琳派 RIMPA


8/21-10/3 東京国立近代美術館


カタログについて

琳派・RIMPA展―はじめに― 尾崎正明

琳派からRIMPAへ 古田亮

図版目録

近代工芸における琳派再評価の道程―その言論を中心に― 北村仁美

近代の琳派観、その周辺 中村麗子

近世琳派年表

近現代琳派評価史

作品目録

出品作品一覧


出品作品紹介


講義ノート

展覧会の構成組織

主催=東京国立近代美術館、東京新聞

後援=文化庁、千代田区

協賛=日本写真印刷

協力=日本航空、JR東日本

あいさつ・謝辞

あいさつ/東京国立近代美術館長・辻村哲夫

"二十世紀初頭にまず光琳が発見され、その後に宗達が高く評価されるようになったのです。これを近代日本人の美意識の反映ととらえるならば、琳派は近代の産物だったと言えるでしょう。"

"そして、今回最大の特徴となるのは、琳派の普遍性、世界性を問うRIMPA展の試みです。歴史やジャンルを超えて、クリムトなどの西洋絵画をはじめ、近代洋画、現代美術など二十世紀に現れたさまざまな形態の作品を幅広く視野に入れながら、その中にいわゆる琳派的なるものとは何かを探ってみたいと考えています。"

あいさつ/東京新聞・中日新聞社 代表取締役社長・大島寅夫

"東京新聞は今年、お蔭様をもちまして創刊百二十周年を迎えます。"

"東京新聞の前身である「今日(ルビ:こんにち)新聞」(のちに「都(ルビ:みやこ)新聞」と改題)が創刊したのは、一八八四(明治十七)年九月二十五日。日本が急速な近代化を目指した、まさに文明開化の時代にあたります。以降、新聞は常に国内外の世情を見つめ、時代とともに歩んでまいりました。
 今や日本美術の代表とも言える<琳派>を、近代という時代の流れで検証し、それに惹かれた人々の美意識の変遷を探る本展の試みは、新聞が伝え続けた近代の生きた歴史に、自ずらかさなるところがあるのではないでしょうか。"

謝辞

"この展覧会を開催するにあたり貴重な作品を貸与された下記の美術館、関係諸機関および個人所蔵家、ならびにお名前を記すことのできなかった所蔵家の方々に深く感謝の意を表します。"

"また、本展覧会のためにご協力いただいた下記の方々に深く感謝の意を表します。"

企画のねらい

尾崎正明「琳派・RIMPA展―はじめに―」より

琳派は流派でない?

p.12 "…「琳派」という流派はかなり大まかな言い方をすれば、俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一とそれぞれの周辺にいた人々の、時代的にはほとんど関係のない三つのグループの総称としてできたものといえないこともない。…(中略)…彼らは狩野派と違って、それぞれの間には少なくとも師弟関係も、相承関係も存在しない。…(中略)…やや乱暴な言い方にはなるが、「狩野派」のような背後にかかえる時代的背景を抜きにして、画風の近似性でひと括りにされたといえなくもないのである。「琳派」は流派ではないという意見が出てくるのもわからなくはない。"

流派と見なされる理由=共通する芸術性

p.12 "とはいえ、これが一つの流派とみなされて当然のところもある。画題で見れば宗達、光琳、抱一の間で繰り返し描き継がれていったものもあるし、表現から見れば宗達にはじまったたらし込みの技法などは琳派特有のものとして、連綿と現代まで伝わっている。"

琳派の特質=日本美術の本質(?)、その世界性を問う

p.14 "…異なった性格をもつこの三者の芸術に共通する何かがあるすれば、それが技法として直接的に受け継がれていったものではないだけに、逆に日本の美術の本質的な部分に触れる何かがそこに隠されているような気がしてならない。"

p.15 "「デザイン的」であることこそが日本美術の最大の特色であり、その創造的な才能を世界で伸ばしてゆく必要があるとすれば、「琳派」のもつ可能性をいま一度吟味すべきであろう。世界の中での日本の美術を考えるうえで、ある示唆を与えてくれるような気もする。"


講師の気づき

「西洋絵画、近代洋画、現代美術における検証」が想定している「世界観」、およびその世界観に相対する「日本美術の特色」を反省し、そこから「国家」が「芸術」と「個人」に何を要請しているか、個人がいかにその要請を主体化するかを注視すること。