高松次郎―思考の宇宙


6/26-8/15 府中市美術館
8/24-10/17 北九州市立美術館


カタログについて

はじめに

高島直之「<不在>への想像力―『世界拡大計画』をめぐって」

真武真喜子「不在発生装置をつくる―『単体』と『複合体』の隙間から」

神山亮子「実在から関係へ―1960年代と1970年代の高松次郎の作品と思考について」

 カタログ

 I. 影以前

 II. 影

 III. 遠近法・波・弛み

 IV. 概念的な作品

 V. 単体

 VI. 複合体

 VII. 平面上の空間

 VIII. 形

阿佐美淑子「福岡シティ銀行の《影の部屋》―その成立と意義」

 略年譜

 Chronology

 展覧会歴

 文献目録

Naoyuki Takashima, Imagination Toward "Absence"-- On The expanding World Project.

Makiko Matake, Making a Device of Generating Absence -- Between Oneness and Compound.

Ryoko Kamiyama, From Reality to Relativity: The Works and Thoughts of Jiro Takamatsu in the 1960s and 1970s.

Yoshiko Asami, Shadow's Room in The Fukuoka City Bank -- History and Its Significance.


出品作品紹介


講義ノート

企画のねらい

「はじめに」(p.4)より

"高松次郎は、思考し続けた美術家でした。彼は、現実生活において出会った現象、事物、事件などを、独自の思考プロセスを経て概念化し、美術作品として実現しました。彼は一貫して、物質の存在と人間の実在とを視知覚を通して検証したのです。アトリエに残された数千点に及ぶ膨大な未発表のドローイングには作品の構想が、その思考の足跡が率直にしるされています。"

"本展覧会は、検討を重ねて選び抜いたドローイング181点と、1960年の初期作品から最晩年の1995年までの作品61点とを、有機的に関連させて展示します。作品の多彩さゆえに理解され難かった、高松次郎の思考の宇宙、その全体像を出現させようと企画されました。"

高松次郎について

1936年、東京都渋谷区生まれ。58年、東京芸術大学美術学部絵画科(油画専攻)を卒業。「読売アンデパンダン展」に、58年の第10回展以降、59、61、62、63年と出品。63年、赤瀬川原平、中西夏之と「ハイレッド・センター」を結成。66年、東京画廊で個展。67年、第5回パリ・ビエンナーレでテオドラン財団賞受賞。68年、第34回ヴェネツィア・ビエンナーレに日本代表として出品、カルロ・カルダッツォ賞受賞。77年、第6回ドクメンタに参加。98年死去(62歳)。