<第五講>シアトル美術館所蔵 日本・東洋美術名品展 美しきアジアの玉手箱
◆授業の目標
在外日本美術コレクション形成の背景を理解する。
日本や中国などの古美術に親しむ。
1. 「アジアの玉手箱」展
◆概要
・企画展/コレクション展/巡回展
・会期:5月23日〜7月19日
・会場:福岡市美術館
・図録編集:河合正朝、西岡康宏、白原由紀子
・会場写真
◆巡回先
・サントリー美術館 2009年7月25日-9月6日
・神戸市立博物館 2009年9月19日-12月6日
・山梨県立美術館 2009年12月23日-2010年2月28日
・MOA美術館 2010年3月13日-5月9日
・福岡市美術館 2010年5月23日-7月19日
2. 作品紹介
◆日本美術
1. 「土偶」、縄文時代(晩期)前1000年〜前400年、テラコッタ、高さ23.5×幅15.9×厚さ7.0 cm
2. 「車輪石」、古墳時代、4世紀、緑色凝灰岩、長さ12.2×幅11.5×厚さ1.0 cm
3. 「行道面 菩薩」、平安時代、保元3年(1158)、木造彩色、全高21.6×幅21.0×奥行き13.0 cm
4. 「行道面 八部衆 龍面」、鎌倉時代、13世紀前半、木造彩色、全高39.5×幅20.6×奥行き15.1 cm
5. 「色絵楼閣山水図丸紋鉢」、江戸時代、1640-50年代、有田焼、五彩手古九谷様式、絵磁器 口径31.5 cm
6. 「地獄草紙断簡 盗コ地獄」、(部分)、平安時代末期〜鎌倉時代初期、1200年頃、紙本着色、縦26.2×横65.4cm
7. 「源誓上人絵伝」、南北朝時代、延文5年(1360年)頃、絹本着色、(左)縦151.4×横81.0cm、(右)縦153.7×横81.1cm、東京藝術大学蔵
8. 「北野天神縁起絵巻断簡 船出配流」、(部分)、 鎌倉時代、弘安元年(1278年)、紙本着色、縦30.1×横52.0cm
9. 墨谿采譽(?-1473) 「月夜山水図」、室町時代、15世紀後半、紙本墨画淡彩、縦56.4×横21.6cm
10. 「烏図」、江戸時代、17世紀前半、六曲一双、紙本金地墨画、各縦156.3×横353.8cm
◆シアトル美術館東洋美術コレクションの歴史
1919(大正8) リチャード・フラー家の日本旅行。日光・金谷ホテル滞在中、リチャードが虫垂炎を発症。手術中の手違いにより、三ヶ月の療養を余儀なくされる。看病中の家族の気晴らしとして日本美術のコレクションが開始される。
1920年代 フラー家の世界旅行が続く。南米、スペイン、ポルトガル、フランス、エジプト、パレスチナなど。
1928 リチャードがシアトル美術協会理事会に入会。
1930 リチャードの父で泌尿器科医だったユージン・フラー死去。多額の遺産を残す。シアトル美術館建設のため25万ドルの私財を投入。
1933 シアトル美術館開館。リチャードは1973年まで40年間、無給の館長兼キュレーター職に就いて、東洋美術コレクションを拡充。
1948-52 副館長シャーマン・リーの時代。「美術史の王道」と目される時代性をよく示す作品群が購入された。
◆日本美術(つづき)
12. 伝 狩野孝信(1571-1618) 「琴棋書画図」、桃山時代、17世紀初期、四面、紙本金地着色、各縦174.0×横140.0cm
13. 本阿弥光悦書(1558-1637) 俵屋宗達画(17世紀前半に活躍) 「鹿下絵和歌巻」、(部分1)、(部分2)、 桃山時代〜江戸時代 1610年代 一巻、紙本金銀泥墨書、縦34.1×横930.1cm
14. 葛飾北斎(1760-1849) 「五美人図」、(部分)、江戸時代、文化年間頃(1804-18)、絹本着色、縦86.4×横31.8cm
15. 都路華香(1870-1931)《波千鳥》、明治時代、明治44年頃(1911年)、六曲一双、紙本墨画淡彩、各縦122.6×横261.6cm
◆中国美術
16. 「饕餮文鼎」、商時代、前12世紀、青銅、高24.1×幅21.3cm
17. 「黄釉絞胎碗」、北宋時代、11世紀後半〜12世紀前半、磁州窯系焦作窯、絞胎陶器、高8.0×口径17.0cm
18. 「牧牛図」、元時代、14世紀前半、絹本墨画淡彩、高25.2×幅28.2cm
19. 楊輝「墨梅図」、元時代、14世紀後半 絹本墨画、高30.8×幅63.4cm
20. 「高士観月図」、 明時代、16世紀 絹本着色 縦198.0×横106.0cm
◆韓国美術 その他のアジア美術 ベトナム・タイ・インドネシア・インド・ネパール
21. 李公愚(イ・ゴンウ)(1805-?) 「梅図」、朝鮮時代、19世紀、八曲一隻、紙本着色、縦109.4×横27.7cm
22. 「インドラ坐像」、マッラ王朝、13世紀頃、銅造貴石嵌入、高24.2×幅21.5×奥行14.6cm
3. まとめ
・在外日本美術コレクション
―19世紀半ばから20世紀初頭の日本美術ブーム(ジャポニスム)
―開国後、華族・士族・豪商の美術品蒐集が海外へ流出
―日本人の美術史研究者によるコレクション調査
・日本や中国などの古美術
―紙本、絹本、六曲一双、八曲一隻、肉筆浮世絵などの分類用語を覚える
―「琴棋書画」「高士観月」「牧牛」など画題を理解する
―会期中の展示替えの有無を事前に調べておく