美術史2004


期末試験問題概略告知

1.研究者の名前と代表的著作の正しい組み合わせについて、選択肢の記号により回答する。/選択問題/10問/各2点(20点)

2.西洋美術史学の歴史について基礎的な知識を問う/○×問題/15問/各2点(30点)

3.西洋美術史学の現在地点について解説した文章の空欄に適切な用語を選んで文を完成させよ/穴埋め問題・選択肢あり/10問/各2点(20点)

4.西欧美術史学の有用性と問題について、この講義を通して得られた知見をもとに自由に論述せよ/論述問題・自由形式/字数制限なし/30点


成績評価方法

試験:100点満点×0.8(計80点)

出席:11回=11点(1欠席毎-1点 ex.欠席3回=出席点8点)

※最初の2回をカウントしない

授業態度等の調整点:全回出席者に+2点

そのほか授業への参加度をアンケートの回答等をもとに7〜10点の範囲で加算

※アンケートの回答は、3の感想欄に記入された授業内容への提言や質問について点数化


美術史(前期)試験問題/講師:藤川哲

 

実施日時:2004年7月29日(木) 12:50〜14:20(90分)

 

(各2点、計20点)

1 以下に示される(1)〜(10)の研究者の名前と(a)〜(j)の美術史学の代表的著作について、解答用紙の(1)〜(10)の各欄に(a)〜(j)のアルファベットを記すことにより、正しい組み合わせを完成させよ。

 

 (1) ホミ・K・バーバ       (2) ハインリヒ・ヴェルフリン      (3) ジョルジョ・ヴァザーリ

 (4) ケネス・クラーク       (5) アーウィン・パノフスキー      (6) E. H. ゴンブリッチ

 (7) アロイス・リーグル      (8) スヴェトラーナ・アルパース     (9) グリゼルダ・ポロック

 (10) ヨハン・ヨアヒム・ヴィンケルマン
 

 (a) 『美術様式論』  (b) 『ギリシア美術模倣論』   (c) 『イコノロジー研究』  (d) 『文化の場所』

 (e) 『ザ・ヌード』   (f) 『視線と差異』        (g) 『美術史の基礎概念』  (h) 『芸術と幻影』

 (i) 『描写の芸術』  (j) 『ルネサンス画人伝』

 

(各2点、計30点)

2 以下に示される(1)〜(15)の短文のうち、内容の正しいものに○印を、誤ったものに×印をそれぞれ解答用紙の各欄に記せ。

 (1) 列伝史の記述形式を完成させたのは、16世紀イタリアのジョルジョ・ヴァザーリである。

 (2) 作品目録の作成には、作品の帰属(アトリビューション)を決定することが必要不可欠である。

 (3) モレッリは、耳や指の形など細部に注目し、無意識に現れる描き方の癖を見抜いて画家を識別する方法を考え出した。

 (4) リーグルは美術史を異なる「芸術意思」の発現と解釈し、扱う対象、時代自体に価値の上下が存在すると主張した。

 (5) リーグルの美術史観はのちの研究者に継承され、精神史的な解釈を重視するウィーン学派が形成された。

 (6) ヴェルフリンは、美術史を五つの概念によって分類し、形式主義の基礎を築いた。

 (7) ヴェルフリンは、1500年代のクラシック美術と1600年代のバロック美術が価値の点では同一線上に並ぶと主張した。

 (8) 「深い意味におけるイコノグラフィー」の目的は、象徴的価値を発見し解釈することである。

 (9) 裸体像とは芸術の主題ではなく、特定の時代と地域における芸術の一形式であり、普遍的価値ではない。

 (10) ゴンブリッチは「魂の言語」としての美術の本質について探究し続けた。

 (11) ハウザーは、マルクス主義的な「弁証法的唯物論」を適用し、美術史を社会構造の変化から説明しようとした。

 (12) 美術制度、パトロン、趣味や流行、美術市場など、美術と社会に係わるテーマは、近年、重要視されなくなった。

 (13) 1970年代以降の「新しい美術史学」の方向性の一つは、精神史的なアプローチの洗練と深化である。

 (14) 現在、イメージ解釈の客観性は「人種、階級、性差」という観点から問い直され、研究者の偏向性が問題化されている。

 (15) バーバは、西洋の美術館の中心性を今後も維持することが重要であると主張した。

 

(各2点、計20点)

3 次の文を読み、空欄となっている( A )〜( J )に、文の下に記されている(1)〜(22)のうち最も適当と思われる言葉を補い、文を完成せよ。解答用紙には、( A )〜( J )の各欄に該当する言葉を(1)〜(22)の番号で記すこと。

 美術史学の歴史は比較的短い。その萌芽を16世紀のヴァザーリに求めれば400年以上の歳月を重ねたことになるが、美術史学が対象としている美術自身の歴史には及びもしない。近代的な学問として整備されてくるのは、18世紀に活躍した( A )の頃であるが、それから約250年、さらに現在の美術史学の基礎を作ったとされる( B )や( C )からはようやく100年を経たに過ぎない。
 この短い歴史の中で、常に美術史学は自らの方法論を問い直し、発展を続けてきた。ヴァールブルクが発想し、パノフスキーが完成させた( D )は、20世紀の美術史学の主流を形成したが、アルパースの登場によってその背景にあるイタリア中心主義が批判される。また、( B )や( C )の様式論にせよ、パノフスキーの( D )にせよ、美術史学は主として( E )と( F )の学者たちによって牽引されてきた。こうした美術史学の土台が帰属している「場所」に対する問いは、美術史学の「政治性」を明らかにする。さらに、ノックリンやポロックを嚆矢とする( G )の議論は、「人種、階級、性差」という問題意識の広がりにおいて、美術史を( H )の議論の場へと接続した。
 現在、( I )を中心に、( H )時代の美術を語る言葉が模索されている。第三世界からの発言を重視するこうした動きは、歴史学としての美術史に( J )感覚を回復させる努力と見ることもできるだろう。

 

(1)ヴィンケルマン  (2)ラスキン  (3)ブルクハルト  (4)リーグル  (5)ベレンソン  

(6)ヴェルフリン  (7)イコノグラフィー (8)イコノロジー  (9)フランス  (10)ドイツ  

(11)スイス  (12)オーストリア  (13)ユマニスム  (14)フェミニズム  (15)ポストコロニアリズム

(16)グローバリズム  (17)『Third Text』  (18)『Critical Inquiry』  (19)時間  (20)精神

(21)地理  (22)経済

 

(30点)

4 西欧美術史学の有用性と問題について、この講義を通して得られた知見をもとに自由に論述せよ(字数制限なし)。

 

 

評価基準は、優:100〜80、良:79〜70、可:69〜60、不可:59〜0である。本試験の素点の8割に各自の出席数による調整点等を加算したものを評点とする。また、4の解答のうち優れたものは、試験問題を蓄積し、今期以後の学生の参考に供するため、Web上で公開する予定である。