21世紀の出会い―共鳴、ここ・から
2004.10/9-2005.3/21 金沢21世紀美術館
カタログについて
蓑豊「序―生活の中の美術」
I部
ポール・ヴィリリオ「破滅の進行」
長谷川祐子「ポリフォニー」
図版
II部
ベンジャミン・H. D. ブクロー「抽象概念の宇宙的な具象化―オロスコの写真作品」
パウロ・エルケンホフ「ブラジル/視点」
ハンス=ウルリッヒ・オブリスト「新しい<共有>の可能性―都市・建築・アートの試み」
住友文彦「映像の中へ―私たちと同時代の美術がもつ可能性」
北澤憲昭「手仕事―美術における盲目性、もしくは人間の条件」
III部
<往復書簡>リクリット・ティラヴァーニャ + 中沢新一
<鼎談>フランソワ・ロッシュ + 妹島和世 + 西沢立衛
<インタヴュー>マシュー・バーニー
執筆者紹介
◆企画のねらい
美術館ホームページより
展覧会概要
"開館記念展は、17カ国から招かれた約40人の作家による展覧会となります。そのうち20人は新作を美術館空間にあわせ制作します。観客は円形の美術館の中に、海に浮かぶ列島のように配された展示室を巡りながら、多様な作品と出会い、人と行き交いながら、今まで経験したことのない時間の過ごし方を体感することになるでしょう。この「出会い」が繰り返されることによって思いもかけぬ「共鳴」が生まれ、「ここ・から」新しい世紀の風が吹くことになるでしょう。"
展覧会コンセプト"ひとつの美術表現は、それが作られた時代の雰囲気や背景、さらには社会の抱える問題や喜びなどを目に見える形にして、私たちの前に示してくれます。
展覧会は会場を歩くすべての鑑賞者が、「違う物語」、「違う体験」をし、微妙な時間のずれが共鳴を起こし複数の調べとなっていくように意図され、つくられています。そんな「共鳴」の中にこそ、21世紀の「共生」の可能性が、見いだせるかもしれません。
欧米の価値観が世界を支配した20世紀に対し、21世紀は非欧米圏の文化の独自性が以前にも増して尊重される時代と言えます。違った価値観を持つ人々が、その多様性をいかに理解しあえるかが問われています。「21世紀の出会い〜共鳴、ここ・から〜」では、美術表現を通して、21世紀のさまざまな価値観が立ち現れます。
時代の感性を呼吸するアーテイストたちの作品との出会いは、鑑賞者のこころとからだに新鮮な刺激を与えます。隠された感性が声をだしてうたいはじめるのです。声と声が出会い、「ここ」から生まれた共鳴は、それぞれのこころとからだをとおして響きとしてひろがっていきます。"蓑豊「序―生活の中の美術」(p.8)より
"二〇〇四年に開館する金沢21世紀美術館は、開館記念展「21世紀の出会い―共鳴、ここ・から」において、美術を再び日常生活に根づいたものにすることを目指しました。美術を何か神聖で特権的な存在として隔てるのではなく、「こころ」と「からだ」で感じるものであることを思い返したい。"
長谷川祐子「ポリフォニー」(pp.26-27)より
"…イタリアの文学者イタロ・カルヴィーノの残した二千年紀の文学についての「新たな千年紀のための六つのメモ」は視覚芸術に対しても多くの示唆を含んでいる。彼は、多くの視覚情報が折り重なり「記憶のゴミため」状態になっている私たちの頭にとって、一つのものの形を際立たせて、想起することがいかに困難かを述べ、これが想像力、観察力、思考力を退化させているという。…(中略)…視覚的記憶のゴミため状態になっている我々の頭に明快に、深々と入ってくる表現が必要とされることは文学と同様であろう。…(中略)…この多様性の森の中で、二千年紀の視覚芸術を価値づける主たる要素を探すこと。以下は森の中で書きつけられたメモである。軽さ、速さ、多様性といったカルヴィーノのメモを片手に参照しながら。"
リンク
展覧会紹介(番外編)