北九州市立美術館 連続美術講座
講座 現代美術史

日本館の課題
 

日本館の予算はナンボ? コミッショナーと作家の報酬は?

国際交流基金が支出したのは三千万円強。ちなみに一九九五年の予算や約四千万円でしたが、低金利のいまは運用益があまり望めないのが実状です。それから、作家やコミッショナーみずからが集めた企業協賛金が、だいたい三百万円程度といわれています。

コミッショナーには謝金が支払われていますが、「多い額ではありません」(前出・岡部氏[引用者註:国際交流基金芸術交流部展示課課長補佐/日本館サブコミッショナー・岡部美紀氏])。作家に関しては、作品制作費もギャラも、いずれもタダ。金銭には換えられない名誉が得られるという、昔からのなごりがありまして。それに、こちらは必ずしも新作を依頼しているわけではありません。作家からの不満もありますが、この条件をご理解いただいてます。ただ、個人的には(無報酬)は問題があると思いますよ。予算があれば出したいところなのですが……」(同)。

新川貴詩「ヴェネツィア・ビエンナーレQ&A」、『美術手帖』839号、2003年9月、76頁。

 

極東のハンディキャップ、役所体制の脆弱さ

…日本はパビリオンをもちながらも、いまだに極東であるというハンディキャップがあることは否めない。

窓口である国際交流基金の担当者がニ、三年ごとに変わるシステムでは、何年たっても他国の専門的でしたたかな対応には太刀打ちできないうえ、いつもその狭間で苦しむのは現場レベルであろう。

逢坂恵理子「チーム・ワークと経験の継承に向けて」、『美術手帖』839号、2003年9月、64頁。

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