芸術論特殊講義2004


期末試験問題概略告知

1.講義で紹介された展覧会について基礎的な知識を問う/○×問題/10問/各3点(30点)

2.美術館等で開催される展覧会の現況について解説した文章の空欄に適切な用語を選んで文を完成させよ/穴埋め問題・選択肢あり/10問/各2点(20点)

3.実際に自分で見た展覧会について、展覧会名、開催施設、好きな作品を作家名とともに1点挙げ解説せよ/論述問題・自由形式/字数制限なし/20点

4.美術館と社会との接点、自分との接点について自由に論述せよ/論述問題・自由形式/字数制限なし/30点


成績評価方法

試験:100点満点×0.8(計80点)

出席:10回=10点(1欠席毎-1点 ex.欠席3回=出席点7点)

※最初の2回をカウントしない

授業態度等の調整点:全回出席者に+2点

そのほか授業への参加度をアンケートの回答等をもとに7〜10点の範囲で加算

※アンケートの回答は、3の感想欄に記入された授業内容への提言や質問、4の講義外での近隣の文化施設の利用度、イベントへの参加度等について点数化


芸術論特殊講義(後期)試験問題/講師:藤川哲

実施日時:2005年1月25日(火) 14:30〜16:00(90分)

 

(各3点、計30点)

1 以下に示される(1)〜(10)の短文のうち、内容の正しいものに○印を、誤ったものに×印をそれぞれ解答用紙の各欄に記せ。

 (1) 1970年前後に特定の組織に属さず、社会の根源的な問題に取り組んでいた人びとをノンセクト・ラディカルと呼んだ。

 (2) 直接的な師弟関係によって結ばれた俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一とその周辺にいた作家たちを琳派と総称する。

 (3) 西欧中世の美術はゴシック様式に始まり、ロマネスク美術に至ってその絶頂期を迎えた。

 (4) 19世紀に西洋人によって描かれた中国の風景画から、西洋人が中国に対して抱いていた幻想を読み取ることができる。

 (5) 高松次郎は、物質の存在と人間の実在とを視知覚を通して検証した作家である。

 (6) デュシャンは美術の伝統的な規範を拒絶したが、そうした姿勢自体がその後の現代美術の新たな伝統になった。

 (7) 日本人に人気のあるマティスの大規模な展覧会は毎年のように国内のいずれかの美術館で開催されている。

 (8) 「ピカソ展 幻のジャクリーヌ・コレクション」は、ピカソの妹ジャクリーヌが遺産相続した作品による展覧会である。

 (9) 金沢21世紀美術館の開館記念展では、招待作家の何人かは美術館の展示空間にあわせて新作を制作した。

 (10) フルクサスの活動は主にアメリカ合衆国とヨーロッパの都市で展開されたが、日本人作家も多く参加した。

 

(各2点、計10点)

2 次の文を読み、空欄となっている( A )〜( J )に、文の下に記されている(1)〜(26)のうち最も適当と思われる言葉を補い、文を完成せよ。解答用紙には、( A )〜( J )の各欄に該当する言葉を(1)〜(26)の番号で記すこと。

  美術館の活動は、大きく4つある。「収集・保存」「展示・公開」「教育・普及」「調査・研究」であるが、日本の美術館では、これら4つのうち「( A )」のみが主要な活動と考えられている。美術館は設立主体の観点で分類すれば公立・( B )の2つに分かれるが、どちらも長引く不況の影響で深刻な財政難に陥っている。都市部の百貨店等が経営していた美術館は、すでに多くが1990年代後半には閉館した。公立の美術館においても「( C )」活動のうち作品購入に必要な予算がゼロになった美術館は多い。「( A )」に必要な予算の削減も深刻化しており、( D )を中心としたものが多くなっている。特に海外から作品を借用するような展覧会の開催は、9.11以後の世界情勢の不安定化にともなって( E )が高騰し、ますます開催困難な状況になっている。
  美術館の展示は大きく分けると( F )展示、( G )展示の2つである。( F )展示はその館の( D )を紹介する展示である。( G )展示を( G )する仕事を海外ではキュレーションといい、国内の美術館ではその仕事にあたる職員を( H )と呼んでいる。展覧会は美術館の「( I )」の成果の発表の場という意味もある。そうした成果は展覧会のカタログの( H )執筆による論文という形でも現れる。展覧会は( H )の( G )センスが問われる。財政難から( J )を重視した展覧会が多いなか、展覧会会場に足を運び、作品を鑑賞するだけでなく、企画の意図を読み取り、カタログの読者となることは、高い志をもった( H )による優れた展覧会を観客の側から支え、絶えさせないための第一歩である。

(1) 収集・保存  (2) 展示・公開  (3) 教育・普及  (4) 調査・研究  (5) 国立  (6) 官立  (7) 私立
(8) 市民講座  (9) ボランティア  (10) コレクション  (11) 保険料  (12) 運賃  (13) 広告料
(14) 企画  (15) 公募  (16) 特別  (17) 常設  (18) 仮設  (19) 野外  (20) 司書  (21) 評論家
(22) 学芸員  (23) 研究員  (24) 保守性  (25) 公共性  (26) 収益性

 

(20点)

3 実際に自分で見た展覧会について、展覧会名、開催施設、好きな作品を作家名とともに1点挙げ解説せよ(字数制限なし)。

 

(30点)

4 美術館と社会との接点、自分との接点について自由に論述せよ(字数制限なし)。






評価基準は、優:100〜80、良:79〜70、可:69〜60、不可:59〜0である。本試験の素点に各自の出席数による調整点を加算したものを評点とする。また、3、4の解答のうち優れたものは、試験問題を蓄積し、今期以後の学生の参考に供するため、Web上で公開する予定である。