第八講 ナポリ・宮廷と美―カポディモンテ美術館展


 ◆授業の目標

「美術館の歴史」について理解する。

ルネサンス・バロック絵画に親しむ。


1. 「カポディモンテ美術館展」展

 ◆概要

・企画展/コレクション展/巡回展

・会期:2010年10月9日〜12月5日

・会場:京都府京都文化博物館

・主催:京都府、京都文化博物館、イタリア文科財省・カポディモンテ美術館、毎日放送、毎日新聞社

会場写真1

 ◆巡回先

・国立西洋美術館 2010年6月26日-9月26日

・京都府京都文化博物館 2010年10月9日-12月5日

会場写真2


2. 作品紹介

 ◆第I章 イタリアのルネサンス・バロック美術

1. アンドレーア・マンテーニャ《ルドヴィコ(?)・ゴンザーガの肖像》、1470年頃、テンペラ・板、25×18cm

2. ベルナルディーノ・ルイーニ《聖母子》、1510-20年、油彩・板、85×65.5cm

3. パルミジャニーノ(本名:フランチェスコ・マッツォーラ)《貴婦人の肖像(アンテア)》、1535-37年頃、油彩・カンヴァス、136×86cm

4. ブロンズィーノに帰属《貴婦人の肖像》、1525-30年頃、油彩・板、68×49cm

5. ジョルジョ・ヴァザーリ《キリストの復活》、1545年頃、油彩・板、116×73cm

6. ソフォニスバ・アングイッソラ《スピネッタに向かう自画像》、1559年頃、油彩・カンヴァス、56×48cm

7. ティツィアーノ・ヴェチェリオ《マグダラのマリア》、1567年頃、油彩・カンヴァス、122×94cm

8. エル・グレコ《燃え木でロウソクを灯す少年》、1570-72年、油彩・カンヴァス、60.5×50.5cm

9. アンニバーレ・カラッチ《聖エウスタキウスの幻視》、1585年頃、油彩・カンヴァス、86×113 cm

10. アンニーバレ・カラッチ《リナルドとアルミーダ》、1601-02年頃、油彩・カンヴァス、154×233cm

11. バルトロメオ・スケドーニ《エッケ・ホモ》、1608-10年頃、油彩・板、76×62cm

12. バルトロメオ・スケドーニ《キューピッド》、1610-12年頃、油彩・カンヴァス、82×77cm

13. グイド・レーニ《アタランテとヒッポメネス》、1622年頃、油彩・カンヴァス、192×264cm

14. ジョヴァンニ・ランフランコ《聖母子とエジプトの聖マリア、アンティオキアの聖マルガリタ》、1620-21年頃、油彩・カンヴァス、205×135cm


 ◆カポディモンテ美術館の歴史

2010年 日本でカポディモンテ美術館コレクションの巡回展開催
1995年 新しい展示基準に従って、所蔵品の公開が段階的に開始
1980年代末 大規模な改修工事
1978年 現代美術部門新設
1970年代末〜 イタリア南部の美術文化に関する展覧会の開催
 〜社会的変革期。慢性的な資金不足、建物の老朽化など問題山積〜
1957年 一般公開
 戦時中に国外へ持ち去られた美術品に対する返還運動
1920〜30年代 国家機関の調度として作品が流用される
1861年 イタリア統一、約20年間で700点超の絵画、彫刻が集約
1830年 フェルディナンド2世、ナポリ王に即位。宮殿建設再開
1799年 フランス軍ナポリ入城。350点以上の絵画が強奪される
1738年 王宮兼美術館としてカポディモンテ宮の造営開始
1734年 カルロ7世、ナポリ王に即位。母方の美術蒐集を継承

参考:マニエッラ・ウテリ「美術の王宮―カポディモンテ」、『カポディモンテ美術館展』図録(TBSテレビ、2010年)、18-29頁


15. ズアン・マリア・パドヴァン《エウリディケ》、1520-29年頃、白大理石・板岩、41×26cm

16. イル・リッチョに基づく《スフィンクスを象ったランプ》、16世紀後半、ブロンズ、高さ13cm

17. イル・リッチョに基づく《軽業師を象ったランプ》、16世紀後半、ブロンズ、高さ17cm

18, 19. ジョヴァンニ・ベルナルディーノ・アッツォリーノに帰属、左:《さいなまれる魂》、右:《希望する魂》、17世紀第一四半世紀、蝋、左:高さ8cm、右:高さ7cm


 ◆第II章 素描

20. パルミジャニーノ《矢を射るキューピッド》、1527-31年頃、インク・象牙色の紙、18.2×13.2cm

21. グイド・レーニ《マントを纏った人物の習作》、1618-19年頃、黒と白のチョーク・青灰色の紙、41×27cm

22. ジョヴァンニ・ランフランコ《福音書記者ヨハネの習作》、1634-35年、木炭、白チョーク・灰色の紙、41×27cm


 ◆第III章 ナポリのバロック絵画

23. バッティステッロ・カラッチョ《ヴィーナスとアドニス》、1631年頃、油彩・カンヴァス、204×145cm

24. フセベ・デ・リベーラ《悔悛するマグダラのマリア》、1618-23年頃、油彩・カンヴァス、78×71cm

25. 《羊飼いのお告げ》の画家《放蕩息子の帰宅》、1635-40年、油彩・カンヴァス、94×123.5cm

26. アルテミジア・ジェンティレスキ《ユディトとホロフェルネス》、1612-13年、油彩・カンヴァス 159×126cm

27. マティアス・ストーメル《羊飼いの礼拝》、1637年頃、油彩・カンヴァス、129×181cm

27. マティアス・ストーメル《エマオの晩餐》、1633-37年、油彩・カンヴァス、153×205cm

28. マッシモ・スタンツィオーネ《聖アガタの殉教》、1625年頃、油彩・カンヴァス、204×226cm

29. フランチェスコ・グアリーノ《聖アガタ》、1641-45年、油彩・カンヴァス、82×72cm

30. ベルナルド・カヴァッリーノ《聖カエキリアの法悦》、1645年、油彩・カンヴァス、61×48cm

31. ベルナルド・カッヴァリーノ《歌手》、1645年頃、油彩・カンヴァス、75×64cm

36. アンドレア・デ・リオーネ《トルコ人とキリスト教徒の戦い》、1641年頃、油彩・カンヴァス、78×181cm

37. マッテア・プレーティ《ユディト》、1653-54年、油彩・カンヴァス、186×143cm

38. ルカ・ジョルダーノ《眠るヴィーナス、キューピッドとサテュロス》、1663年、油彩・カンヴァス、137×190cm


3. まとめ

 ・「美術館の歴史」について

―強奪と散逸、継承と拡張

―“Vedi Napoli e poi mori.”

―18世紀、グランド・ツアーの目的地の1つ

―部分的なコレクション紹介→観光客向けの広報機能

 ・ルネサンス・バロック絵画

―フィレンツェ派:ヴァザーリ、ブロンズィーノ

―ヴェネツィア派:ティツィアーノ

―そのほか:マンテーニャ、パルミジャニーノ、グイド・レーニ、エル・グレコ、カラッチ、ジェンティレスキ