ルーヴル美術館展―中世フランスの秘宝―
7/10-9/12 新潟県立近代美術館
9/28-11/28 福岡市美術館
カタログについて
西欧中世の美術 馬杉宗夫
カタログ
第1章 ロマネスク美術
第2章 ロマネスクからゴシックへ
第3章 ゴシック様式:その頂点と展開(13〜14世紀)
第4章 中世の終焉
関連地図
「中世美術」をめぐる冒険―アレクサンドル・ルノワールと「フランス文化遺産博物館」 三谷理華
森と植物の美学―19世紀的ゴシックイメージの源泉 平石昌子
年表
中世建築関連用語
文献表
展覧会歴
出品目録
L'art du Moyen Age en Occident par Muneo UMASUGI
Introduction à l'art médiéval français par Jean-René GABORIT
◆企画のねらい
「ごあいさつ」(p.5)より
"日本における従来のルーヴル美術館コレクション展は、絵画偏重であり、…(後略)。"
"また本展は、ルーヴル美術館彫刻部門および工芸部門の名品で構成された中世フランス美術展ですが、この分野の展覧会は今日まで日本であまり開かれておらず、1972年に国立西洋美術館(東京都)で開催された「フランスの中世美術」展以来、まさに32年ぶりの快挙となります。"
「メッセージ」アンリ・ロワット(ルーヴル美術館館長)(p.7)より
"…日本の鑑賞者、とりわけ中規模都市の観衆の驚くべき文化的な好奇心を裏付けるものです。と申しますのも、それが、私の是非とも強調したいもう一つの側面なのですが、この展覧会は、芸術の面で大変精力的な活動を行っている二つの美術館、新潟県立近代美術館と福岡市美中t巻のイニシアティヴにより企画されているのです。
この展覧会は、私たちが、日本の大都市圏ほどには知らない都市で、果敢なテーマに基づき実現されるものです。"「西欧中世の美術」馬杉宗夫(p.11)より
"中世美術史を彩る重要な作品のほとんどは、西欧各地に散在するキリスト教聖堂建築であり、その内・外を飾る彫刻、壁画、ステンドグラスである。"
"それゆえ、その美術を理解するには、西欧各地を回らねばならないし、そこに表現された内容を理解するためには、キリスト教に対する知識が必要である。"
◆美術史の用語
ポール・デューロ、マイケル・グリーンハルシュ『美術史の辞典』、中森義宗、清水忠訳、東信堂、1998年より
ルーヴル "そこに収められているものは、16世紀のフランソワ1世を初めとするフランスの君主たちの美術コレクションであり、ナポレオンがヨーロッパおよびエジプト侵攻中に収奪したものも収納された。コレクションの拡大は、個人の寄贈によって、また、19世紀からは考古学上の発掘を支援することによって実現された。"
ロマネスク "この用語は、とくにローマ古代に由来する特徴をそなえた彫刻と建築について用いられ、ローマ美術と美術作品を通した文化的影響がとりわけ強力な地域で栄えた様式を指す。その地域とは、フランスのプロヴァンス、シチリア、中央イタリアだが、ローマ帝国の大拡張によって、この様式はスペインからイギリスへ、ドイツからパレスティナにかけて、愛好され受け入れられた。建築でいえば、この様式の特徴は、曲線的な半円筒ヴォールトの利用で、それには細長い窓のついた広大な壁がともない、そして多くは、アカンサス葉飾りのフリーズや生き物のいる(ルビ:インハビテッド)渦巻装飾はじめ、古典のオーダーまで摸した壁面装飾がほどこされている。大規模彫刻(主として古代美術の作例を通して10世紀以降に復興した)についていえば、人像は、ずんぐりした、中世初期のモデルにならって、古代の優雅さを帯びており(たとえば「コンスタンティヌスの凱旋門」上の人像をみよ)、しばしば古典の人像にならった顔付きと髪をもっていた。すらりと垂れた古典の衣裳もふたたび見られた。"
ゴシック美術 "12世紀から16世紀にかけての(主として)北欧の美術。この用語は一つの誤用(ゴート人とヴァンダル人を参照)に由来し、様式よりもむしろ期間を表すが、それにもかかわらず、きわめて有益なために無視できない。一般にゴシック美術と建築は、ローマの様式の影響が少ない地域で成功しており、一方、ロマネスク様式は、古代の手本が数多く残っている地域で、繁栄しつづけた。したがって、プロヴァンスやイタリアには、あまりゴシックはみられない。しかしながら、多くの地域で、ゴシック様式は、ロマネスクにつづく大胆で技術的に活力のある後継者とみなされていた。"