キュビスム


二〇世紀初頭にパリで起こった美術運動。立体派ともいう。ピカソとブラックが創始者。キュビスムの名称は、一説にマティスがその名付け親とも、美術評論家ヴォークセル(Louis Vauxcelles)だともいわれるが、いずれにしても、一九〇八年にブラックが画中に描いた対象をすべて幾何学的図形、すなわち立方体(キューブ)に還元したことが命名の動機である。

〔分析的キュビスム〕キュビスムの最初の局面は、一九〇九年末頃に始まり、対象の細分化、すなわち対象をその構成部分に分析する過程として定義され、「分析的」と名づけられた。

〔総合的キュビスム〕この分析的キュビスムに続く局面は、「総合的」と呼ばれる。この局面の開始時期は一九一〇〜一二年、論者によって異なり定めがたいが、この局面では、分析・細分化されていた対象の形態は再統合され、伝統的な透視図法を用いることなしに、対象の外観の要点が示されることになる。

(『世界美術大事典』 全6巻 小学館 1989-90年 2巻 pp.93-94)


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