期末試験問題概略告知
1.国際美術展、および現代美術について基礎的な知識を問う/○×問題/10問/各3点(30点)
2.非欧米圏における国際美術展について解説した文の空欄に適切な用語を選んで文章を完成させよ/穴埋め問題・選択肢あり/5問/各4点(20点)
3.日本の国際美術展について、指定される5つの用語を適切に用いて論述せよ/論述問題・用語指定/字数制限なし/20点
4.国際美術展における多文化主義について、自由に論述せよ/論述問題・自由形式/字数制限なし/30点
成績評価方法
試験:100点満点×0.8(計80点)
出席:12回=12点(1欠席毎-1点 ex.欠席3回=出席点9点)
※最初の1回をカウントしない
授業態度等の調整点:全回出席者に+2点
そのほか授業への参加度をオピニオンシートの回答等をもとに6〜10点の範囲で加算
美学・美術史特殊講義(前期)試験問題
実施日時 二〇一〇年七月二十七日(火)
12時50分〜14時20分(90分)
(各三点、計三〇点)
一、次に示される(1)〜(10)の短文のうち、内容の正しいものに○印を、誤ったものに×印をそれぞれ解答用紙の各欄に記せ。
(1)チリ・トリエナル2009は、首都サンティアゴ以外にもイキケやバルパライソ、コンセプシオンなど複数の都市を会場として開催された。
(2)第十一回国際イスタンブール・ビエナリに出品されたアヴィ・モグラビ《Z32》は、パレスティナ人警官の殺害に関わった元イスラエル軍兵士の話である。
(3)多文化主義は、まず一九七〇年代にカナダやオーストラリアで有効性が認識され、その後、英国、スウェーデン、その他のヨーロッパ諸国や米国へと広がった。
(4)トランスフィールド美術賞は、一九六一年に開始されたシドニー・ビエンナーレの最高賞である。
(5)ベルゲン・バイエニアル会議は、南米で開催された国際シンポジウム。今後、より多くの国際美術展を開催するために、各国の文化機関がどのような協力体制を構築すべきかについて議論された。
(6)横浜トリエンナーレ2005のテーマは、タイムクレヴァス。KOSUGE1+16+アトリエ・ワン+ヨココム《アスレチッククラブ4号プロジェクト》の巨大な野球ゲームのように、参加型、体験型の作品が多数紹介された。
(7)アジア太平洋現代美術トライエニアルと福岡アジア美術トリエンナーレは、1980年代から緊密な協力体制のもとに開催されてきた。
(8)大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレは、若者を中心としたボランティア組織「こへび隊」の活動によって支えられている。
(9)一九七二年に開催されたドクメンタ5は、スイス人ハラルド・ゼーマンが総指揮をとった。以後、全体を一人の総監督が指揮する形式が基本形となり、後発の国際美術展の手本となった。
(10)一八九五年に開始されたヴェネツィア市国際美術展は、一九九五年の第五十回展で百周年を迎えた。
(各四点、計二〇点)
二、次の文を読み、空欄となっている( A )〜( E )に、のちに記されている(1)〜(15)のうち最も適当と思われる言葉を補い、文を完成せよ。解答用紙には、( A )〜( E )の各欄に該当する言葉を1〜15の番号で記すこと。
非欧米圏で開催される国際美術展の例としては、一九五一年に開始されたサンパウロ・ビエナウが最も早い。同展は今年第二十九回を迎える。次に一九六八年に開始されたインド・トリエンナーレ、一九七三年に開始された( A )・ビエンナーレ、一九八一年に開始されたバングラデシュ・ビエンナーレと続く。( B )年代は、ほかにもカイロ、ハバナ、イスタンブールで国際美術展が開始されており、非欧米圏の都市での開催の広がりが本格化した時代と言える。
続く( C )年代は、ダッカールト―現代アフリカ美術ビエンナーレ、シャルジャ・ビエンナーレ、光州ビエンナーレ、ヨハネスブルグ・ビエンナーレなど、アジア、アフリカ、中東など多数の国際美術展が新設され、国際美術展の増加がグローバリゼーションと関連づけられて議論されるようになった時代である。国際美術展の情報サイト「ユニヴァーシズ・イン・ユニヴァース」の主宰者の一人、ゲルハルト・ハウプトは、二〇〇〇年頃、( D )という言葉を造語している。
日本では、一九五二年に毎日新聞社主催で開始された日本国際美術展が、一九六〇年代以降、「東京ビエンナーレ」と呼ばれるようになり、一九七〇年の第十回展で注目される成果を挙げたが、その後低迷し、一九九〇年に廃止された。一九九九年から二〇〇一年にかけて、新たに福岡、越後妻有、( E )でトリエンナーレが開始されて、本格的な国際美術展時代を迎えている。(1)キャンベラ (2)シドニー (3)メルボルン (4)一九六〇 (5)一九七〇 (6)一九八〇 (7)一九九〇 (8)二〇〇〇 (9)二〇一〇 (10)グローカル (11)ビエンナリゼーション
(12)バイエニアル・カルチャー (13)横浜 (14)神戸 (15)名古屋
(二〇点)
三、日本の国際美術展について、次の五つの単語を適切に用いて論述せよ(字数制限なし)。
テーマ 観客 地域貢献 窓 鏡
(三〇点)
四、国際美術展における多文化主義について、自由に論述せよ(字数制限なし)。
評価基準は、秀=一〇〇〜九〇、優=九〇〜八〇、良=七九〜七〇、可=六九〜六〇、不可=五九〜〇である。本試験の結果をもとに各自の出席数による調整点等を加算したものを評点とする。また、三、四の解答のうち優れたものは、試験問題を蓄積し、今期以後の学生の参考に供するため、ウェブ上で公開する予定である。