l.23-26 "...私は、彼らの作品を暗に否定的に記述しようとしているのではない。そうではなく、一対の語彙―オリジナリティと反復―に照準を定め、先入観なしに両者の結合を見つめようとしているのだ。"

p.128 下l.27-p.129 上l.3 "この二つの語彙は、・・・(中略)・・・ある種の美学的経済の中で、相互に依存し、相互に支え合いながら、一緒に結ばれているように見えるからである。"

p.129 上l.12-13 "...誰であれこのパテントを主張することはできない"

p.129 下l.2 "構造上、論理上、公理上、グリッドは反復することしかできない"

p.129 下l.6-10 "二十世紀のこれほど多くの世代にわたる芸術家たちが、このパラドキシカルな立場に自らを追い込んだ・・・(中略)・・・ということは、実に注目に値する事実である。"

p.129 下l.15-18 "...すなわち、その向こうにいかなるより深いモデルも指示対象もテクストも存在しない、争う余地のない零の場。しかし、芸術家と批評家と観客の数世代が感じてきたこの根源性の経験はそれ自体偽りであり、一種の虚構なのである。"

p.129 下l.20-21 "何故なら、グリッドはキャンバスの表面に後から従い、これを二重化するものだからだ。"

p.129 下l.25-28 "例えばそれはその網の目によって、キャンバスの織りという構造的組成のイメージを生み出し、その座標軸によって場の平面幾何学のメタファーを組織し、その反復によって、二次元的な連続性の広がりをかたちづくっているのだ。"

p.130 上l.1-2 "それはむしろ、反復によって表面を覆い隠すのである。"

p.130 上l.3-5 "...グリッドによって遂行される反復は、所与の絵画の現実の経験的画面に追従し、その後からやってこなければならない。しかしながら、グリッドという再現=表象的テクストはまた、この画面に先行し、それ以前にやってくるものでもあり、画面そのものが、何らかの一個の起源たることを妨げてさえいるのである。"

p.130 上l.10 "...あらゆる視覚的テクストが先在する..."

p.130 上l.11-19 "例えば実物大下絵の上にのせられた碁盤の目を持つ上紙は、ドローイングからフレスコ画への機械的な転写に使われ、あるいは、遠近法の格子は、三次元から二次元への知覚的転写を意図していた。あるいは、比例のような調和関係を図表化するための母型があり、また、絵画が一個の均整の取れた四辺形であることを再確認する無数の枠取り行為がある。こうしたすべてが、例えばモンドリアンの「オリジナル」な地たる画面が繰り返し―そして繰り返すことによって再現=表象するテクストなのである。"

p.130 上l.21-22 "...それは常に既に分割されたもの、複数的なもの(ルビ:マルティプル)なのである。"

p.130 上l.23-25 "私が画面の根源的な地位の虚構と呼んでいるものは、美術批評が誇らしげに、モダニズム絵画の画面の不透明性と名付けるものである。"

p.130 下l.2-15 "特異性、真正性、唯一性、オリジナリティ、オリジナル―これらすべての語彙は、この根源的契機(=不透明性:講師註)に依拠しているのであり、画面は、この契機の経験的例証をなすと同時に記号学的審級をなしているのである。もしモダニズムの快楽の領域が自己言及性の空間であるならば、この歓楽宮(ルビ:プレジャー・ドーム)は、非再現的で不透明なものとしての絵画的記号の記号学的可能性の上に立てられており、その結果シニフィエが、具体的なシニフィアンの余剰条件となるのである。しかし私たちの視座からすれば、こうである。シニフィアンは具体化され得ない、その物体性、その実体は虚構にすぎない。あらゆるシニフィアンはそれ自体、それを記号の媒介物として取り出した、あらかじめ与えられた決定の、透明なシニフィエなのであるこの視座から見るとき、不透明性などというものは存在しないのであり、ただ反復の底無しの体系の中への眼も眩むような落下へと通じる透明性があるだけなのだ。"

(4)モダニズムの言説による抑圧、機関=制度の結託 p.130 下l.16-p.131 上l.11

p.130 下l.20-22 "この視座の中では、モダニズムのグリッドは、ロダンの鋳造のように、論理的にマルティプル、すなわちオリジナルなき複製の体系なのである。"

p.130 下l.22-27 "この視座からは、モダニズムの美的実践の主要な媒介物の一つの真の条件は、・・・(中略)・・・不信の対象とされている片側、・・・(中略)・・・オリジナルにコピーを対置させる側に由来していると見做されるのである。"

p.130 下l.28-p.131 上l.1 "...モダニズムの批評の実践が抑圧しようと努め、現に抑圧してきた否定的な側なのである。"

p.131 上l.2-6 "...モダニズムとアヴァンギャルドは、オリジナリティのディスクールと呼び得るものの函数であること、このディスクールが、芸術制作の専門家たちの限定された集団よりも、もっと広範な利益に仕えている―それ故、より多様な諸機関=制度(ルビ:インスティテューション)からその燃料を与えられている、ということがわかる。"

p.131 上l.8-11 "...美術館と美術史家と美術の制作者が共有するディスクール実践なのである。・・・(中略)・・・これら全機関=制度は、オリジナルの印、保証書、証明書を見出すために結託したのである。"

  3 特異性と自発性
(1)ピクチャレスクが露呈させる特異なものと公式的なものの共犯関係

p.131 上l.15 "コピーがオリジナルを基礎付ける条件として常に現前する..."

p.131 下l.13-15 "...自然それ自体が「絵画の中に収まる可能性」と関連して構成されるということを発見するのを見つめながら感じているような、愉快なアイロニー..."

p.131 下l.18-19 "つまり風景は、それに先行する絵画の写しとなるのだ。"

p.132 上l.13-20
《ピクチャレスク》の六つの定義(一八〇一年の増補版ジョンソン辞典)
 (一)眼を悦ばせるもの
 (二)特異性(ルビ:シンギュラリティー)によって際立つ
 (三)絵画の力によって想像力を刺激する
 (四)絵画において表現される
 (五)風景画によき題材を与える
 (六)風景を引用するに相応しい

p.132 上l.21 "...特異性という概念は、意味上、他の定義と不和で..."

p.132 上l.27-下l.2 "...世界全般の中に趣が見出されるとき、その自然の排列は、既にどこかに存在している他の作品―一枚の「風景画」―をただ反復しているにすぎないと感じられるからである。"

p.132 下l.8-10 "...あらゆる瞬間に風景が浮かび上がらせるイメージと、それらの光景(ルビ:ピクチャー)が想像力の中に記入される仕方の函数なのである。"

p.133 l.7-9 "こうしてギルピンは、「重苦しい平板さ」に対置される「快い形態」の特許権は、既に絵画のものであるということを、私たちに再び保証するのである。"

p.133 l.11-14 "...特異なもの公式的なものもしくは反復的なものは、意味上は対立しているかもしれないが、それにもかかわらず両者は互いが互いの条件であるということ、すなわち、風景という概念の論理的両半分だということである。"

p.133 l.15-17 "...見る者にとって特異性は、・・・(中略)・・・先行例によてのみ可能な再=認識に依存しているからである。"

p.133 l.21-26 "今や、この一組の対立―特異(=単独)的と複数的―の経済は、ピクチャレスクという名の美学的エピソードの中に、容易に調べることができる。それは、芸術の新たな観衆層の発生に決定的な役割を果たし、特異性の認識、あるいは・・・(中略)・・・オリジナリティの認識の訓練としての趣味の実践に焦点をあてたエピソードであった。"

(2)モネ―瞬間的・独創的行為としての自発性の幻想

p.134 下l.4-6 "私はただ、自発性の記号ないし意味素が、いっそう組織化されコード化されて発達するための基盤の役割を、コピーが果たしたということを言っておきたい。"

p.134 下l.11-13 "《ポシャド》とは技法上の用語で、素早く描かれたスケッチ、速記法的覚え描きである。"

p.134 下l.19-21 "...極度の深慮によって施されねばならなかった・・・(中略)・・・この意味において自発性とは、その意味するものの中でも最も偽ったものであった。"

p.134 下l.25-26 "そしてこの速度によって、知覚的瞬間の特異性と経験的排列の唯一性の両方が示されるのだ。"

p.134 下l.28-p.139 上l.2 "言うまでもなく、こうした制作過程は―絵具の乾きに要する時間も合わせて―多くの日々を費やした。だが、自発性という幻想―瞬間的・独創的行為の噴出―は、揺るぎない帰結なのである。"

p.139 上l.8-10 "繰り返すことのできない分離した瞬間という幻想 は、いくつかの段階と部分に必然的に分割され、さまざまなキャンヴァスに同時に少しずつ流れ作業式に進められた、十分に深慮された制作手続きの所産なのである。"

p.139 上l.14-18 "複数のキャンバスに絶え間なく加筆してゆくことによる自発性の生産は・・・(中略)・・・最初にロダンの方法において私たちが見たのと全く同一の、特異(=単独)性と複数性、唯一性と複製という対の美学的経済を用いるのである。"

  4 オリジナリティの脱構築

p.135 上l.27-下l.1 "コピーという概念を抑圧しないとはどういうことか? オリジナルなき複製のディスクールを実演した作品を生産するとはどのようなことか?"

p.135 下l.5-7 "...少なくともその一つの答えは、それが写真的複製の概念とのある種の戯れのようなものに見えるだろうということである。"

p.135 下l.9-10 "...最近その作品が《ピクチャーズ》という批評用語によって同定されている一群の若手の芸術家たちの制作活動において開花した。★14"

★14 ダグラス・クリンプによる関連論稿として、展覧会カタログ「ピクチャーズ」(Pictures, New York, Artists Space, 1977)、及び論文「ピクチャーズ」("Pictures," October, no.8 (Spring, 1979), 75-88.)参照。

p.135 下l.11-13 "...それは最も徹底的に起源という概念、それと並んでオリジナリティの概念を問題化している..."

p.135 下l.23-25 "...レヴィンの剽窃行為は、このプリントを背後から、今度はそれが盗んだ、それ自体その再生産である一連のモデルへ向けて開く。"

p.136 上l.6-7 "それ故、写実主義とは、現実的なもののコピーにあるのではなく、一個の(描写された)コピーをコピーすることにあるのだ。"

p.136 上l.13-14 "...「オリジナル」のプリントを通り抜けて自然の中の起源へと遡及し、..."

p.136 上l.27-下l.2 "起源(ルビ:オリジナル)とオリジナリティという姉妹概念を脱構築し、ポストモダニズムは、自らと、アヴァンギャルドという概念的領域の間に裂け目を設け、今度は歴史的な分断を確立する懸隔のこちら側から振り返り、後者を見据えるのだ。"

p.136 下l.2-5 "アヴァンギャルドがモダニズムと共有した歴史的時代は終わった。・・・(中略)・・・この事実をジャーナリスティックなもの以上のものとしているのは、それを袋小路へと追いやったディスクールの概念構成である。"


シェリー・レヴィン(Sherrie/Sherry Levine)関連リンク

1 《無題(エドワード・ウェストンによる)》:Anna Nordström(Southern Cross University) によるポストモダニズム紹介サイトより

2 シェリー・レヴィンの言葉:ウォーカー・アートセンター所蔵作品紹介より

"I try to make art which celebrates doubt and uncertainty. Which provokes answers but doesn't give them. Which withholds absolute meaning by incorporating parasite meanings. Which suspends meaning while perpetually dispatching you toward interpretation, urging you beyond dogmatism, beyond doctrine, beyond ideology, beyond authority."
 

3 シェリー・レヴィンに関する総合的な情報:Ask/Art