2003後期期末試験
実施日時:2004年1月29日(木) 14:30〜16:00(90分)
(各5点、計15点)
1 以下に示される(1)〜(3)のキーワードに最も関係の深い著者名を(a)〜(c)から選び解答用紙に記せ。
(1)脱構築 (2)人文科学の考古学 (3) フェミニスト美術史
(a)
グリゼルダ・ポロック (b)
ジャック・デリダ (c)
ミシェル・フーコー
(各3点、計30点)
2 以下に示される(イ)〜(ヌ)の短文のうち、内容の正しいものに○印を、誤ったものに×印をそれぞれ解答用紙の各欄に記せ。
(イ) ポロックについては、ロジカ・パーカーと共著の『女・アート・イデオロギー』も邦訳されている。
(ロ) ポロックは、アーティストの聖性と芸術の独立性という価値観は、父権主義的な美術史学のイデオロギーである、と批判した。
(ハ) 「なぜ女性の大芸術家はいなかったのか?」という問いは、「なぜなら女性が偉大になることは不可能だから」という否定形の答えを誘導するようにできている誤った問いである。
(ニ) ヴァザーリは、女性アーティストのアンギッソラについて記述するとき、彼女の社会的地位の高さではなく、画家としての技術の高さに力点をおくことで、気高き芸術家という彼の理想と合致させた。
(ホ) 「混在郷」は人に慰めをもたらし、「非在郷」は人を不安にさせる。
(へ) フーコーは、コード化された視線と反省的認識とのあいだに、秩序の存在そのものを解き放つ中間分野があるという。
(ト) 言語と絵画との関係は無限な関係であり、両者はたがいに他に還元しえぬものである。
(チ) ベラスケスの代表作《ラス・メニーナス》では、画面左から、画家、跪いた侍女、国王夫妻を映す鏡、片足を階段にかけた男性、王女マルガリータ、…の順に描かれている。
(リ) パス=パルトゥーは、デッサン、版画などにつけられる作品を組み込む部分をくりぬかれた台紙のこと。デリダの『絵画における真理』では、序文や緒言に相当するテクストにこの表題が与えられている。
(ヌ) 同数の語、記号、文字、同一の意味論的な内容に対して同量のあるいは同一の経費、しかも同じだけの剰余価値の収益をもって翻訳されることは不可能だ。
(各5点、計35点)
3 次の文を読み、空欄となっている( A )〜( G )に、文の下に記されている(1)〜(16)のうち最も適当と思われる言葉を補い、文を完成せよ。解答用紙には、( A )〜( G )の各欄に該当する言葉を(1)〜(16)の番号で記すこと。
( A )で表現された「( B )」は、次の四つの意味に理解しうる。一つ目は、物自体に関係するもの。それは、描き出された(=絵画における)真理でありながら、完全なる一致を示す直接的な( C )であり、そのもの自体として形象化されることによって、仲介物も、化粧も、仮面も、ヴェールもなしに、( C )された真理である。二つ目は、正確な( D )に関係するもの。それは絵画に描かれた真理であり、その似姿として、線の一本一本を忠実に( D )された真理ということを意味しうる。三つ目は、「本来の意味での絵画性」に関係するもの。それは絵画における真実性であり、文学でも詩でも演劇でもなく、絵画に( E )で、それとして呈示される真理である。四つ目は絵画についての真理に関係するもの。すなわち、絵画の領域において、絵画的芸術と呼ばれる芸術についての真実なるもの、を意味しうる。
あらゆる体系をその外部に開き、それを境界づけるかのように振る舞う線の統一性を分割する本質的な寄生関係を出現させることになるかも知れないこの( F )、これがおそらくはこの( G )の至るところで生起する事柄であるだろう。
(1)
英語 (2)
フランス語 (3)
ドイツ語 (4)
日本語 (5)
絵画における固有言語 (6)
絵画における真理 (7)
復元 (8)
把握 (9)
表象 (10)
痕跡 (11)
寄生的な関係 (12)
固有の様態 (13)
言語の体系 (14)
縁取りの分割 (15)
絵画 (16)
本
(10点)
4 表象とは何か。自由に論述せよ(字数制限なし)。
(10点)
5 フェミニスト美術史について、長所・短所あるいはその可能性をめぐって自由に論述せよ(字数制限なし)。
評価基準は、優:100〜80、良:79〜70、可:69〜60、不可:59〜0である。本試験の素点に各自の出席数による調整点を加算したものを評点とする。また、4、5の解答のうち優れたものは、試験問題を蓄積し、今期以後の学生の参考に供するため、Web上で公開する予定である。