特別講演 マイク・ボード「歴史上の放牧」

協力:秋吉台国際芸術村


 第二回北九州国際ビエンナーレ参加作家のマイク・ボード氏は、同展開幕に合わせて来日し、自身の制作活動のための調査も兼ねて秋吉台国際芸術村を訪問した。この機会をとらえて、同施設より講演会開催の希望があり、本講義の一般目標に掲げている「美術展や美術館の制度と背景について理解する」について、表現者の立場からの指導・助言を行う、という位置づけで講演を行ってもらった。マイク・ボード氏は、スウェーデン生まれの美術家で、史跡等の美術館的活用と観光産業化に対して批評的な作品を発表している。「歴史上の放牧(Grazing on History)」は、ランカスター大学教授ジョン・アーリ(John Urry)が、イギリスにおける歴史遺産の観光産業化について論じた著作である。講演内容は、同書の視点を発展させ、マイク・ボード氏自身による、より広域的な調査活動の成果を報告するものであった。


秋吉台国際芸術村 原田真千子さんによる講師紹介

講義風景1 観光資源として再編される歴史遺産

講義風景2 田川市石炭・歴史博物館の展示

講義風景3 ポスト近代主義による史的文脈を無視した引用

講義後の討議風景


ジョン・アーリの著作案内

ジョン・アーリ『社会を越える社会学―移動・環境・シチズンシップ』(叢書・ウニベルシタス845)、吉原直樹監訳(法政大学出版局、2006年)

ジョン・アーリ『場所を消費する』(叢書ウニベルシタス769)、武田篤志ほか訳(法政大学出版局、2003年)

ジョン・アーリ『観光のまなざし―現代社会におけるレジャーと旅行』(りぶらりあ選書)、加太宏邦訳(法政大学出版局、1995年)

ジョン・アーリ『経済・市民社会・国家―資本主義社会の解剖学』、清野正義監訳(法律文化社、1986年)