<線的なもの→絵画的なもの 2>
 

アルブレヒト・デューラー

《僧房における聖ヒエロニムス》

署名:AD 1514
エングレーヴィング
24.7×18.8cm

アドリアン・ファン・オスターデ

《アトリエの画家》


エッチング
23.5×17.4cm


同一のモティーフ―光が片側から射しこむ閉じられた部屋―が、デューラーとオスターデでは、まったく異なる効果を得ている。デューラーでは可触的な面と、一個一個の事物の対象性がすべてであるのに対して、オスターデでは移行と運動がすべてである。物を言うのは光であって、彫塑的な形ではない。全体が薄暗く、その中で個々の対象が見えてくる。ところが、デューラーではもろもろの対象が主要な事柄であり、光は添えものと感じられる。

(ハインリヒ・ヴェルフリン 『美術史の基礎概念』、慶應義塾大学出版会 2000年、p.74)


4