北九州市立美術館 連続美術講座
講座 現代美術史
3-3.知的誠実への道
私的な生である「人生」にも、公的な生である「現代社会」、「国際社会」にも、難問はさまざまある。その難問に対して、向き合うこと自体を避けたり、あるいは自らを欺いて、解決ではない解決によって、解決済みのものと信じ込もうとしたりするのではなく、難問を難問のまま「抱え続ける」ことは知的誠実への道である。
そしてこの知的誠実への道は、難問=アポリアに対する自分の考えを、日々練り上げていく道である。
「水平の視線」も「水平的国際主義」も、到達不可能な他者を到達不可能なまま保持するというかたちでの「到達」を究極の理想とする点において「アポリア」であり、この達成し難い理想を抱え続け、求め続けることは知的誠実への道である。