美術史二〇〇八


期末試験問題概略告知

一、西欧美術史について基礎的な知識を問う/○×問題/一五問/各三点(四五点)

二、西欧美術史について解説した文の空欄に、適切な用語を選んで文章を完成させよ/穴埋め問題・選択肢あり/五問/各三点(一五点)

三、講義で紹介したヨーロッパの都市二つを選び、美術館や、そこに所蔵されている代表的な作品を挙げつつ対比的に論ぜよ/論述問題・課題あり/字数制限なし/四〇点


成績評価方法

試験:一〇〇点満点×〇.七(計七〇点)

課題レポート:一〇点

出席:一二回=一二点(欠席毎マイナス一点 例:欠席三回=出席点九点)

※最初の一回をカウントしない

授業態度等の調整点:全回出席者にプラス二点

そのほか授業への参加度をオピニオンシートの回答等をもとに六〜一〇点の範囲で加算


美学・美術史概論U(芸術論概説U)(後期)試験問題

実施日時 二〇〇九年二月二日(月)
10時20分〜11時50分(90分)

(各三点、計四五点)

一、次に示される(1)〜(15)の短文のうち、内容の正しいものに○印を、誤ったものに×印をそれぞれ解答用紙の各欄に記せ。

(1)色石や色ガラスなどの小さなかけらをたくさん埋め込んで、人物や何らかの場面を表したり、抽象的な模様を作り出す技法を、モザイク技法という。

(2)洗礼者ヨハネは、赤い衣装の上に緑のマントを掛けている若者として描かれることが多い。

(3)一三〇〇年代、一四〇〇年代、一五〇〇年代、一六〇〇年代を、イタリア語でそれぞれトレッチェント、クアトロチェント、チンクエチェント、セイチェントという。

(4)ラテン語の「ウェヌス・プディカ」は、「化粧するヴィーナス」という意味である。

(5)祭壇画の注文主を寄進者(ドナー)と呼ぶ。

(6)キリスト教国教化の頃に活躍した四大教父は、ヒエロニムス、大グレゴリウス、アウグスティヌス、アンブロジウスの四人である。

(7)画面に対して直角に交わるように配置された事物を描く技法を突出法と呼ぶ。

(8)はかなさや、虚栄、虚飾などの主題をアレゴリーと言う。

(9)網膜上の色彩混合は加算混合であるから、色彩は明るさを増す。

(10)愛や勝利といった抽象概念、太陽や月など自然の力を人の姿として表現したものを擬人像という。

(11)一点透視図法において、すべての線が集約される点を消失点という。

(12)十七世紀の画家たちが寓意画を描く際に典拠としたのが、チェザーレ・リーパの『イコノロギア』である。

(13)キリスト降誕の場面にかけつけたカスパール、バルタザール、メルキオールを描いた絵は、「東方三博士の礼拝」、あるいは「マギの礼拝」と呼ばれる。

(14)ラテン語の「メリ・メ・タンゲレ」は、「我に触れるな」という意味である。

(15)ラファエロが死んだ一五二〇年から十六世紀末までをマニエリスムと言う。

 

(各三点、計一五点)

二、次の文を読み、空欄となっている( A )〜( E )に、のちに記されている(1)〜(15)のうち最も適当と思われる言葉を補い、文を完成せよ。解答用紙には、( A )〜( E )の各欄に該当する言葉を(1)〜(15)の番号で記すこと。

 レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロといった西欧美術史の巨匠たちは、十五世紀から十六世紀の( A )で活躍した。彼らのパトロンを務めたのは、同地の富裕な商人や同職組合であった。そうした中でも、ブルネレスキ、ドナテッロ、ボッティチェリなどのパトロンとして、中心的な役割を果たしたのが( B )家である。
 ルネサンスに先立つ中世末期を( C )、ルネサンス以後の十七世紀を( D )と呼んでいる。( C )は、はルネサンス期のイタリアの美術家たちが、中世ドイツなど北方の美術様式を蔑んで使った言葉であり、( D )は十八世紀の著述家たちが、堕落美術や悪趣味という意味を込めて使った言葉であった。現在は、そうした否定的な見方を離れて使われる。カラヴァッジョ、ルーベンス、レンブラント、ベラスケスは、( D )を代表する画家である。
 十八世紀には、軽やかさや華やかさを特徴とするロココ趣味が台頭するが、同じ世紀の後半になると禁欲的な美術への指向が強まった。十八後半から、十九世紀前半まで続いたこの傾向を( E )と呼んでいる。ダヴィッドやアングルが、その代表的な画家である。

(1)ローマ  (2)ヴェネツィア  (3)フィレンツェ  (4)メディチ  (5)ピッティ  

(6)ストロッツィ  (7)クラシック  (8)アルカイック  (9)ゴシック  (10)バロック  

(11)ロマネスク  (12)グロテスク  (13)ロマン主義  (14)写実主義  (15)新古典主義

 

(四〇点)

三、講義で紹介したヨーロッパの都市二つを選び、美術館や、そこに所蔵されている代表的な作品を挙げつつ対比的に論ぜよ。

 

 

 

評価基準は、優=一〇〇〜八〇(学年によって秀=一〇〇〜九〇)、良=七九〜七〇、可=六九〜六〇、不可=五九〜〇である。本試験の結果をもとに各自の出席数による調整点等を加算したものを評点とする。また、三の解答のうち優れたものは、試験問題を蓄積し、今期以後の学生の参考に供するため、ウェブ上で公開する予定である。