第六講 ボストン美術館 浮世絵名品展 錦絵の黄金時代―清長、歌麿、写楽
◆授業の目標
ボストン美術館の日本美術コレクション形成の背景について理解する。
浮世絵版画の見どころを理解する。
1. 「錦絵の黄金時代」展
◆概要
・企画展/コレクション展/巡回展 ※「里帰り展」
・会期:2010年10月9日〜2011年1月30日
・会場:名古屋ボストン美術館
・監修:セーラ・トンプソン、永田生慈
・会場写真
◆巡回先
・神戸市立博物館 2010年8月14日-9月26日
・名古屋ボストン館 2010年10月9日-2010年1月30日
・山種美術館 2011年2月26日-4月17日
・千葉市美術館 2011年4月26日-6月5日
・仙台市博物館 2011年6月24日-8月14日
◆名古屋ボストン美術館について
・1999年4月開館
・運営:財団法人 名古屋国際芸術文化交流財団
・位置づけ:ボストン美術館の姉妹館
・活動:ボストン美術館のコレクション展示、情報提供
・建物外観
2. 作品紹介
◆第1章 鳥居清長
1. 鳥居清長 「芸者二人と女中」、安永6-7年(1777-78)頃、中判錦絵、26.2×19.1cm
2. 鳥居清長 《当世遊里美人合 橘》、天明前期(1781-84)頃、大判錦絵、38.1×26cm
3. 鳥居清長 《当世遊里美人合 叉江凉》、天明前期(1781-84)頃、大判錦絵、39.3×25.8cm
4. 鳥居清長 《雛形若菜の初模様 丁字屋内 丁山 しをり つまき》、天明2年(1782)頃、大判錦絵、39.1×25.9cm
5. 鳥居清長 《雛形若菜の初模様 あふきや内 たき川 おなみ めなみ》、天明3年(1783)頃、大判錦絵、38.6×25.8cm
◆第2章 喜多川歌麿
6. 喜多川歌麿《琴棋書画》、天明8年〜寛政2年(1788-90)頃、大判錦絵三枚続の右・中、39.3×52.3cm
7. 喜多川歌麿 「吉原仁和嘉 萩江松蔵 峯 いと」、天明3年(1783)頃、大判錦絵、38.3×25.8cm
8. 喜多川歌麿 「難波屋おきた」、寛政5年(1793)頃、大判錦絵、38.4×25.4cm
9. 喜多川歌麿 (《歌撰恋之部 稀ニ逢恋》)、寛政5-6年(1793-94)頃、大判錦絵、37.9×25.3cm
10. 喜多川歌麿 《逢身八契 梅川忠兵衛の喜伴》、寛政10-11年(1798-99)頃、大判錦絵、39.2×26.6cm
11. 喜多川歌麿 《夏衣裳当世美人 伊豆蔵仕入のもやう向キ》、文化元-3年(1804-06)頃、大判錦絵 38.7×25.9cm
12. 喜多川歌麿 「五節句」、享和3年(1803)頃、大判錦絵五枚続、39.2×132.1cm
◆ボストン美術館東洋美術コレクションの歴史
1870年(明治3年) ボストン美術館、法人として設立
1876年(明治9年) 同一般公開
1877年(明治10年) エドワード・シルヴェスター・モース来日。6,000点を超える日本陶磁のコレクションを形成。(1879年、「大森貝塚」発表)
1878年(明治11年) モースの紹介によってアーネスト・フェノロサ、哲学教授として来日。日本の伝統美術を高く評価。収集する。
1882年(明治15年) フェノロサの3度目の来日に、ウィリアム・スタージス・ビゲローが同伴。ビゲローは、そのまま日本に7年滞在し、数千点を超える日本美術コレクションを形成。
1889年(明治22年) ビゲローの友人チャールズ・ゴダード・ウェルド、フェノロサのコレクションを、ボストン美術館寄贈の目的で購入。
1890年(明治23年) フェノロサ、同館の初代日本美術部長に就任。
1904-13年 岡倉天心、ボストン美術館の東洋美術コレクションの拡張に協力。
◆第3章 東洲斎写楽
13. 東洲斎写楽 「市川男女蔵の奴一平」、寛政6年(1794)5月、大判錦絵、37.9×24.9cm
14. 東洲斎写楽 「尾上松助の孫六入道」、寛政6年(1794)11月、細判錦絵、32.3×15.1cm
15. 東洲斎写楽 《天王子屋里紅》、寛政6年(1794)11月、細判錦絵、33.3×22.8cm
◆第4章 黄金期の三大絵師をとりまく大家たち
16. 勝川春草 「楽屋の四代目市川団蔵と三代目瀬川菊之丞」、天明2-3年(1782-83)頃、大判錦絵、38.6×25cm
17. 鳥文斎栄之「品川の遊宴」、寛政2-4年(1790-92)、大判錦絵三枚続、36.4×74.7cm
18. 鳥文斎栄之 「新大橋橋下の涼み船」、寛政4年(1792)頃、大判錦絵五枚続、38.5×126cm
19. 鳥文斎栄之「茶屋娘見立雁金五人男」、寛政5年(1793)頃、横大判錦絵、37.6×24.8cm
20. 歌川豊国「六玉川 調布の玉川」、寛政後期(1795-1801)、大判錦絵三枚続、36.1×75.5cm
21. 喜多川歌麿『普賢像』、寛政2年(1790)、彩色摺絵入り狂歌本1帖、25.4×18.4cm
22. 無款(勝川春草) 「見立琴棋書画図」、寛政前期(1789-1801)、絹本著色一幅、128.4×54cm
23. 歌川豊春 「遊女と禿図」、天明年間(1781-89)、絹本著色一幅、101.5×42.4cm
3. まとめ
・ボストン美術館東洋美術コレクション
―「お雇い外国人」として来日したモース、フェノロサらによる美術品収集
―フェノロサ、岡倉天心らによる日本美術の再評価
―館外不出の条件で寄贈されたビゲローらのコレクション
・浮世絵版画の見どころ
―絵師ごとの個性
―三枚続、五枚続のパノラマ性
―髪型、髪飾り、着物の模様や道具類などの江戸風俗、歌舞伎の演目や狂歌などの江戸文化との相関
―キラ刷り:雲母の微粉を播いて銀粉のような効果を出す手法。