八谷和彦展

OPEN SKY
 4/19-6/22 熊本市現代美術館


カタログについて

DVD + BOOKLET

Open Sky ブックレット(32頁)

 南嶌宏「飛ぶ教室―死を越えていくためのパンセ―」

 八谷和彦9千字インタビュー by キマタフユ

 作家による映像解説

 作家略歴他

・映像による作品紹介(約1時間20分)

SIDE RED

 視聴覚交換マシン

 ワールドシステム

 見ることは信じること

 ポストペット

 サンクステイル

SIDE BLUE

 ライト/デプス

 オーバーザレインボウ

 エアボード

 セントリフュージ

 オープンスカイ

特典映像:「30分でバック転できるかな?」


カタログより

 南嶌宏「飛ぶ教室―死を越えていくためのパンセ―」

最期の光景、力への過信に対するしっぺ返し

"よおく凝視してみるがいい。これが私にとって眼に映る最期の光景となるのだ。…(中略)…そう自らに言い聞かせるとき、こみ上げるように私たちを悲しませるのは、そのあまりの殺風景さなどではなく、私たちの中にあった、生まれたときに神から与えられたはずの、不思議な力の数々を大切にしてこなかったことに対する嘆きにちがいない。…(中略)…私たちはその力の存在に気づくことなく、仮に気づいていたとしても、私たちはある種の過信の中で、その存在に感謝することなく、生きてきてしまったからにほかならない。そして、その最期の瞬間、つまり私たちが死を意識する瞬間に、その自らの内なる力に復讐されるということなのだろう。"

"そして、その死に触れる飛翔と落下の総体を、私は八谷和彦の「飛ぶ教室」と呼びたいと思うのだ。それはまさしくナチの死の恐怖に怯えた時代の、あの愛に満ちたエーリヒ・ケストナーの「飛ぶ教室」に重なり、少年と少女だけで生きていくことを決意する、楳図かずおの「漂流教室」とも溶け込んでいく八谷和彦の教室なのだ。"

 八谷和彦9千字インタビュー by キマタフユ

メーヴェ:『風の谷のナウシカ』:反戦

p.11 "…《オープンスカイ》は、『風の谷のナウシカ』に出てきたメーヴェの実物を作ろうという企画なんです。前に作った、《エアボード》が飛ぶと思っている人が多くて。勿論、浮いてはいるんだけど飛ぶ訳じゃない。だったら、今度は飛ぶモノ作るぞと思ったんです。メーヴェは、劇中のままのデザインだと飛ばないので、航空力学をやっている方に計算してもらって、似た形で、実際飛ぶものを作っているんです。"

pp.11-12 "見ていると武器同然なんですよ、このスケールのラジコン機は。…(中略)…もちろん僕は武器を作りたいわけじゃないんですが、そういう現実があるということも込みで作品を作りたいと思うんです。それが僕なりの反戦運動。かつては、軍事力=国家予算だったけど、9.11以降は、そうじゃないことがわかったわけですからね。あのときなんか武器はカミソリだったわけだし。そういう風に軍事力があるい意味無力化しているのに、今戦争をやって憎まれるのは本当にばかげている、というのが自分の気持ちで、今回メーヴェを作るのは、むしろ見た感じピースな感じがするものを最新技術でつくってみたいなって思ったからなんだけど、でも個人が飛行機をつくる裏にはそういう意味もあります。もともと《Open Sky》は条約の名前で、空の自由化っていうことなんですよ。アメリカが提唱していたもので。僕は、自分の作品に、誰でもわかる名前をつけたいんです。《ポストペット》もそうですけど。小学生でもわ かる英語じゃないですか"


リンク

 ・八谷和彦

 ・art cocoon

 ・PostPet

 ・熊本市現代美術館
   /Open Sky 八谷和彦展 - ポストペットからメーヴェまで

(03/06/18)