<第二講> 瀬戸内国際芸術祭2010
◆授業の目標
「ここでしか見られない」現代美術ついて理解する。
美術と観光産業の関係について考える。
1.瀬戸内国際芸術祭2010
◆概要
・3年に1度開催
・会期:7月19日(海の日)〜10月31日
・会場:直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島、高松港周辺
・会場地図
◆企画体制など
・瀬戸内国際芸術祭実行委員会会長:真鍋武紀(香川県知事)
・総合プロデューサー:福武總一郎(ベネッセホールディングス取締役会長)
・総合ディレクター:北川フラム(直島福武財団ディレクター)
・コンセプト:海の復権/島×生活×アート
・参加作家:18の国と地域から75組のアーティスト、プロジェクト、16 のイベント
2.作品紹介
◆1日目:宇野→豊島→高松
1. 淀川テクニック《宇野のチヌ》(1)、(2)、(部分1)、(部分2)、(部分3)
・唐櫃港
2. ジョゼ・デ・ギマランイス(ポルトガル)《フラワー/ハッピースネーク》
4. 森万里子《トムナフーリ》
5. トビアス・レーベルガー(ドイツ)《あなたが愛するものは、あなたを泣かせもする(日本フランチャイズバージョン)》 、(内部1)、 (内部2)
2.作品紹介の中間まとめ@
「ここでしか見られない」現代美術
=サイト・スペシフィックな作品
サイト(=場所)+スペシフィック(特定の、固有の)=「特定の場所」性
“別の場所に作品を移設することは作品を破壊することと同じだ”――リチャード・セラ
To remove the work is to destroy the work.
※場所と作品は不可分
◆2日目:高松→直島
6. 草間彌生《南瓜》
7. ベネッセハウスパーク/ニキ・ド・サンファル(フランス)《猫》
2.作品紹介の中間まとめA
◆北川フラムと「希望の美術」
“20世紀は都市の時代だった。それゆえ、美術も都市の美術だった。しかし都市が病み、痛むにつれて、美術も病み、その病状を報告するようになってしまった。美術は、自らの病状を語ることによって、弱いささやかなものと呼応するのだが、その非力さは覆うべくもない。しかしこの文明のなかにあって、ささやかさはひとつの希望でもある。自然の、生理の、人間の震え……。
東京で日々開かれている「大地の芸術祭」の部会を、一度覗いてみればよい。どうして人々は遠く離れた場所のために、これだけ一生懸命になれるのだろうかと不思議に思うことだろう。地域(この場合、越後妻有)は、そこに通う都会人や若者にとって、自らの再生にとって必要な場所なのだ。それはまた、越後妻有の人々にも、わずかずつであるが伝わっていき、人々を元気づけ、動かしていく。
北川フラム『希望の美術・協働の夢―北川フラムの40年 1965-2004』(角川学芸出版、2005年)、10頁。
◆3日目:高松→女木島→男木島
10. サンジャ・サソ(ドイツ/クロアチア)《鬼合戦、あるいは裸の桃の勝利》、(部分)
11. 福武ハウス2010
12. ボエス=リ・ギャラリー
13. レアンドロ・エルリッヒ(アルゼンチン)「不在の存在」プロジェクト
14. 行武治美《均衡》会場、(内部)15. 愛知県立芸術大学アートプロジェクトチーム《愛知芸大・瀬戸内アートプロジェクト》(1)、(2)、(3)
・男木港
16. ジャウメ・プレンサ(スペイン)「男木交流館」、(部分)
17. 大岩オスカール《大岩島》
19. 谷山恭子《雨の路地》(1)、(2)
20. 北山善夫《誕生―産殿―性―死―墓―男木島伝説》会場、(内部1)、(内部2)、(内部3)
21. 谷山恭子《雨の路地》
3.まとめ
・「ここでしか見られない」現代美術
―サイト・スペシフィック
―「特定の場所」性
―場所と作品は不可分
・美術と観光産業
―アート・ツーリズム、美術探訪
―北川フラム:越後妻有(2000〜 )、瀬戸内(2010〜 )
―こえび隊(ボランティア) cf. こへび隊
―地域との出会い、人々との触れ合い