北九州市立美術館 連続美術講座
講座 現代美術史

2-3.自己批判の限界


冷戦終結後のアメリカ合衆国は、一方的で、時には先制攻撃をもためらわない軍事力の行使によって、自らの安全と経済的な利害を追求する権利を、以前にも増して振り回すようになってしまった。昨今の、合衆国民の支持を得ない状態でのイラクへの侵略は、こうした新に台頭しつつある行動原理を例証する。(訳:藤川)

Since the end of Cold War, America has become more and more explicit about its right to act unilaterally, and even preemptively, to maintain its security and economic interests through military action. The recent invasion of Iraq in the absence of United Nations support exemplifies this emerging doctrine.

Source: Lawrence Rinder, 'The American Effect,' The American Effect, 2003, p.15

第二次世界大戦における日本国民の戦争責任についても批判されることだが、

このアメリカ合衆国とイラクとの戦争において

「支持していない」とされるアメリカ合衆国民は

果たして「被害者」なのか?

イラクへの空爆と、治安の不安定化によって

積み重ねされる死体の山の上で

手にされる利益を「私たちは」享受しないとでも言うのか?


「私たち」こそが《帝国の民》ではないのか?

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