<線的なもの→絵画的なもの 2>
アルブレヒト・デューラー 《僧房における聖ヒエロニムス》 署名:AD 1514 |
アドリアン・ファン・オスターデ 《アトリエの画家》
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同一のモティーフ―光が片側から射しこむ閉じられた部屋―が、デューラーとオスターデでは、まったく異なる効果を得ている。デューラーでは可触的な面と、一個一個の事物の対象性がすべてであるのに対して、オスターデでは移行と運動がすべてである。物を言うのは光であって、彫塑的な形ではない。全体が薄暗く、その中で個々の対象が見えてくる。ところが、デューラーではもろもろの対象が主要な事柄であり、光は添えものと感じられる。
(ハインリヒ・ヴェルフリン 『美術史の基礎概念』、慶應義塾大学出版会 2000年、p.74)