2003前期期末試験

実施日時:2003年7月24日(木) 14:30〜16:00(90分)


 (各5点、計15点)

1 以下に示される各著書の著者名を(a)〜(c)から選び解答用紙に記せ。

   (1)『描写の芸術』  (2)『絵画の政治学』  (3)『ルネサンス絵画の社会史』
  
(a) マイケル・バクサンドール  (b) スヴェトラーナ・アルパース  (c) リンダ・ノックリン
 

(各3点、計30点)

2 以下に示される(イ)〜(ヌ)の短文のうち、内容の正しいものに○印を、誤ったものに×印をそれぞれ解答用紙の各欄に記せ。

  (イ) バクサンドールは、1933年生まれ。ナショナル・ギャラリー、スコットランドの館長を務めた

 (ロ) バクサンドールは、一貫して絵画を<社会>との関連のなかでとらえようとしている。

 (ハ) バクサンドールの社会的関心が<共時的>であるのに対し、パノフスキーのイコノロジーに代表されるような、いわゆるヴァールブルク学派が得意とした「古典的伝統」の研究は<通時的>である、という対比は可能である。

 (ニ) アルパースの研究は、ミシェル・フーコーの表象論から大きな影響と刺激を受けている。

 (ホ) 「描写的芸術」は遠近法的絵画モデルを前提としている。

 (へ) アルパースは、図像学を唯一の解釈手段とする美術史に疑問を投げかけ、隣接諸学科に開かれた美術史のあり方を探った。

 (ト) ノックリンは美術史におけるリヴィジョニズムの中心的な先駆者である。

 (チ) フェミニズム美術史は、美術作品のうちに、いかに意味が生成されるかという中心的問題を再問題化し、再構築する。

 (リ) 列伝史という「美術家の歴史」から様式史という「美術作品の歴史」へ、決定的な転換を成し遂げたのは、十六世紀イタリアのジョルジョ・ヴァザーリである。

 (ヌ) 様式論にせよ、イコノロジーにせよ、美術史学の歴史は主としてイタリアとフランスの学者たちによって牽引されてきた。
 

(各5点、計30点)

3 次の文を読み、空欄となっている( A )〜( F )に、文の下に記されている(1)〜(17)のうち最も適当と思われる言葉を補い、文を完成せよ。解答用紙には、( A )〜( F )の各欄に該当する言葉を(1)〜(17)の番号で記すこと。

 十五世紀のひとつの絵画作品は、ひとつの( A )の証である。十五世紀の絵画のうちすぐれた作品は、注文に基づいて制作されたのであり、顧客は自分用の細かな仕様書を用意したうえで( B )に作品を依頼した。現代の( B )であったら、自分にとって最良の作品を描いてから次に買手を探すが、こうした( C )以降の状況と比べると、十五世紀の絵画の取引はまったく異なっていた。つまり、( B )はふつう市民すなわち俗人の個人や宗教団体か修道院の長、また君主やその役人といった顧客とかなり直接的な関係を結んでいたということなのである。( D )の人脈がひどく込み入っている場合でも、( B )はたいてい特定できる人のために作品を作った。そしてその( D )は、絵画の依頼を思い立ち、( B )を選び、作品の姿を思い描きながら絵が完成するまで関わり続けたのである。十五世紀当時の絵画取引の様子は、契約書によって知ることができる。さまざまな取引の具体例をもっとも明確に見ることができるのは( E )においてである。そしてさらに興味深いのは、十五世紀の時の流れにつれ契約条項の強調点が変化していることである。高価な絵具はさほど重視されなくなる一方で、( B )( F )に対する要求が増してゆくのである。

(1)人間関係  (2)社会関係  (3)時代精神  (4)画商  (5)画家  (6)評論家  (7)中世 (8)ルネサンス  (9)近代ロマン派  (10)十九世紀印象派  (11)注文主  (12)パリ  (13)ローマ  (14)フィレンツェ
(15)知名度  (16)革新性  (17)技倆 
 

(15点)

4 「物語的芸術」と「描写的芸術」について、以下の言葉のうち5つ以上をアルパースの論点に沿って的確に使用し、対比的に論述せよ(字数制限なし)。

イタリア・ルネサンス絵画  一七世紀オランダ絵画  遠近法  人文主義  写実主義
様式分析  図像解釈
アルベルティ  パノフスキー  バクサンドール  意味としての深層  描写としての表層
 

(10点)

5 新しい美術史学と旧来の美術史学との違いは何か。自由に論述せよ(字数制限なし)。

 

 

評価基準は、優:100〜80、良:79〜70、可:69〜60、不可:59〜0である。本試験の素点に各自の出席数による調整点を加算したものを評点とする。また、4、5の解答のうち優れたものは、試験問題を蓄積し、今期以後の学生の参考に供するため、Web上で公開する予定である。