美が結ぶ絆―ベルリン国立アジア美術館所蔵日本美術名品展

郡山市立美術館 四月十二日〜五月二十五日
岩手県立美術館 六月一日〜七月二十一日
山口県立美術館 七月三十日〜九月二十一日
愛媛県立美術館 十月一日〜十一月十六日


1.巡回展

・各館学芸員の専門性に基づいた横断的な協力体制

・共通経費の分担

cf. 美術館連絡協議会、全国美術館会議


2.ドイツにおける日本美術コレクションの形成

1867年4月-11月 パリ万国博覧会に江戸幕府、薩摩藩、佐賀藩が出品、同年11月大政奉還

フランスで日本美術に対する関心が高まる(ジャポニスム

cf. エドアール・マネ《エミール・ゾラの肖像》、1868年、油彩・カンヴァス、146×114cm、パリ、オルセー美術館

1873年 ウィーン万国博覧会に明治政府として初めて公式参加

1878年 パリ万国博覧会

1889年 パリ万国博覧会

1900年 パリ万国博覧会 日本は法隆寺金堂風の日本館を建設、御物を含む古美術品を出展

1906年11月6日 ヴィルヘルム・フォン・ボーデ(Willhelm von Bode, 1845-1929)によって王立プロイセン博物館群に東洋美術コレクション部門が設立される

オットー・キュンメル(1874-1952)が東洋美術コレクション部門の初代館長に就任

同年11月、アメリカを経由して、キュンメルの師で、民族学者のエルンスト・グローセ(Ernst Grosse, 1874-1952)とキュンメルが来日、キュンメルは1909年まで、グローセは1913年まで日本にとどまり、東アジアの美術を調査

1906年4月10日に急逝した林忠正(1853-1906)のコレクションから優先的に作品を取得した(1907年3月、絵画、茶器、高麗茶碗、漆器など)

そのとき取得された絵画約30点のうち、9点が現存(本展出品は、《大般若波羅密多教》cat.no.1、《十一面観音像》cat.no.5、《白衣観音図》cat.no.9、菱川派《四季草花美人絵巻》cat.no.38の4点)

参考:ヴィリバルト・ファイト「ベルリン国立アジア美術館所蔵「東洋美術コレクション」のなかの日本美術」、斎藤郁夫訳、『美が結ぶ絆―ベルリン国立アジア美術館所蔵日本美術名品展』図録(ホワイトインターナショナル、2008年)、11-13頁。


3.出品作品紹介

1.《文殊菩薩像》、絹本著色、一幅、鎌倉時代(13-14世紀)、105.0×44.5cm、マリー・マイヤー、エルンスト・グローセ寄贈

2.《山越阿弥陀図》、絹本著色、一幅、鎌倉時代(14世紀)、102.0×49.7cm

3.《春日宮曼荼羅》、絹本著色、一幅、南北朝―室町時代(14-15世紀)、101.2×37.3cm

4.土佐広周《天稚彦草紙絵巻》、紙本著色、一巻、室町時代(15世紀)、32.3×1082.9cm、部分拡大

5.狩野探幽《縮図画帖「筆園佚遊」》、紙本墨画淡彩、一帖、江戸時代・寛文年間(1661-73)、39.6×58.6cm(画帖)、「花鳥図」

6.曾我蕭白《牧童図》、紙本墨画、一幅、江戸時代(18世紀)、110.7×56.7cm

7.渡辺崋山《鹿図》、絹本著色、一幅、江戸時代・文化10(1813)年、151.0×71.0cm、マリー・マイヤー、エルンスト・グローセ寄贈

8.歌川豊広《夏冬江戸美人図》の「音じめ合わせ美人」、絹本著色、双幅、江戸時代・寛政(1789-1801)後期、100.0×39.4cm

9.歌川豊広《夏冬江戸美人図》の「河辺の納涼美人」、絹本著色、双幅、江戸時代・寛政(1789-1801)後期、100.0×39.4cm

10.鈴木春信《行燈と遊女》、中判錦絵、一面、江戸時代・明和年間(1765-70)頃、27.7×19.7cm

11.鳥居清満《枕相撲》、横大判紅摺絵、一面、江戸時代・宝暦後期(1760-65)頃、31.1×44.2cm

12.東州斎写楽《三代目佐野川市松の祇園町白人おなよと市川富右絵門の蟹坂藤馬》、大判錦絵、一面、寛政6(1794)年、37.7×25.4cm

13.歌川広重《東都名所 日本橋雪中》、横大判錦絵揃物、一面、江戸時代・天保末(1840-44)年頃、21.5×35.0cm

14.鏑木清方《水聲》、絹本著色、一幀、昭和5(1930)年、84.2×102.3cm