北九州市立美術館 連続美術講座
講座 現代美術史

5.まとめ
 

1.1989年の大地の魔術師たち展以来、欧米美術界に第3世界の作家への注目が高まった

2.1990年代、アジアのみならず各国が独自の国際美術展を開催するようになった

3.横浜トリエンナーレ2001では、第3世界をも含み込んだグローバルな作家選定が行われた

4.2002年のドクメンタ11はグローバリゼーションの台頭を強く印象づけた

 

90年代初頭、アジアの現代美術は、近代主義の行き詰まりに対する打開策として 大きく期待され、日本の現代美術界においては「古い欧米」対「新しいアジア」という新旧の二項対立図式において理解されていた。しかし、2001年に開催された横浜トリエンナーレが、中東欧、中南米、アフリカ、中東の作家をもバランスよく含み込んでいたことが象徴するように、2000年代に入った日本の現代美術界の問題意識は「グローバリゼーション」というキーワードで読み解かれるべき状況へと変化した。このグローバリゼーションの枠組みの中で、「古い欧米」対「新しいアジア」という図式は、「旧来の美術先進国」対「それ以外の全ての国々」というより包括的な構図の内に据え直され、考察される必要がある。