『「エジンバラ・山口2004」平成15年度総合科目授業報告書』 

編集:貞方昇・赤嶺まどか


II. 毎回の授業記録


U.毎回の授業記録 Each lesson record

 

第1回授業(103日)「授業オリエンテーション」

担当:奥津他担当教員

 奥津、菊屋、堀家、貞方の4教員と、TATeaching Assistant )の上利君が、教室とした大学会館会議室に集まった学生約45名に、これから半期の授業内容について、配布したシラバスに基づき、解説を行いました。山口(Yamaguchi)市内の芸術をめぐるNPO活動のバラエティーに富む内容が紹介されました。その思想的バックボーンには、ジェネラリストとしてのPatrick Geddesの「視覚的思考」研究があることなどが紹介されました。(文責:貞方)

 

配布資料

 

授業シラバス

 

開設科目名:『芸術・文化振興NPO活動の今−「エジンバラ(Edinburgh)・山口(Yamaguchi)2004」−』

単位数2 単位

担当教官:奥津 聖・貞方 昇・小粥 良・菊屋吉生・安原雅之・藤川 哲・堀家敬嗣・中野良寿・(H.E.フランツ:独在外研究)

開設期2年生 後期

開設時限:金曜日56時限

授業区分:講義等

対象学生:人・教2年,経・理・農3年

 

第1回(103日)担当:奥津・貞方 大学会館会議室

「本授業全体のオリエンテーション」

 毎回授業の概要説明、講師の紹介

 

第2回(1010日)担当:奥津 大学会館会議室

Patrick Geddesに至る散歩」 話題提供者:嶋田日出夫(YICA

これまでの約20年間に山口(Yamaguchi)市で行われた芸術文化活動の歴史を、YICAの活動の流れと山口(Yamaguchi)・まち・大学運動の流れを軸として振り返ってみます。それぞれの「つながり」と「ひろがり」をみることにより、今後の展望が見えたらいいな。

 コーディネータ:小粥・奥津

 

第3回(1017) 大学会館会議室 担当:藤川 哲

「芸術文化振興基本法とNPO活動」

この講義では、芸術文化振興基本法の概要、問題点、運用の実際について、アート系NPOの活動に即してお話しします。芸術文化振興基本法は2001127日に公布された比較的新しい法律で、国や自治体が文化をどう振興するのかという基本理念と、振興のための基本施策からなっています。常々日本の文化政策はお粗末だと言われていますが、果たして同振興基本法の制定はそうした状況に活力をもたらすでしょうか。それとも

 コーディネータ:中野・貞方

 

4(1024) 担当:奥津 共通教育27番教室

Patrick Geddesの生の図式」

Geddesは、「まち」「大学」「芸術」という三つのキーワードを一つに統合する思想を初めて展開した人です。思索機械と呼ばれる図式化の方法はそのための手段でした。かれの視覚的思索の最終的な到達点が「生の図式」です。生物学者として出発して学問の総合をめざしたGeddesの最後の大著は、やはり生物学の概論でしたが、そこでも最終的に問題にしているのは「生の図式」でした。「生の図式」とは一体何か、考えてみます。

 コーディネータ:貞方・小粥

 

5(1031) 担当:奥津  大学会館会議室

Patrick Geddesと日本」

Geddesが活躍したのは、日本で言えば明治時代。同時代の日本人とGeddesの思想には何か関連があるのだろうか。ダンディー大学のマード・マクドナルド教授は、岡倉天心とGeddesの共通の友人であったインドの詩人タゴールが両者を仲介したのではないかと考えています。このテーマは、日本人が詳しく調査すべきテーマになるはずだと教授は提唱しています。Geddesにおける東洋的なものへの関心について考えてみます。

 コーディネータ:貞方

 

6回(117日)大学会館会議室

「秋吉台国際芸術村の活動」 話題提供者:原田真千子(秋吉台国際芸術村)・辻 憲行(同左)

美術館やアートセンターなどの文化施設や制度が果たしている役割と、変わり続ける現代アートについて。開催中の「ブギウギ・ワンダーランド」について。

コーディネータ:藤川

 

7(1114) 担当:貞方 大学会館会議室

「エジンバラ(Edinburgh)・山口(Yamaguchi)の環境比較とPatrick Geddes

 私を含め、多くの日本人がある種の「あこがれ」さえもって、英国の北の地にあるエジンバラ(Edinburgh)を訪れる。確かにその期待が裏切られることはない。緩やかに波打つ丘陵の一角に、突出するエジンバラ(Edinburgh)城を中心とし、石造りの大小の建物群とともに所々に背の高い教会を配して、まるで絵に描いたような都市景観が広がっている。いかにも作られたような!!、そう市民が自らの歴史に根ざして、創り上げてきた、また創りつつある都市がエジンバラ(Edinburgh)なのである。ではどのようにして、何が山口(Yamaguchi)とは同じか、異なるのか?

 コーディネータ:小粥・奥津

 

8回(1121日) 大学会館会議室

「山口(Yamaguchi)のアーティストたち I

白川美幸

1960年山口(Yamaguchi)県生まれ

1984年神奈川大学卒業後渡米、スクール・オブ・ヴィジュアル・アーツ大学、ファイン・アーツ科を1889年、同大学院を1992年に卒業。1996年まで、ニューヨークを拠点にして作品を発表。現在は山口(Yamaguchi)県に在住。マルティ・メディア・アーティスト。

2001年、Art In The Home展(「エジンバラ(Edinburgh)・山口(Yamaguchi2001」の企画)。2002年、同上のエジンバラ(Edinburgh)での展覧会の招待作家。

松尾宗慶

1965年 生まれ

1989年 多摩美術大学美術学部卒業

芸術と寓話をテーマに国内外で様々なアートプロジェクトを行う。

現在モネ・プロジェクトを日本とフランスにおいて継続中。

山口(Yamaguchi)では2001年より青い殿様プロジェクトを行う。

その一環として、今年のアートフル・山口(Yamaguchi)では、10月4日(土)、5日(日)の午後6時から9時まで、瑠璃光寺五重の塔を青く(瑠璃色に)ライト・アップする。

原井輝明

1965年山口(Yamaguchi)県生まれ。宇部市在住。東京芸術大学にて絵画を学び、1994年同大学大学院博士課程研究発表展「光のかけら」(東京芸術大学陳列館)以降、光をテーマにした作品を数多く制作、東京を拠点に個展、グループ展にて発表。1996年より、山口(Yamaguchi)に制作拠点を移し、故郷の自然に眼差しを向けた作品を発表。近年は絵画にとどまらず、ビデオ映像、陶芸、インスタレーションといった様々な表現媒体を用い、"絶えず移りゆくもの"に興味を寄せて制作を行う。またワークショップ(1999年「川のはじめはどこだろう」秋吉台国際芸術村、2003年「光をつかめ」島根県立美術館)、アーティストインレジデンス(2001Nifca[ヘルシンキ]2002年秋吉台国際芸術村)を行う。

 コーディネータ:安原・中野

 

9回(1128日)共通教育27番教室

「山口(Yamaguchi)のアーティストたち II

堀家敬嗣

山口(Yamaguchi)大学教育学部文芸・芸能コース常勤講師(映像論)、映像作家。

11月1日、山口(Yamaguchi)市中園地区に山口(Yamaguchi)情報芸術センター(YCAM)が開館の運びとなったが、その開館事業の一環として企画された「長期展示作品」の制作依頼を受けて、映像インスタレーション作品『小津式 OZU style』4部作が制作の過程にある。今回の講義では、そのうちすでにYCAM内に展示中の「小津滑り OZU slide」「小津細工 OZU mosaic」をめぐって、実作映像およびインスタ空間の記録映像を参照しつつ、制作意図から表現効果にいたる映像作品の創造的実践について考察する。

中野良寿

英国、ドイツなどヨーロッパ各地における現代芸術活動の映像紹介。

コーディネータ:菊屋

 

10(125) 担当:奥津・小粥 大学会館会議室

Patrick Geddesの世界と山口(Yamaguchi)の現代芸術活動に関わる質問と企画提案」

 

11回・12(122613:0016:00) 大学会館会議室

「都市の人間−環境系」 話題提供者:安藤聡彦(埼玉大学)

 氏は、Patrick Geddes研究『都市のナチュラリスト・Geddes』で、近年学位を取られた新進のGeddes研究者。この時期に教育学部の集中講義で来られているのを好機として、本授業にお招きすることとした。氏はGeddesのライフヒストリー分析を行い、生物学から都市学への展開、非ダーウイン的進化論の形成、さらにはオールド・エジンバラ(Edinburgh)改造再生へと進むGeddesの環境生態的思想に接近した。(紹介文責:貞方)

コーディネータ:奥津・貞方

 

13回(19日)担当:奥津・貞方 大学会館会議室

「シンポジウム課題作成」

 

14回・15回(124日土曜日)担当:関係者全員 大学会館大ホール 

シンポジウム「エジンバラ(Edinburgh)・山口(Yamaguchi)−現代芸術の今−」

 特別ゲスト:Alan Johnston(エジンバラ(Edinburgh)芸術大学)

 

 

 

2回授業(1010日)「Patrick Geddesに至る散歩」

話題提供者:嶋田日出夫

コーディネータ:小粥・奥津

出席者は11名増え、合計43名+アルファ(聞きたいから来ている学生)=約50名でした。主には嶋田さんにYICAを事例としたこれまでの山口(Yamaguchi)におけるNPO活動の経緯を、きわめて限られた時間(40分)で、多くの資料と共に紹介して頂きまいした。今回の授業はできるだけ、双方向を試みると言うことで、その後、学生さんに書いてもらった質問をもとに、嶋田さんが回答するという形式を取りました。時間不足の中で嶋田さんにはてんてこ舞いをさせてしまいましたが、さすがに要点を押さえて、NPO活動の真髄の一端を吐露して頂きました。(文責:貞方)

 

 

 

 

2回・質問シート項目

1.本日の話題提供者の話の要点を書いてください。

2.話題提供者への質問を書いてください。

(上の質問に対して、何らかの回答があった人は、その内容を記入してください。)

3.NPO活動の様子を聞いて、あなたはどのように思いましたか。

 

A

11984年に現代芸術専門のギャラリーシマダが山口(Yamaguchi)に開設してから、多くのアーティストが山口(Yamaguchi)に来るようになり、特にAlan Johnstonさんの影響は大きく、YICAを設立した。エジンバラ(Edinburgh)・山口(Yamaguchi)をスタートにPatrick Geddesに至るまで、まち・大学を芸術に参加してもらう活動が行なわれている。

2.多くのアーティストが山口(Yamaguchi)に魅力を感じたところにはどのようなものがあるのですか。

回答)アーティストが作品を作るのに一人で落ち着くことは大切で、山口(Yamaguchi)は自然が多く、適しているのではないかと思われます。また、作品を振り返るのにゆっくりできる。

3.芸術の活動によって、まちや大学ともつながりを持ち、芸術を身近なものとしていることを初めて知った。

 

B

1.アートになじみのない山口(Yamaguchi)の人たちにもっとそれらを知ってもらうために、アーティストを呼んだりするという活動をするNPOを設立し、商工会議所とも協力して活動を行なっている.

2.今までの活動によって「山口(Yamaguchi)市」は目指していたようなものになっていますか。

3.理系の自分にとっては、今まで全くと言っていいほど関わりのない分野の話しであったが、今日お話してくださった「アーティスト」の人たちは「アート」と「街」を結びつけたりすることにより、地域の文化を豊かにしているのだと意外に思った。

 

C

1.芸術を人々の生活や地域の中に溶け込ませ、芸術を通して、様々な国や地域の人々と出会ったり、交流したりすることは、とてもすばらしいことである。

2.収入はどこから得ているのですか。

3.営利目的ではなくてこのような活動をするのはなかなかできることではないと思います。本当に芸術への熱い情熱があるなと思いました。

 

D

1.もし何かしたいこと、欲しいものがあるとすれば、それを手にいれるためには、自分で行動しなければどうにもならない。その行動における結果として、YICAができ、多くのアーティストを招くことができた。

2.イベントの費用とその準備はどのくらいかかるのですか。

3.自分の中での山口(Yamaguchi)のイメージは、ただ山の多い田舎で、何の取りえもないというものであったが、最近久々に山口(Yamaguchi)の町を自転車で走ってみると、新しい建物が立ち、町並みもきれいになったなという印象を受けた。NPO活動の影響をとてもうれしく思います。

 

E

1.ギャラリーシマダの開設とその歩みとともに、山口(Yamaguchi)の芸術のYICAの歩みと様々なアーティストと山口(Yamaguchi)の今。

2.実際問題として、山口(Yamaguchi)県内で芸術に対する関心というものは他の県と比べても低いと思いますが、ここ何年かで県内の関心は高まってきているのでしょうか。

3.自分も演劇を通してNPO活動を見ていますが、内容はとても大変ですが、やりがいはあると思います。

 

 

 

 

3回授業(1017日)「芸術文化振興基本法とNPO活動」

担当者:藤川 哲

コーディネータ:中野・貞方

 1017日の出席者は約35名。テーマは「芸術文化振興基本法とNPO活動」についてでした。まず藤川先生により、40分ほどの講議がありました。芸術文化振興基本法についての概要、問題点、運用の実際についてがわかりやすく解説され、NPO活動やGeddesの思想が今いかに求められていることであるかが語られました。また、普段なじみの薄い、同振興基本法(以後「振興法」)を意識するとてもよい機会となりました。後半は「振興法」とNPO活動についての、よく分かりにくい部分や、海外での事例、今後どのようにすれば現状に活力を与えられるのかなど、出席者に配った質問表に回答する形式で秋吉台国際芸術村の原田さん、中野の司会により討議されました。この「振興法」は藤川先生のおっしゃる「肥満体で分裂症的な要素をもつ」まだまだ不完全なものであり今後、生活実感をともなうような具体的な措置をもとめる必要があるということを深く感じました。(文責:中野)

 

 第3回・質問

1.芸術文化振興基本法についてあなたの考えたことを簡潔に。

2.今日の講義の内容全般についての感想など。

3.講師への質問。後半の討議のために。なるべくほかの人が思いつきそうもないような質問を。

 

F

1.なんでもかんでも文化として大切にしていこうとして、文化の重みがなくなってきている感じがする。

2.アニメーションや漫画も文化の一環であることに驚いた。逆に文化であるはずの演劇や舞踏といったものは身近になく普段ふれあう文化がかたよっているように感じる。

3.NPO活動の立場から芸術文化振興基本法をするならどのような活動をしますか。また大学でできる芸術文化振興基本法を考えるとき、どんな施設や活動をしたら良いと思いますか。(具体的に)

 

Gさん

1.文化を法律で守らないと守れないものなのだろうか。

2.最近は人気集めの展覧会も多いように、芸術方面への予算も削減されてしまっているみたいだから、この法律が出来たことだし、芸術活動が身近なものになっていけばいいと思いました。

3.他の国では、日本よりきちんとした法整備がされているということですが、日本はどういった面で他の国から遅れているんですか。この法律ができて、良かったこと・悪かったことは何ですか。

 

H

1.政府国家の方針。この法を制定して何がしたいのかがはっきりしなかった。

2.法律は形だけで国はあまり動かない。そこで自主的・主体的な活動が必要というが、「国民の目を向けさせる」のも永遠の課題でこれからも難航しそうだと思った。

3.現在この法は形でけですが、この法があって良い方向に環境が変わったということはありますか。また、これからこの法が効果を出すとしたらどのような場合ですか。

 

Iさん

1.法律はもちろん重要ではあるが、もっと市民や国民の目につく入場料の見直しや、青少年の文化への関心を大きくできる具体策がほしいように思う。

2.文化予算への少なさを改めて数字で見て寂しく思った。人件費を減らし、施設を建てる、何か矛盾してるのがわかった。

3.ドイツでは、日・祝日になると美術館が無料になったりするし、学生料金があり、とても文化を身近に感じれた気がしました。日本で、日・祝日を美術館無料にするのは不可能ですか。

堀川義之

1.漫画・アニメ・漫才が入っていることに好感を持てる。

2.日本が文化に対して法律においても

3.粗末に扱っているものだと分かった。

4.国が芸術活動に力を入れていくと、国民にどのようなことが起こるのか。

 

Jくん

1.講義を聞いていると、芸術文化振興基本法の存在意義ってなにって感じで価値を感じなかった。

2.正直、芸術文化振興基本法というものの存在を初めて知った。文化関係予算でフランス・イギリスの予算が高いのはイメージ通りであったが、アメリカが低いのは意外であった。(税制止の優遇を考えても)

3.日本とアメリカ、またはイギリス・フランスにおける文化芸術団体が税制上どのような優遇がなされているのですか。(具体的に)

 

 

4回目授業(1024日)「Patrick Geddesの生の図式T」

担当者:奥津 聖

コーディネータ:貞方・小粥

奥津先生の2回連続Patrick Geddes紹介の1回目。本日の参加者はおよそ35名。農学部の学会があったため、共通教育27番で行われました。講義に対する質問は2回目のこととして、Geddesの『生の図式』の読み方、Synergyへの途、「谷のセクション」ステンドグラスが示唆するGeddesの考え方、「世俗の樹・生の樹木」に見られる生の進化、「九人の藝術の女神たちのための庭園」の意味等々、文字通り視覚に訴える種々の図式をもとに解説して頂きました。おそらく学生は興味を増した者と、分からなくなった者とに別れるのではないかと思いました。分からなくなるのも良いのでは。(文責:貞方)

 

 

5回授業(1031日)「Patrick Geddesの生の図式U」

担当者:奥津 聖

コーディネータ:貞方

 奥津先生のPatrick Geddes紹介の2回目。出席者42名。『生の図式』の応用編とでもいう部分。生物の成長にもなぞらえるような、無機的ではない学問の分類、すなわち純粋数学→物理学と化学(美学)→生物学(心理学)→社会学(倫理学)の解説、インドの街、インドールにおけるGeddesの都市改造実践活動の紹介などがあった。その後、学生が質問紙に答え、奥津先生のコメントとなった。コーディネータ(貞方)のへたな誘導があったためか、生の図式他、分からない図が多いとか、もう一度説明を、という回答が多く、改めて、図式の基本形の見方、考え方が示された。抽象的な思考を視覚的な形で理解しようとするのがGeddes流。(文責:貞方)

 

 

 

 

6回授業(117日)「秋吉台国際芸術村の活動」

話題提供者:原田真千子・辻 憲行

コーディネータ:藤川

 学生35名、受講生以外も含めて42名が聴講。レジュメA4表裏1枚、A3見開き1枚。最初の40分間は秋吉台国際芸術村の辻憲行さんから、1998年の開館から現在までの約6年にわたる同施設の活動を中心に紹介していただきました。美術、演劇、音楽、文学などさまざまな芸術ジャンルにまたがる同施設の芸術支援活動の中でも、特に国内外から作家を招聘し、同施設に約2ヶ月間滞在して制作発表を行う「アーティスト・イン・レジデンス」の活動については、1960年代からの「アーティスト・イン・レジデンス」制度・理念の欧米での成立と展開、1990年代の日本への浸透についても「パワー・ポイント」を活用した解説がありました。海外で誕生した「アーティスト・イン・レジデンス」の理念が、「時間の贈り物」、「出会い」、「作家と地域、作家同士、作家と施設等々のコラボレーション」という視点で発展してきており、

90年代以降の日本での受容においては、「地域振興」、「国際交流」という側面にやや傾斜しているという構図とその問題点をも浮かび上がらせるようなお話でした。

 後半は、同施設の原田真千子さんが、学生から寄せられた質問票を整理しつつ、辻さんに問うという形式で、秋吉台国際芸術村の活動をより詳細に掘り下げて紹介するような内容となりました。なかでも、現在山口(Yamaguchi)市内の県政資料館で開催されている「ブギ・ウギ・ワンダーランド」展については、同施設で毎年度継続的に展開されてきた「アーティスト・イン・レジデンス」事業の成果という位置づけのもと、その成果の側から、「人間関係、アイデアの交流、共感」といった、普段なかなか形になりにくいものに形を与えていく、という点で、短期的な成果とは違ったところを志向している「アーティスト・イン・レジデンス」事業の本質的理解へと学生を導くよい事例紹介になったように思われます。講義終了後には、原田さんから同展の招待券の配布もあり、学生の発展的探究のモチベーションを高めることになったと思われます。(文責:藤川)

 

 

 

 

第7回授業(1114日)「エジンバラ(Edinburgh)・山口(Yamaguchi)の環境比較とPatrick Geddes」担当者:貞方 昇、コーディネータ:小粥・奥津

 学生28名。受講生以外を含めて33名が聴講。特別ゲスト:佐藤文昭氏(Geddes研究家)。最初の50分間は貞方先生がプロジェクターでエジンバラ(Edinburgh)の様々な写真を示しながら、地形や気候、都市計画の特徴、歴史などについて興味深い説明をされました。氷河が削ってできた地形であるなど、地理学者ならではの観点からのご指摘と共に、視覚的にわかりやすい説明は学生の関心を引き付けていたと思います。19世紀の給水システムや水売りのお話し、煙突からの煤煙、窓から汚水を"Gardy Loo!"(フランス語の"Gardez l'eau!"から)という呼び声とともにぶちまけていた(したがってものすごい悪臭の漂っていた)当時の様子などを古い絵画に描かれた姿によって説明してくださったのは、文化史的な興味を掻き立てました。Geddesの時代のエジンバラ(Edinburgh)の様子、Geddesの設計した家なども紹介されました。お話しの後15分間は、配布した用紙に学生が質問・感想などを書き込み、後の25分間は、進行役の小粥がピックアップした感想や質問を読み上げ、貞方先生および出席されていた他の先生方にもご回答いただきました。佐藤氏、中野良寿先生など、スコットランドに留学された先生方のコメントをいただけたことがよかったと思います。質問表を見ても、ビジュアルに迫った解説は、わかりやすく、興味のもてるものであった事が確認できます。エジンバラ(Edinburgh)、スコットランドさらにイギリスそのものへの興味を喚起した楽しく有意義な授業でした。(文責:小粥)

 

 

7回授業レポート

○この授業の観点

Patrick Geddesが活躍したエジンバラ(Edinburgh)という都市は、どのような自然的、社会的たたずまいを持ち、何が私達の住む都市、山口(Yamaguchi)と異なるのだろうか。それについての、あなたなりの意見

○もっと何を知れば、さらにエジンバラ(Edinburgh)・山口(Yamaguchi)両都市を比較、理解できそうか。

○本日の授業についての質問、意見、感想ほか何でも。

 

Kさん

○山口(Yamaguchi)が平野の上に展開された都市であるのに対し、エジンバラ(Edinburgh)は崖の上にそびえたつ城に象徴される様に、防備に優れていると思う。一般にヨーロッパの都市の方が戦略的に展開されている気がします。

○両都市に住む非地美との、実生活の違い

○以前イギリスのマダム・タッソーというろう人形館を訪れた事があって、その時も感じたのですが、イギリス人は残酷な話が好きなのでしょうか?殺人の瞬間をろう人形にして残すなんて、日本では考えられないし、日本人である私から見ると、やっぱりちょっと引いてしまうものがあります。

 

Lさん

○山口(Yamaguchi)と違って、とても自分達の町を大切にしているということに驚いた。そして、昔ながらのエジンバラ(Edinburgh)を守っていると同時に現在も活用し、復興させる努力を一人一人が意識している。

○エジンバラ(Edinburgh)のメディア、娯楽、若者の関心など。

○おもしろかった。「close」についてもっと具体的に知りたい。今現在地下に住んでいる人はいますか?

 

Mさん

○平坦な山口(Yamaguchi)の地形に加えて、街の数箇所に点在する高みによって、エジンバラ(Edinburgh)の都市景観の特徴が見ることが出来る。そのため、その高いところに向かって街作りの中心も行なわれているように思えた。遂に山口(Yamaguchi)は、町の中心となるところが、定まっていないように思えますが、どうでしょうか?

○都市計画のプランを年代別に見てみたいと思います。

○北ヨーロッパの町並みは、どこも似ている雰囲気だと感じました。

 

N

○エジンバラ(Edinburgh)は、中世ヨーロッパを思い起こさせるような町並みである。それと、適度に、自然との調和があり、素晴らしい町並みだと感じた。山口(Yamaguchi)と異なる点としては、山口(Yamaguchi)は、住みやすい町にするのはいいが、公共工事のため、日本のどこにでもあるような町並みにしか見えず、日本の歴史的風景もみることがない点であると思う。

○人々が、自分達の町のために何をしているのかを知れば、どのようにしてエジンバラ(Edinburgh)の町並みが守られてきたかが分かり山口(Yamaguchi)にも、応用できるのではないか!

○私は、写真といえ、エジンバラ(Edinburgh)城の入っている風景に驚かされた。このようなエジンバラ(Edinburgh)の町並みの様には、山口(Yamaguchi)は出来ないと思うが、日本の歴史が少しでも感じれ、山口(Yamaguchi)にしかない町並みになればいいと思った。

 

Oくん

○何よりも古くからの建築物を大事にしており、更にはそれを維持・保存するのではなく現代においても様々に活かしている点が我々の住む日本の都市と異なるエジンバラ(Edinburgh)の特徴である様に思う。

○エジンバラ(Edinburgh)、山口(Yamaguchi)両都市の歴史、文化背景

○町並みに関しては、今も生活に根付いた息づかいのようなものが感じられたが、城や宮殿といった大型建築は現在どの様に扱われているのか詳しく知りたい。

 

 

 

8回授業(1121日)「山口(Yamaguchi)のアーティストたちT」

話題提供者:白川美幸・松尾宗慶・原井輝明

コーディネータ:安原・中野

 山口(Yamaguchi)在住のアーティスト3名(原井輝明さん、松尾宗慶さん、白川美幸さん)をお招きし、おひとり約20分ずつご自身の活動についてお話していただきました。設備や機材の準備が不十分な面がありましたが、それぞれ映像や画像を駆使したプレゼンテーションで、学生も大変興味を持って聞き入っていました。原井さんは「茶碗の会」代表として話しをされ、「茶碗の会」について、またご自身の作品を紹介してくださいました。時間の関係で用意してくださった作品を全部見ることができなかったのは残念です。松尾さんは「青い殿様プロジェクト」について発表。白川さんは、映像作品を紹介してくださいました。プレゼンテーションのあと、受講生に約5分で質問票に記入してもらい、その後の10分ほどでプレゼンターに回答してもらいました。最後の質問「・・・活動のための収入はどこから得ているのですか?・・・絵画のように売って収入を得るということも難しいように思うのですが・・・」に対して、3名それぞれが丁寧に答えてくださいました。これによって、学生にとっては「アート」がよりリアルな、かつ身近なものとして感じられるようになったのではないかと思います。(文責:安原)

 

9回授業(1128日)「山口(Yamaguchi)のアーティストたちU」担当者:堀家敬嗣・中野良寿、コーディネータ:菊屋

 山口(Yamaguchi)のアーティストの第二弾として堀家先生と中野先生に、おひとり約30分ずつご自身の活動と作品についてお話していただきました。途中ちょっと機器の不具合があり少し時間をとってしまいましたが、前回同様、映像や画像を駆使したプレゼンテーションで、学生もけっこう楽しんで聴講していたのではなかったかと思います。

 まず中野先生は、ご自身の1990年代からの活動についてお話しされました。1990年代初頭にスコットランドで出会った少年に触発されたイベントStick-Aboy with stick について、また同じくスコットランドで体験した Dowsing をもととした Dowsing classroom についてお話しがあり、ごく最近やられた讃岐富士にまつわる巨人伝説をもととした作品 Dry Fall / Ojomo について話されました。

 次の堀家先生は、山口(Yamaguchi)情報芸術センターに出品しておられる Ozu style についてお話しされました。ここではとくに小津の作品にみられる独特なショットの積み重ねに注目され、それらを特定の配列に組み合わせたときに見えてくる面白さや工夫について解説いただきました。YCAMで見たときには、気づかなかった面白さになるほどと膝を打った次第です。質問の時間も十分にはとれませんでしたが、こちらからどんどん当てていったところ、なかなか面白い質問も出ました。(文責:菊屋)

 

 

 

9回授業レポート

T

今日の、ショットのくぎりで見ていったのは、とても新鮮で面白かった。階段のシーンなども、よく出来るものだなと驚いた。子のような方法を活用すれば、映画だけでなく他のものでも、面白いものが出来そうだと思った。例えば、音楽や絵を使って。非常に興味深くて面白かった。

ダウジングって本当にあたるのですか?

 

Uさん

中野先生の作品は、宗教的というか土着的という感覚がより強いように感じました。作品中の人物達は、普通よりも少し自然の力強さに近い生命力があるようでした。面白かったです。見知らぬ土地で、土着的なテーマに取り組むのにどのような工夫をしていますか?堀家先生の作品は、時間に対する意識が再認識されるようで興味深かったです。OZU Styleは同時性、OZUモザイクは非同時性という真逆のことが、同監督作品のもとで見れるという点に面白さを感じました。

 

Vさん

今日の講義のおかげで映画を観る時ショットに注意して観るという新しい視点が自分に加わりました。この講義では毎回視点というものに対して新しい発見があることが多いので興味深いです。同一のものを見ても視点を変えるだけで、様々な見方、感じ方があるといったように自分のモノの見方に対してバリエーションが広がったように感じる。

 

Wさん

OZU Style」ストーリー性のない映画なんて、面白いのか?と初めて思いましたが、次に来るショットとのつながりを妙に期待していて、期待通りのショット又は、予想外につながりのあるショットが来ると、思わず笑ってしまいました。とても楽しい作品だと思いました。「OZU mosaic」「1/60秒ずれているコマと2/60秒ずれているコマ…。」このような話を聞いて連想したものは「タイムスリップ」でした。2次元のはずの平面の中に、4次元的なものを感じました。

 

X

ダウジングクラスルームやunder the treeなどは外国人でしたが、あの作品は日本人よりも外国人の方が良かったのですか?また、それらを日本人で作り変えると作品名はかわるのでしょうか?

正直何をやっているのかさっぱり分からなかった。どこが面白い部分なのですか?

 

 

 

10回授業(125日)「山口(Yamaguchi)の芸術をめぐるNPO活動についての質問と企画提案」担当者:奥津・小粥

 学生37人出席。最初にこれまで9回の授業を振り返って、授業記録ビデオからピックアップした場面を15分程度見せる予定でしたが、機械のトラブルで編集が遅れ、間に合いませんでした(これは結局、授業の後半で、課題を書かせているときに映写した)。そこで、奥津先生のノートPCに入っていた文字による過去の記録(プレゼン用にまとめられていたもの)を示しながら、過去の授業の概観しました。その後、配布したシートに、来年度の授業についての提案を書いてもらいました(25分間)。課題は、「次年度前期に同じタイトル、メンバーの授業があります。あなたなら、どのような各授業の配列とし、何を強調したいと思いますか。削ったり、新たな試み(新たな人)も加えて結構です。自分なりにタイトル、担当者をつけて10回{12月始めまで)の授業を構成してください。」というものでした。その後、ランダムに提案を紹介しましたが、時間が足りず、2名しか紹介できませんでした。質疑応答の時間もわずかだったので、2名の学生に質問・意見を述べてもらいました。「Patrick Geddesについて、もっとわかりやすく説明してほしい」、「もっと山口(Yamaguchi)とエジンバラ(Edinburgh)の関わりがわかるような工夫がほしい」という意見がありました。(文責:小粥)

 

10回授業レポート

Patrick Geddesの世界と山口(Yamaguchi)の現代芸術活動に関わる企画提案」

課題:あなたの提案(タイトル、担当者、授業のねらいを書いてください。)

AAさん

1回 授業説明オリエンテーション(全員8名):授業で何をやっていくかを分かりやすく説明する。

2回 山口(Yamaguchi)・エジンバラ(Edinburgh)の環境比較(貞方・武本Timothy)山口(Yamaguchi)と比較しつつエジンバラ(Edinburgh)はどんなところかを知ってもらう。

3回 エジンバラ(Edinburgh)とPatrick Geddes(奥津・貞方)Patrick Geddesを序々に紹介していく第一歩。

4回 Patrick Geddesの世界(奥津)Patrick Geddesをより詳しく。

5回 Patrick Geddesと日本(奥津)Patrick Geddesと日本を比較することで、よりPatrick Geddesに迫る。

6回 芸術文化振興基本法とNPO活動の今(藤川)ここで日本の芸術活動をピックアップする。

7回 山口(Yamaguchi)のアーティストたち(白川・松尾・原井・堀家・中野)山口(Yamaguchi)にもアーティストはたくさんいることをアピール。

8回 秋吉台国際芸術村の活動(原田・辻)活動の紹介

9回 エジンバラ(Edinburgh)の芸術活動(エジンバラ(Edinburgh)の芸術家)エジンバラ(Edinburgh)の芸術活動に触れる

10回 Patrick Geddesや山口(Yamaguchi)の芸術活動に関する質問と来年度の企画提案 生徒の企画提案を来年度に生かす。

 

ABさん

1回 授業オリエンテーション 授業の目的の説明

2回 エジンバラ(Edinburgh)・山口(Yamaguchi)の環境比較とPatrick Geddes(貞方)授業のタイトルでもあるエジンバラ(Edinburgh)について知る。

3回 山口(Yamaguchi)のアーティストたちT(アーティスト)実際にアーティストに話を聞き、いろいろな芸術を見る。

4回 山口(Yamaguchi)のアーティストたちU(アーティスト) 実際にアーティストに話を聞き、いろいろな芸術を見る。

5回 Patrick Geddesに至る散歩(嶋田)NPOの活動について知る

6回 芸術文化振興基本法とNPO活動(藤川)NPOの活動について知る

7回 秋吉台国際芸術村の活動(辻・原田)秋吉台国際芸術村の活動や目的を知る

8回 Patrick Geddesの生の図式T(奥津)まとめ・応用としてPatrick Geddesの芸術を学ぶ。

第9回 Patrick Geddesの生の図式U(奥津)まとめ・応用としてPatrick Geddesの芸術を学ぶ。

10回 山口(Yamaguchi)の現代芸術活動と授業全体のまとめ 授業についてまとめる。

 

ACさん

1回 オリエンテーション(先生方)授業の進め方など

2回 Patrick Geddesの前に(山口(Yamaguchi)で活動している人々・先生)我々の身近にある芸術活動をしている人・団体・施設について知り、興味を広げていこう。

3回 山口(Yamaguchi)のアーティストたち(山口(Yamaguchi)で活動している人々・先生)我々の身近にある芸術活動をしている人・団体・施設について知り、興味を広げていこう。

4回 山口(Yamaguchi)のアーティストたち2(山口(Yamaguchi)で活動している人々・先生)我々の身近にある芸術活動をしている人・団体・施設について知り、興味を広げていこう。

5回 YCAM(山口(Yamaguchi)で活動している人々・先生)我々の身近にある芸術活動をしている人・団体・施設について知り、興味を広げていこう。

6回 アーティスト・イン・レジデンス(秋吉台国際芸術村の活動)(山口(Yamaguchi)で活動している人々・先生)我々の身近にある芸術活動をしている人・団体・施設について知り、興味を広げていこう。

7回 Patrick Geddesと生の図式(話しのうまい先生)Patrick Geddesについて詳しくなっていきながら、頭はどんどん日本を出てエジンバラ(Edinburgh)や他の世界へ。

8回 Patrick Geddesと日本(話しのうまい先生)Patrick Geddesについて詳しくなっていきながら、頭はどんどん日本を出てエジンバラ(Edinburgh)や他の世界へ。

9回 Patrick Geddesと日本(話しのうまい先生)Patrick Geddesについて詳しくなっていきながら、頭はどんどん日本を出てエジンバラ(Edinburgh)や他の世界へ。

10回 芸術文化振興基本法とNPO活動(話しのうまい先生)視点をかえて社会や法律について問題提起など。

 

ADさん

1回 授業オリエンテーション(全員)毎回の授業の紹介

2回 Patrick Geddesの生の図式(奥津)Patrick Geddesの紹介

3回 秋吉台国際芸術村の活動(原田・辻)山口(Yamaguchi)の環境を知り、現在の芸術にふれる。

4回 エジンバラ(Edinburgh)・山口(Yamaguchi)の環境比較とPatrick Geddes(貞方)(原田・辻)山口(Yamaguchi)の環境を知り、現在の芸術にふれる。

5回 山口(Yamaguchi)のアーティストたちT(未定)山口(Yamaguchi)の環境を知り、現在の芸術にふれる。

6回 山口(Yamaguchi)のアーティストたちU(未定)山口(Yamaguchi)の環境を知り、現在の芸術にふれる。

789回 休日などを利用し、ボランティアといったかたちで、芸術村などの活動に参加する。(全員)実際に参加してみることで、より深く芸術を理解する。

10回 質問と企画提案

 

AE

1回 オリエンテーション(奥津)

2回 芸術文化振興基本法とNPO活動(藤川)日本の文化活動と法制度の関連を確認する。

3回 Patrick Geddesに至る散歩(嶋田)山口(Yamaguchi)でのNPO活動の概説

4回 秋吉台国際芸術村の活動 更に具体的な試みの紹介

5回 Patrick Geddesの生の図式T(奥津)Geddesの思想についてのかみ砕いた講義。抽象的思考の視覚化を強調。

6回 Patrick GeddesU(奥津)Geddesの思想についてのかみ砕いた講義。抽象的思考の視覚化を強調。

7回 エジンバラ(Edinburgh)・山口(Yamaguchi)の環境比較とPatrick Geddes(貞方)建築物・道などが前2週のGeddesの考え方とどのように対応しているのかを詳しく。

8回 Patrick Geddesの後継 Geddesの芸術・研究がどのように発展を見せているのか。まとめの1回。

9回 山口(Yamaguchi)のアーティストたち(中野・他)1回にし、特に地域性の高いものを。

10回 山口(Yamaguchi)の芸術文化NPO活動についての質問・提案(奥津)全体を振り返り、質問と簡易レポート。

 

 

 

1112回授業「都市を育む市民−Patrick Geddes素描−」

話題提供者:安藤聡彦先生(埼玉大学・教育)

コーディネータ:奥津・貞方

開催日時:1226日(金)午後1:004:00

 今回は、Patrick Geddes研究の前線に立っておられる埼玉大学安藤聡彦先生をお招きしての授業。参加者は、学外者や埼玉大学の学生さん、関係教員(5名)を加えて総数51名を数える人数となりました。まず、安藤先生によれば、Geddesという人は、大変に多面的な活動を行っていて、見る視点によって異なった像が浮かび上がるという、なかなか研究者泣かせの、捉えにくい人物だとのこと。この後、次のような話題によってGeddes紹介が展開されました。明治期日本の知識人や行政者も関心を寄せていた彼の著書『都市の発展』とその内容、ピッテンクリフ公園にみるGeddesの都市発展の考え方、スライドによる当時に立ち返ったエジンバラ(Edinburgh)環境改善運動の姿、その核心をなす市民連合による都市の文化資源利用・教育の紹介などについて。そして最後に、Geddesの限界性についても。短い時間内にエッセンスを詰め込んで頂きました。

 受講者からの質問には、Geddesの考えに基づき、計画された都市はないのか、Geddesが今でも研究される理由は何なのか、学校教育を受けなかったGeddesがなぜ有名な学者になれたのか、エジンバラ(Edinburgh)自体で彼の評価はどうなのか、Geddesを批判していた人は当時いたのか、など安藤さんがたじたじする質問が続出しました。

 一方で、これから文化資源という視点から公園という公共空間を見たい、生物学者でありながら人間と環境の関係を高めようとしたのはすごい、イギリスの環境は整備されインドの環境は産業発展のために開発された事実はGeddesが見落とした最大の欠点だ、卒業証書を一度も貰ったことがない人が、スコティッシュ・ダーウインと呼ばれる人物として名を残しているのはすごい、ますますPatrick Geddesという人は不思議な人だ、などおもしろいコメントが多数ありました。(文責:貞方)

 

 

1112回授業レポート

1.本日の発表の骨子をどのようなところにあるとみたか、説明してください。

2.内容に関わっての意見、質問(Patrick Geddes・都市・環境等の関係において)

 

AG

1環境(自然)Geddesとの関わり。また、それについて私達がGeddesをどう捕らえていくか、という事。Geddesが何を考え目指していたのか?そこを考えてみると、非ダ―ヴィン的部分と進化的部分が見えてくる。

2今はGeddesが生きていた時代とはかなり環境という点では違うのですが、彼の目指していた考えは、今の環境でも十分に目指すべきものだと考えますか?それとも、彼が今の時代に生きていたら発展した、もしくは今の時代に合った思想になっていたと思いますか?

 

AHさん

1.人間が生きていく中で人間と自然環境が共に発展し、共に共存していくためにGeddesは研究してきた。人間と環境の相互進化論について。

2.Geddesの公園や庭園の研究は写真を使っていて分かりやすかった。でも、時々センスが微妙なものもあるなと思いました。Geddesは人間が環境を完全に支配してしまうのではなくて人間が環境を利用しながら共存していくための提案をしてくれていて、現在にもこの考えは受け入れられるものだと感じました。

 

AI

1.Geddesとは都市に密着した人間であり、そのGeddesの人生をたどることで都市の発展、環境についてみていくところ。

2.Geddesの人生を聞きながら感じた事は、非常に未来を見据えているということでした。都市学問を考える上で、未来・過去など時間の流れはどれくらい重要でしょうか。

 

AJ

1.生物は環境との相互作用で進化するということ。つかんだものを離さない事の大切さ。

2.カーネギーさんは、「金持ちの役割は、社会に貢献する事」といっていたけど、ヤンキースの松井やハリウッド女優もいろんな所に寄付していると聞いたことがある。私もソンなことが出来るくらいの金持ちになりたいなぁ…。あと、Geddesの学生時代のやんちゃぶりにもびっくりしました。

 

AK

1.Patrick Geddesの「都市の発展」についての理解であると思う。Patrick Geddesの「都市の発展」の中で、彼の「競争に勝った者が環境に適応するのではなく、環境の中で共存・共栄するものである」という非ダーウィン的進化論という思想をうかがい知ることができた。

2.最後に話されたことでイギリスの環境が整備されインドの環境は産業発展のために開発するという考え方は実に利己的な発想で、Geddesが見落とした最大の欠点だと思いました。

 

ALさん

1.Patrick Geddesは、オールド・エジンバラ(Edinburgh)の発展のために、環境をとらえる、環境に直接働きかける環境のとらえ方や働きかけ方を伝達するという3つの営みを行なった。特にケンブリッジ夏期集会など自然学習を推進していった。また「都市の発展」の中で都市の文化資源と市民連合の関係から公共空間の整備について述べており、市民連合としての環境保全団体が都市の文化資源の管理を担い、それらの資源を利用することで将来の都市文化資源の担い手を形成するが、そのためには確実に資源をストックすることが重要であると論じている。

2.Patrick Geddesの公園に対する考え方は日本の公園とずいぶん違っていて驚いたが、この公園が本当に完成していれば、現在の公園のあり方は全く異なっていたのではないかと思った。当時は法律や国家の体制が不十分で市民が自ら行動するしかないといった背景があったが、国家が発展してきた現在では、公園などの公共空間の整備は国家や地方自治体から住民に押し付けている形となっているため、住民の望む公園を住民が自ら考え、つくることが必要である。Geddesのいう、都市の文化資源が自然・科学にとどまらず、歴史なども含まれていることから、公園とそれらの資源を住民自ら知り、学ぶことができる場にするという考えはとても面白いと思う。日本の全ての公園でGeddesの考えに見合った公園を作ることは都市計画の一部ということもあり不可能であるが、考えてみれば、観光地となっている公園ではその街の歴史を知ることができるため、Geddesの考えとはずれがあるとは思うがそういった公園はあると改めて思った。これから文化資源という視点からも公園などの公共空間を見てみたいと思っている。」

 

 

 

13回(1月9日)授業報告 

担当者:奥津・貞方

 シンポジウムに向けての課題作成

 

 

 

シンポジウムに関する受講者の希望・意見

 

項目

意見

1

Geddes

1.Patrick Geddesの考え方の一部しか分からないので、もっと理解したい。

2.Patrick Geddesが何なのか、どのように偉大だったのか、もっと理解したい。

3.もしGeddesが現在の山口(Yamaguchi)に生きていたらどのようなことを行っていくのか。

4.「エジンバラ(Edinburgh)・山口(Yamaguchi2004」という題目なので、Geddesの生誕150年に向けての活動を聞きたい。

5.私はこの授業を受けるまで、Geddesについてまったく知りませんでした。その中で「生の図式」やいろいろなこみいった話が展開されて、正直今でもGeddesのことなどあまり理解できず、授業が進み、今に至っています。なので、今度シンポをするときにはもっとゆっくりGeddesについて知りたいです(Geddesの歴史)。またはGeddesに的をしぼった授業を作り、その授業を取った人だけが「NPO」の授業をとれるなどにして分割してほしい。

2

エジンバラ(Edinburgh)・Geddes

1.それぞれの話題提供者のエジンバラ(Edinburgh)という土地、Geddesについての意見を伺いたい。

2.Geddesが生きた時代のエジンバラ(Edinburgh)とそれ以外の国々との芸術の関連や違い。

3

エジンバラ(Edinburgh)・Geddes

1.エジンバラ(Edinburgh)の環境がGeddesの考え方にどのような影響を与えたのか。インドとの相違についても。

2.Geddesの思想の再確認。またそれがエジンバラ(Edinburgh)やパレードの企画などの中でどのように表現、反映されているのかについての詳細な解説。それらを踏まえて、現代の芸術・文化の運動に彼がどのような影響を与えているのかを知りたい。

3.Geddesの考えと、どうしてGeddesがそう考えたのか文化的背景など。イギリス(エジンバラ(Edinburgh))のGeddesを育てた土壌という意味での文化的背景がよく分からなかったので取り上げてほしい。エジンバラ(Edinburgh)のNPO活動についてもお聞きしたい。

4

エジンバラ(Edinburgh

1.エジンバラ(Edinburgh)の環境、歴史に映像を通して興味を持った。

2.エジンバラ(Edinburgh)の街の風景写真の中にも私たちが関心を寄せるものがあった。

3.エジンバラ(Edinburgh)での現在の生活が芸術とどのように関わっているか知りたいです。

4.エジンバラ(Edinburgh)中心に、イギリス全体の芸術、文化振興活動についてもっと詳しく知りたい。

5

エジンバラ(Edinburgh)・山口(Yamaguchi

1.エジンバラ(Edinburgh)と山口(Yamaguchi)をいろいろな面から比較してほしい。

2.エジンバラ(Edinburgh)と山口(Yamaguchi)を比較した場合の共通点をもっと探る出せたらおもしろい。

6

NPO

1.山口(Yamaguchi)県(山口(Yamaguchi)市・大学)でできることや、将来的にやれることを、学生が自ら関われるシンポにしてほしい。

2.山口(Yamaguchi)のNPO活動にエジンバラ(Edinburgh)およびGeddesの活動をどう活かすか、取り上げてほしい。

3.山口(Yamaguchi)県内にある芸術活動に関わる団体について、どんな活動をしているか、またどんなイベントをやろうとしているかを取り上げてほしい。

4.山口(Yamaguchi)市の文化活動とそれを受け取る側の市民の関係について。

5.芸術や文化に対して意見はさまざまでも、盛り上げてゆこうとする団体が、自分の興味次第で身近に感じられることを知った。たくさんの人の意見、アートを知りたい。

7

YCAM

1.YCAMについての活動と意味について取り上げ、話題にして頂きたい。

2.賛否両論のある「山口(Yamaguchi)総合芸術センター」をどのようにすれば、一般市民も足を運びたくなるようなもので、税金をつぎ込むだけの無駄な施設にしないようにできるか。

3.YCAMの内容を授業時間に実践することができれば、みんな幾らか興味を持てると思いますが。

4.YCAMやブギウギワンダーランドなど自分の目で直接みてとれるものを授業でとりあげてほしい。

8

芸術文化振興法

1.振興法のこれからの課題、改善すべき点、良い点などをさらに詳しく知りたい。

2.芸術文化振興法について、この法は形だけという説明を受けましたが、この法が対象としている人はどのような人々なのか。「普段、なじみの薄い」と言われるだけあり、ほとんどの人は知らないことで、どうしても僕には「芸術関係者などの身内のルール」に思えます。「振興法」が大衆を対象としているならば、まずどのように「現在の大衆文化」に芸術が入り込めるのか、現実として難しいと思いますが、その理論的な部分にこだわりたい。

9

現代芸術

1.現代芸術(絵画など)も含め、音を使った芸術について取り上げて欲しかった。

2.芸術活動の取組とひろがり。

3.秋吉台国際芸術村でのアーティスト・イン・レジデンスにより現在の芸術家たちにどのような変化があったのか。

4.実際、芸術が人間にどう影響するのか。もし、芸術というものがなかったら、人間は困るのか疑問に思う。

5.1つの映像でも見方を変えると、また違ったおもしろさが見えてくること。

6.アーティストと触れあえるのが、この授業のなかで一番おもしろかった点です。日常アーティストの作品にふれることはできるけれども、アーティスト自身に会って、その体験を聞いて、直接質問できるのが良かったです。Geddesについてまだよく分からない。

7.やはり14/15回の授業でGeddesを理解するのは難しいように思います。8回目の現代アートに対する講義が楽しかったので、また取り上げて欲しい。

8.発表する先生(人)が、なんでこの手のことを研究し始めたかということ。それが分かれば、芸術に対する見方というのも変わると思ったからです。

9.「芸術とは結局何の役に立つのか」ということ(実際、この問いは広すぎるし、究極すぎるので回答が得られるとは思っていません。)シンポで取り上げてほしいことは、服飾デザイナー、メークアップアーティスト、ヘアアーティストの現状。

10.松尾さんがどのような活動を行っているのか、シンポジウムで取り上げてほしい。

 

 

1415回(124日)授業報告「ミニ・シンポジウム−エジンバラ(Edinburgh)・山口(Yamaguchi) 現代芸術の今-」担当者:全員

  参加者は学生42名、一般12名、アシスタント10名、教員5名、Alan Johnston氏の計70名+αでした。今回が最終回の授業。エジンバラ(Edinburgh)から現代芸術家そしてプロモーターといってもよいAlan Johnstonさんをお迎えし、そしてご都合をつけて頂いた授業の担当者者10名が集ってのシンポでした。奥津先生が突然、ご家庭の事情で参加ができないというハプニングがありましたが、これまでの授業開催手順を知るTA始めアシスタント10名のおかげをもって、ほぼ所期の予定に沿って会を進行させることができました。

 シンポ第一部では、まず阿部一直さんによりYCAMオープニングのイベント解説、現代芸術家作品紹介が、勿論映像を交えて行われました。次いで、Alan Johnstonさん(小粥先生通訳)が、おもにエジンバラ(Edinburgh)王立植物園の真ん中にあるインバーレイスハウスという古建築物内部での現代美術作品をGeddesとの関わりも交えながら話されました。

  シンポ第二部は、時間が押したこともあり、前に並んで頂いた本授業の担当者者の方々に本日の阿部さん・Alanさんの話を聞いての一言と、Alanさんご自身のエジンバラ(Edinburgh)およびGeddesへの思いを語って頂き、さらに学生からの質問の幾つかをとりあげての応答を行いました。もとより話題が多岐にわたるので、まとめを得ることはできませんでしたが、山口(Yamaguchi)の現代芸術家や地球の彼方(イギリス)から来た芸術家を目の当たりにしながら、Geddesにまつわる話、また現代芸術をめぐる話を伺い、それぞれに何らかの刺激があったと期待できる会であったように思います(文責:貞方)。

 

2004124日(土)

最終授業・シンポジウム:「現代芸術活動をめぐる山口・エジンバラ」

1部(授業を補足する話題)質疑5分含み
司会進行:安原雅之
13:00-14:00
 阿部一直:「YCAMの現代芸術活動支援」
14:00-15:00
 Alan Johnston:「エジンバラの現代芸術活動とパトリッ
ク・ゲディス」(小粥 良通訳)

15:00-15:15
 休憩

2部(「現代芸術活動と山口の活性化」)
15:15-16:30
司会進行:安原雅之・貞方 昇
パネリスト:授業の話題提供者+Alan Johnston
1)
各人に提供話題と山口あるいはエジンバラ(Patrick ・ゲディス)との関係
を述べて頂く。
2)
学生の質問をピックアップして、該当者に答えてもらう、そして、自由討議。

 

 

 

 

 

 

asnsE

Art Space Nature Edinburgh

 

Alan Johnston                        

(Edinburgh College of Art)


17.1.04
At the Edinburgh College of Art we have just started a new programme asnsE, (art space nature Edinburgh). The programme has at its core much of Patrick Geddes's influence. It is of course interdisciplinary, it has that feature not in a titular sense but in deep engagement, it has a core commitment, reflecting the nature of a Post Enlightenment 'Generalism' brought into a modern realisation of its tradition. Too much of contemporary interdisciplinary activity is just the grafting of one specialism to another, the ideas are still very much derivatives from notions of a wholly empirical nature. It is here that Geddes's knowledge has been particularly pertinent. In looking at what Geddes called 'The Lower Wisdom' we look through the 'Positivist' and simplistic idea of 'The Progressive' and engage in a deeper reading of the scientific and the creative. This passage I included here from another paper, actually a proposal for an exhibition, 'Behind Appearance: The Lower Wisdom' further elucidates this feature of 'Visual Thinking'. Within that proposal I make a direct comparison with 'The Scientific' garden in Edinburgh, and Sesshu's garden here, (this can be more closely studied in the footnotes), this analogy has been born from various observations of Geddes which have led to fresh insights. Times tell us, but the unique aspect of Inverleith House in the Royal Botanic Garden Edinburgh provides us. Provides us a perfect prospect to view art and the scientific in a context where there is an ideal both beautiful and real in the city, yet in nature. In 'Temple Cities' Geddes might be virtually describing Inverleith House. "Life individual, associated, collective, Love, through all passions, simplest to highest; Death too, in all its mysteries, its fears, its hopes.. Religious emotions and aspirations, ideas and doctrines. They find expression in its new imagery, in fresh symbolism, and thus at length in Temples, to house and synthesise them, each and all." (1.2.) footnotes

 
The theme is to explore some of the ideas thrown up (3)footnote  by Geddes's energies, synergies, and synthesises, and for example the biological and geological  comparatives. There is much of Hutton and his influence as inspiration for the 'grund' or core of the exhibition notion, as Hutton put it, "There is no prospect of an end", this is at root a similar idea to a non progressive cyclical pattern of culture, much as Bruno and Vico , D'Arcy Thomson, and more recently Kubler and Reinhardt have explored. As this is by no means a new idea; and it seems to me really to be at the core of Geddes's energies, I feel we are in a certain company of the non progressive eg. Vico, The New Science and Finnegan's Wake. Footnote (5.6).
 

Geddes's unique connections and continuities, (or recurrences), within the Scottish and Celtic worlds provide further insights to 'world culture', through the careful development of ideas inherent in scientific practice of the 'Post Enlightenment'. These we hope to explore in the exhibition by the comparative idea which concentrates on connection and core of influence that have very serious continuities through his time, and before, to the world of the contemporary artist, rather than a concentration on Geddes as an individual or as a biography. It is not so much a view of Geddes's direct activities but how much we have absorbed these in our creativity, and how close this is to a theme, which has long tempted and fascinated both artist and scientist. We reflect perhaps an assumption of the modern world which as Geddes notes,
 
"Some legends and dramas present Faust as dreamer and self deceiver, as tempted and misled, as egoist, charlatan, and evil wizard, and send him even to the ultimate tragedy. Yet again we see him in a type of science, struggling through hypothesis and error towards the light of knowledge and its applications in power. the self deceptive, Faustus-like search of 'the lower wisdom', to which no thinker, nor perhaps even a saint, but at times has felt prone."

Within the curatorial notion lies the idea of 'the comparative paradigm'. Avoiding direct analogy but seeking an aporia of tangential analogy, giving an open reading of the works of science and art. Geddes is not placed as a start of influence he is seen, in this context as an essential conduit, consolidator and innovator within an articulation of 'Generalism' and most importantly 'Visual Thinking 'These factors further deepen the engagement with 'ideas' rather than the formulaic processes of positivism. In practice this tactual approach is strongly emphasised within its other aspect the 'Visual'.  The years session is divided into three components of the course, The Garden. The City, The Landscape.

During the first term we undertook two major projects which we feel worked very well with each other under the theme of 'The Garden' and 'Contemporary Practice' Within the structures a number of inputs and features were constructed.  Raoul Bunschoten of the urbanist practice 'Chora', (an international renowned institution),Footnote (7.) structured a programme of visits to Peterhead on a Scottish government funded project to regenerate the community. This was structured through Eelco Hooftman, my fellow colleague's  professional involvement with Chora .This neatly related to the major project which was shown in the Royal Botanic Garden Edinburgh at Inverleith House in December. (Inverleith House is the venue for many contemporary art exhbitions of the highest quality). This provided very valuable ideas and experiences with students engaging in a wide series of potential aspects of site development. This installation summarized the terms work also in the form of the dialogue developed in the Critical Forums.Where students discussed their fundamental concepts and interests within their notions of Contemporary Practice.
Having the total availability of The Royal Botanic Garden Edinburgh was a major asset to the experience of the theme. Students identified and developed their thoughts and ideasusing the very material of the Garden, which through dialogue with the professional staff in the garden and Inverleith House.
Other aspects developed were ideas of counterpoint, e.g.  Organic - Architectural,   Concept  - Counterpoint, e.g. The Garden as a concept out with the formal notion of spatial constructs but as a narrative. There was also an involvement with notions of the ecological , on one strand this could be seen as demonstrably seeing the beauty in detritus or rubbish, creating works which reflect the by products of Botanical life altered to create a hostile, if not dangerous product . Yet there was also an involvement with the creation of the ideal environment, set within the Inverleith House itself, and using the architectural frame to articulate notions of body movement in space by the making of a parallel of the 'Botanical Veil' During the installation we had various sessions with the curatorial staff in an extension of the critical forums. The young curator Gavin Morrison conducted various sessions where the project was related to a planned project overseen by him for April, Building a Studio. A museum related project in Sweden. We felt this was quite important to relate the various themes into a flow of analogous understanding over the whole programme.

We are working early this term with a project in sleeper. This automatically moves the programme into an engagement with the urban. In terms not only of site but theme. This the theme for term two along with a look at the methods, and also say at possibilities which include curatorship, which of course was being introduced in term 1, and further articulated in the sleeper project. During term one and two we have a major project which again combines, the major themes in the course i.e. The Future Academy. This a funded project organised by Clementine Deliss to be based In India .The City in Bangalore, theLandscape and Garden in Hampi.

Future Academy is a unique, international network created to research and develop an innovative series of trans-continental events that draw together key players in the arts. It asks them to imagine how future practices of art, architecture and design will evolve, what roles artists will play in the 'information societies' of the future, and how these and other questions will help to define new formulations of pedagogy and arts education within a global, social, and economic field. It goes beyond an academic survey or a global comparative analysis in proposing a focus on the future of the arts college as a host and incubator of important cultural and economic developments.


Also within this there are several long term themes in students work being identified, through the concept of 'Visual Thinking'. Students also attended various lecture programmes during the 1st term and will in coming terms. Eelco Hooftman and various visiting lecturers have provided a programme relating to the architectural and landscape themes, which again reflect the asnsE ethos.


Footnotes
1.Patrick Geddes.
2.Alan  Johnston. 'Haus Wittgenstein  - Inverleith House'. Royal Botanic Garden Edinburgh. 1999.(ISBN 1 872 291 32 5)
"Cultures merge or are reconfigured, and influences are exchanged. There is reference to the cosmological ideas of Zen reflected in my interest in the work of the Japanese artist-gardener Sesshu. Whose work I encountered on the occasion of my first exhibition in Japan, the garden and temple of Joei-ji in Yamaguchi, is an extraordinary manipulation of space, living space. Sesshu was described by John McLaughlin as the creator of 'The Marvellous Void', a 15th Century conception of abstraction. At Joei-ji the temple floor is seen as a viewing platform for the cosmos created as the garden. The site and role of the 'Enlightenment' Inverleith House parallels this as a viewing platform overlooking the apotheosis of 'Enlightenment' thought, the planned cosmos of Edinburgh. 'The City of Enlightenment'. 'Satori', that is 'Enlightenment'7. I had in mind another set of symbols and parallels from Sesshu's garden cosmos to the finding of the fresh space in the stone of Mont Sainte Victoire, to the Geddesian symbol of the living cosmos as the city itself, a new sense of the socio-spatial, a new light. The subsequent meeting with Paul Nesbitt brought an immediate synergy of purpose which resulted in Inverleith House being brought in as the companion to Haus Wittgenstein".
'The patterns of nature can be as many as our consciousness  is capable of drawing on' Naum Gabo.
3.Redolent perhaps of the Hugh MacDiarmid volcano analogy.
4.Geddes as biologist of course.
5.'I am making an engine with only one wheel. No spokes of course. The wheel is a perfect square. You see what I am driving at don't you? I am awfully solemn about it, mind you, so you must not think it is a silly story about the mouse and the grapes. No, it's awheel, I tell the world. And it's all square'. James Joyce.
6.See 'Dante... Bruno... Vico... Joyce. Samuel Beckett
7.http://xarch.tu-graz.ac.at/proj/chora/about_chora/about03.html).

 

  *これにて今年度の授業は終了しました。関係者の方々には、授業開催への多大なご協力に深く感謝致します。来年度前期(この4月から)に第二シリーズの授業を開始し、きたる102Geddes・イベントにも連動したいと思いますので、再びどうぞよろしくお願い致します(本授業代表・マネージャー・コーディネータ一同)。