ピカソ展−躰[からだ]とエロス−


9/18-12/12 東京都現代美術館 


カタログについて

ごあいさつ

序文

謝辞

大高保二郎「ピカソ メタモルフォーズの時代―スタイルからモティーフへ―」

ドミニク・デュピュイ=ラベ「ピカソ作品における身体 1927-1937:形成―変形」

パトリス・トリブー「ピカソとミノタウロス」

カタログ

I. 身体の変容

II. さまざまな水浴者たち

III. アトリエ:画家から彫刻家へ

IV. 肉体の賛美

V. アナトミーとカップル(交接)

VI. 闘牛からミノタウロスへ:愛と暴力のかたち

VII. エロスの変貌:創造の根源

ドミニク・デュピュイ=ラベ「ラファエロとラ・フォルナリーナ」

岡谷公二「ピカソとレリス―シュルレアリスム、闘牛をめぐって―」

関直子「パブロ・ピカソの《彫刻家》をめぐって」

作家ピカソ「詩は絵のごとく」

関連年表

関連人物略伝

ピカソをめぐる人々

ピカソの遺産相続

関連地図

ピカソ主要参考文献

出品リスト


出品作品紹介

ピカソ:様式変遷のおさらい


講義ノート

企画のねらい

「ごあいさつ」より

"本展は1925年から1937年までを中心に、円熟期を迎えたピカソが、同時代のシュルレアリスムの動きと交差しつつ、自身の理性を解き放ち、その作品を自由奔放に変貌させてゆく様子を、パリ・国立ピカソ美術館の全面協力を得て紹介するものです。"
 

大高保二郎「ピカソ メタモルフォーズの時代―スタイルからモティーフへ―」より(p.8)

前提と背景

「ピカソ 躰とエロス」展は、2002年の「ピカソ 天才の誕生」展、翌2003年の「ピカソ・クラシック 1914-1925」展註2)に続く第三弾であり、20世紀を代表する視覚芸術の巨匠の業績をそれぞれテーマやクロノロジーのもとに系統だてて毎年提示するのは欧米においても例をみない画期的な試みとして評価されるであろう。ただ本展にあたる時代は折りしも10年前、「ピカソ 愛と苦悩―《ゲルニカ》への道」と題された展覧会註3)日本でもすでに取り上げられているしかしながら、同展がこの時代を反戦と平和の記念碑《ゲルニカ》へ収斂していく道程と規定したのに対して、今回の展覧会はその後十年間のピカソ研究の実り豊かな成果註4)を咀嚼しつつ、各作品を自立的に捉え、フォルムやモティーフの変貌の意味と展開を跡づけていこうとするものである。

註2) 「ピカソ 天才の誕生」展 上野の森美術館―産経新聞社、2002年;「ピカソ・クラシック 1914-1925」展 上野の森美術館―産経新聞社、2003年。

註3) 「ピカソ 愛と苦悩―《ゲルニカ》への道」展 東武美術館―朝日新聞社、1995-1996年。

註4) 総合的な著作あるいは展覧会図録としてRubin, William (ed.), Picasso and Portraiture : Representation and Transformation, MoMA, New York, 1996 ; Léal, B., Piot, Ch, Bernadac, M-L., The Ultimate Picasso, New York, 2000 ; Spies, Werner, Picasso. The Sculptures, Stuttgart, 2000 ; Matisse Picasso, Tate Modern, London, 2002 ; Cowling, Elizabeth, Picasso. Style and Meaning, New York, 2002.