第九講 ウフィツィ美術館自画像コレクション


 ◆授業の目標

ウフィツィ美術館の自画像コレクションについて理解する。

「好き」か「嫌い」か、「惹かれる」か「興味ない」かで判断する。


1. 「ウフィツィ美術館自画像コレクション」展

 ◆概要

・企画展/コレクション展/巡回展

・会期:2010年11月27日〜2011年2月20日

・会場:国立国際美術館

・主催:国立国際美術館、朝日新聞社

会場写真1

 ◆巡回先

・損保ジャパン東郷青児美術館 2010年9月11日-11月14日

・国立国際美術館 2010年11月27日-2011年2月20日

会場写真2


2. 自画像コレクション

ウフィツィ美術館

ウフィツィ美術館の窓から眺めたアルノ河とヴェッキオ橋、ヴァザーリの回廊

「ヴァザーリの回廊」にかけられた自画像群

1981年の第1回寄贈自画像展、「ニオベの間」、フィレンツェ、ウフィツィ美術館

1983年の第2回寄贈自画像展、フィレンツェ、ウフィツィ美術館西回廊


3.作品紹介

 ◆I. レオポルド枢機卿とメディチ家の自画像コレクション 1664-1736

1. フランチェスコ・プリマティッチョ《自画像》、1525-32年、油彩・カンヴァス、40.5×28.5cm

2. ラヴィニア・フォンターナ《スピネッタの前の自画像》、1578年、油彩・カンヴァス、27.5×24.9cm

3. ティントレッタ (本名:マリエッタ・ロブスティ)《自画像》、1580年頃、油彩・カンヴァス、93.5×91.5cm ※大阪会場では不出品

4. アンニバーレ・カラッチ《イーゼルの上の自画像》、1603-04年頃、油彩・カンヴァス、36.5×29.8cm

5. ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ《自画像》、1635年頃、油彩・カンヴァス、62.0×46.0cm

6. ヨハネス・グンプ《自画像》、1646年、油彩・カンヴァス、88.5×89.0cm

7. レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン《自画像》、1655年、油彩・カンヴァス、76.0×61.0cm

8. ヨブ・ベルクハイデ《アトリエの自画像》、1675年、油彩・板、35.0×30.0cm

9. ロザルバ・カッリエーラ《自画像》、1709年、パステル・紙、71.0×57.0cm ※大阪会場では不出品

10. ニコラ・ファン・ハウブラーケン《花輪のなかの自画像(?)》、1720年頃、油彩・カンヴァス、136.0×99.0cm


 ◆II. ハプルブルク=ロートリンゲン(ロレーヌ)家の時代 1737-1860

11. アントニオ・チョーチ《自画像のあるアトリエの一隅》、1789年(?)、油彩・カンヴァス、67.0×58.0cm

12. テレーザ・アリッツァーラ《自画像》、1782年頃、油彩・カンヴァス、58.0×48.0cm ※大阪会場では不出品

13. アンナ・ピアットリ・バケリーニ《夫ガエターノと一緒の自画像》、1744-50年頃、パステル・カンヴァスに貼った紙、56.0×43.3cm

14. アンゲリカ・カウフマン《自画像》、1757-58年、油彩・カンヴァス、46.0×33.0cm

15. ジョシュア・レイノルズ《自画像》、1775年、油彩・カンヴァス、71.5×58.0cm

16. マリー=ルイーズ=エリザベート・ヴィジェ=ル・ブラン《マリー・アントワネットの肖像を描くヴィジェ=ル・ブラン》、1790年、油彩・カンヴァス、100.0×81.0cm ※大阪会場では不出品

17. トンマーゾ・ミナルディ《自画像》、1813年、油彩・カンヴァス、37.0×33.0cm

18. マリアノ・フォルトゥーニ・イ・マルサル《自画像》、1852年頃、油彩・厚紙、34.5×27.5cm

19. ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル《自画像》、1858年、油彩・カンヴァス、62.0×51.0cm


 ◆III. イタリア王国の時代 1861-1919

20. ローザ・ボヌール(?)《自画像》(?)、1860-65年、油彩・カンヴァス、36.0×31.0cm ※大阪会場では不出品

21. フィリッポ・バルビ《自画像》、1873年、油彩・カンヴァス、159.0×111.0cm

22. ジェームズ・アンソール《自画像》、1879年、1922-23年、油彩・カンヴァス、42.0×33.5cm

23. フレデリック・レイトン《自画像》、1880年、油彩・カンヴァス、76.5×64.0cm

24. カルロ・ベックリン《アルノルト・ベックリンの肖像》、1896年、油彩・板、100.0×80.0cm

25. ウォルター・ラングレー《自画像》、1897年、油彩・カンヴァス、77.0×64.0cm

26. フランツ・フォン・シュトゥック《自画像》、1906年、油彩・カンヴァス、105.0×91.0cm

27. エリザベート・シャプラン《緑の傘を手にした自画像》、1908年頃、油彩・カンヴァス、89.0×60.0cm

28. ウォルター・クレイン《自画像》、1912年、油彩・カンヴァス、91.0×68.5cm

29. ボリス・ミハイロヴィッチ・クストディエフ《自画像》、1912年 テンペラ・厚紙、92.0×72.6cm

30. エミール・クラウス《自画像》、1913-14年、油彩・カンヴァス、66.0×60.5cm

31. モーリス・ドニ《家族といる画家の自画像》、1916年、油彩・カンヴァス、68.0×80.0cm


 ◆IV. 20世紀の巨匠たち 1920-1980

32. ルイージ・ルッソロ《自画像》、1920年、油彩・カンヴァス、50.0×50.0cm

33. フランシス・ピカビア《自画像》、1923年、鉛筆・紙、31.0×21.0cm

34. ジャコモ・バッラ《自画像(アウトカフェ)》、1923年、油彩・板、63.5×42.5cm

35. ウンベルト・ブルネレスキ《自画像》、1936年、油彩・合板、110.0×65.0cm

36. ジョルジョ・デ・キリコ《自画像(胸像)》、1938-39年、油彩・カンヴァス、41.5×33.0cm

37. レナート・グットゥーゾ《自画像》、1940年、油彩・カンヴァス、46.0×38.0cm

38. ロベール・アイツ《自画像》、1945年、油彩・カンヴァス、65.0×54.0cm

40. フェルナン・レジェ《自画像》、1954年、グアッシュ・紙、66.5×51.0cm

41. 藤田嗣治《子供たちのいる自画像》、1956年 リトグラフ、17.5×12.5cm

42. マルク・シャガール《自画像》、1959-68年、油彩・カンヴァス、61.5×51.0cm

43. ミケランジェロ・ピストレット《自画像》、1964年、シルクスクリーン・鏡板(ステンレス・スチール)、50.0×35.0cm


 ◆V. 現代作家たちの自画像と自刻像 1981-2010

44. ロバート・ラウシェンバーグ《自画像(ブースター)》、1967年、リトグラフ、レントゲン・紙、183.0×90.0cm

45. アルヴァン・ロレイン・オルブライト《自画像》、1981年、油彩・メゾナイト、30.5×25.5cm

46. アルヴァロ・モンニーニ《自画像》、1982年、油彩・布貼りされた湾曲した多層合板 92.0×55.5cm

47. ジェフ・クーンズ《豚のいる自画像》、1998年、磁器、直径27.5cm

48. ジャンニ・カッチャリーニ《自画像》、2000-02年、油性テンペラ・板、70.4×50.2cm

49. ミンモ・パラディーノ《サラディン王としての自画像》、2003年、混合技法・金地の板、50.0×70.0cm


 ◆特別出品

50. 草間彌生 《自画像(Self-Portrait)》、2010年、アクリル・カンヴァス、100.0×80.0cm

51. 横尾忠則 《眠っている私》、2010年、アクリル、FRP樹脂・カンヴァス、100.5×73.0cm

52. 杉本博司 《歪曲的宙感》、2010年、ミクストメディア:ゼラチン・シルバー・プリント、眼鏡サンプル、ヴィンテージ写真、124.1×105.4×14.0cm


4. まとめ

 ・ウフィツィ美術館自画像コレクション

―1981年、創設400周年を迎え、コレクションを拡充

―1664年開始。1,700点以上が集まる

―「ヴァザーリの回廊」に展示。公開は不定期

 ・「好き・嫌い」「惹かれる・興味ない」

―まずは好きか嫌いか。「自分の境界線」を意識する

―嫌悪感を感じて、記憶に残る作品もある

―感情の機微から、こころの内奥を探る手掛かりを得る

―鑑賞体験の積み重ねが、自己の内面を豊かにする