期末試験問題概略告知
一、西欧美術史について基礎的な知識を問う/○×問題/一〇問/各二点(二〇点)
二、美術館と代表作の正しい組み合わせを問う/選択肢あり/一〇問/各 三点(三〇点)
三、西欧美術史について解説した文の空欄に、適切な用語を選んで文章を完成させよ/穴埋め問題・選択肢あり/五問/各二点(一〇点)
四、 古代ギリシア、ゴシック、イタリア・ルネサンス、ヴェネツィア派、北方ルネサンス、初期フランドル派、ネーデルラント絵画、フォンテーヌブロー派、バロック、17世紀オランダ絵画、ロココ、新古典主義、ロマン主義、写実主義、印象派、ポスト印象派、新印象派、ダダのうちいずれかひとつに分類可能な作品を講義で紹介 された作品からひとつ選び、さらに同じ用語に分類可能な作品で講義で紹介されていないものを他にひとつ挙げて、それら二つの作品の共通点と相違点について論ぜよ/論述問題・課題あり/字数制限なし/四〇点
成績評価方法
試験:一〇〇点満点×〇.七(計七〇点)
課題レポート:一〇点
出席:一二回=一二点(欠席毎マイナス一点 例:欠席三回=出席点九点)
※最初の一回をカウントしない
授業態度等の調整点:全回出席者にプラス二点
そのほか授業への参加度をオピニオンシートの回答等をもとに六〜一〇点の範囲で加算
美学・美術史概論U(芸術論概説U)(前期)試験問題
実施日時 二〇〇九年七月二十七日(月)
10時20分〜11時50分(90分)
(各二点、計二〇点)
一、次に示される(1)〜(10)の短文のうち、内容の正しいものに○印を、誤ったものに×印をそれぞれ解答用紙の各欄に記せ。
(1)聖人の頭上や頭部の周りに描かれる円形ないし楕円形の光の輪を「ニンブス」と呼ぶ。
(2)ティツィアーノ、ティントレット、ヴェロネーゼは、いずれも十六世紀のヴェネツィアで活躍した画家である。
(3)キリストの磔刑図で、頭上の板に書かれている「INRI」は、「父なる神とキリストと聖霊の三位一体」を意味している。
(4)感覚世界のはかなさや、虚飾、虚栄に対する戒めを表した主題を「ウァニタス」と総称する。
(5)フランソワ一世はフィレンツェを占領し、同地で修行していたレオナルド・ダ・ヴィンチをフランスへと連れ去った。
(6)オウィディウスの『転身物語』によれば、エウロペは、牡羊に化けたユピテルによって誘拐される。
(7)フランス語の「サロン」は本来「客間」を意味するが、上流階級の夫人が主宰する文化的な集まりを「サロン」と呼んだり、ルーヴル宮殿の「サロン・カレ(方形の間)」で開催された王立アカデミー主催の美術展が「サロン」と通称されるようになった。
(8)大英博物館の所蔵品を代表する「エルギン・マーブルズ」は古代エジプト彫刻の傑作の一つ。現在、エジプト政府より返還要求が続けられている。
(9)一八九七年に設立されたテート・ギャラリーは、二〇〇〇年のテート・モダンの開館にあわせて、テート・ブリテンへと改称した。
(10)スペイン王室の宮廷首席画家として活躍したベラスケスは、マルガリータ王女を始め王室の人びとの肖像画を数多く描いた。
(各三点、計三〇点)
二、次に示される(1)〜(10)の美術館に所蔵されている代表的な美術作品を、のちに記されている(A)〜(J)から選んで正しい組み合わせを完成せよ。解答用紙の各欄に、A〜Jのアルファベットで記すこと。
(1)ウフィツィ美術館 (2)アカデミア美術館(ヴェネツィア) (3)美術史美術館(ウィーン)
(4)アルテ・ピナコテーク(ミュンヘン) (5)国立美術館絵画館(ベルリン) (6)ルーヴル美術館
(7)オルセー美術館 (8)ナショナル・ギャラリー(ロンドン) (9)テート・コレクション
(10)プラド美術館
(A)「サモトラケのニケ」 (B)ヤン・ファン・エイク《アルノルフィニ夫妻の肖像》
(C)ボッティチェリ《春》 (D)ジョルジョーネ《嵐》 (E)デューラー《四人の使徒》
(F)クラナッハ《ヴィーナスとクピド》 (G)フェルメール《絵画芸術の寓意》
(H)ゴヤ《わが子を食うサトゥルヌス》 (I)ターナー《吹雪―アルプスを越えるハンニバルとその軍勢》
(J)ルノワール《ムーラン・ド・ラ・ギャレット》
(各二点、計一〇点)
三、次の文を読み、空欄となっている( A )〜( E )に、のちに記されている(1)〜(15)のうち最も適当と思われる言葉を補い、文を完成せよ。解答用紙には、A〜Eの各欄に該当する言葉を1〜15の番号で記すこと。
美術史は、美術作品を生んだ社会やそれに携わった人びとの歴史であると同時に、作品同士のつながりの歴史でもある。例えば、( A )による「マリー・ド・メディシスの生涯」のうちの一枚、《スペインとの同盟に関する神々の会議(王妃の統治)》に描かれたアポロは、( B )美術館の「ベルヴェデーレのアポロン」の姿を下敷きにしている。また、( A )が描くボリュームある人体像は、ルネサンスの巨匠( C )の人体表現に倣ったものである。
中でも「横たわる裸婦」を描いた絵画には、美術史上に名を残す作品が多い。ジョルジョーネの《田園のヴィーナス》を鏑矢とし、ティツィアーノの《ウルビーノのヴィーナス》やベラスケスの《鏡を見るヴィーナス》を代表とする数多くのヴィーナス像が描かれた。ジャン・クーザン(父)の《エヴァ・プリマ・パンドラ》もまた、ヴィーナスではないが、神話や聖書の登場人物として描かれた女性裸体の作例の一つである。近代になると、ゴヤの《裸体のマハ》、( D )の《グランド・オダリスク》、そしてマネの《( E )》などのようにヴィーナスから離れつつ、しかし「ヴィーナス」のオーラをまとった作品が描かれるようになった。
(1)ルーベンス (2)レンブラント (3)ベラスケス (4)ヴァチカン (5)ルーヴル
(6)ウフィツィ (7)レオナルド・ダ・ヴィンチ (8)ミケランジェロ (9)ラファエロ
(10)ダヴィッド (11)アングル (12)クチュール (13)ナナ (14)オランピア (15)キキ
(四〇点)
四、古代ギリシア、ゴシック、イタリア・ルネサンス、ヴェネツィア派、北方ルネサンス、初期フランドル派、ネーデルラント絵画、フォンテーヌブロー派、バロック、十七世紀オランダ絵画、ロココ、新古典主義、ロマン主義、写実主義、印象派、ポスト印象派、新印象派、ダダのうちいずれかひとつに分類可能な作品を講義で紹介された作品から一点選び、さらに同じ用語に分類可能な作品で講義で紹介されていないものを他に一点挙げて、それら二点の作品の共通点と相違点について論ぜよ。
評価基準は、優=一〇〇〜八〇(学年によって秀=一〇〇〜九〇)、良=七九〜七〇、可=六九〜六〇、不可=五九〜〇である。本試験の結果をもとに各自の出席数による調整点等を加算したものを評点とする。また、四の解答のうち優れたものは、試験問題を蓄積し、今期以後の学生の参考に供するため、ウェブ上で公開する予定である。