芸術論特殊講義2005


2004 光州ビエンナーレ

1. 展覧会テーマ

"一粒の塵、一滴の水"

Brougher, Kerry. "Dust and Water." 2004 Gwangju Biennale. Gwangju: Gwangju Biennale Foundation, 2004: 12-15.

塵の時代にアーティストの調整力を。

「水/塵」の二元論は、東洋の思想を越え、普遍的なものである(ナイル川の恵みがよい例)。

会場構成:

「塵」

「水」

「塵+水」


2. 参加観客制度

参加観客(Viewer Participants)

デザイナー、詩人、小学生、弁護士、農夫、ホテル支配人、神父など、肩書きや出身の異なる60人の「観客」が各アーティストと組み、参加観客の意見が作品の展示に反映される制度。

一般人20名,文化クリエーター20名,環境運動家,人権運動家,オルタナティヴ・メディア運動家,アクティヴィスト20名という3つのカテゴリーに分け,約40カ国から選出.

文化産業としての観客=消費者=主導層の位置づけ(イ・ヨンウ)

Okeke, Chika. "Modalities of a Relational Art." 2004 Gwangju Biennale. Gwangju: Gwangju Biennale Foundation, 2004: 26-29.

アーティストと観客の間の溝は、アーティストと知識人の不手際によるものだ。

アーティストの絶対的自由は、近代主義の根底にある神話の一つだ。

キャロル・ベッカーにならって、アーティストと観客の想像力を脱植民地化すべきである。

フルクサスやハプニングは観客を「創造」のパートナーとして再発見し、アーティストも観客も双方が結果の予測のつかない「旅」へと誘った。

こうした「関係性のアート」が近代主義の美学の伝統を超えていく。

「関係性のアート」は90年代に提唱され実践されてきたが、今や単なる「ジェスチャー」に留まらない実験的な試みが必要になっている。


3. 出品作品紹介

会場風景

003 マーク・ビンフォード(美術館教育、23歳)+ジェニファー・シュタインカンプ

006, 007, 008 アントニオ・ネグリ(哲学者)+ケンデル・ギアーズ

009, 010 隈研吾(建築家)+鳥光桃代

011 フアン・ボニラ(小説家)+アントニオ・ムンタダス

012 リチャード・ローズ(作家)+ジム・サンボーン

013 チェ・ディディアン・アニェ(人権活動家)+マラム

014, 015, 016 チョイ・ワンウ(人権活動家)+ジョン・ジュンホ

017 フハナ・スミス(環境保護活動家、マオリ族)+マイケル・パレコハイ

018 小林康夫(表象論、東大教授)+宮島達男

022 アン・キョンワン(法律家)+キム・ビョンヨン

023 エヴァ・マリサルディ

025, 026, 027 金大中の会場訪問

028 エドゥアルド・カック

048 ミウチャ・プラダ(プラダ)+イ・キョンホ