基礎セミナー二〇一一


授業の概要

 この授業は1年生に向けて、レポートの書き方や研究テーマの見つけ方、論理的なものごとのとらえ方と考え方、そして論文の書き方を身につけてもらうためのセミナーです。 「セミナー」とは、発表や討論の場、講習会を意味します。人文学部でこれから4年間学んでいくために必要な基本スキルを身につけましょう。


授業の一般目標

一、問題を発見し、それを研究テーマとして捉え直すことができる。
二、図書館を活用し、研究テーマに沿って必要な情報を収集できる。
三、論理的にものごとを考え、わかりやすく記述することができる。
四、基本的事項を踏まえてレポートや論文が書ける。


授業の到達目標

知識・理解の観点

 一、図書館の活用の仕方を理解している。
 二、註のつけ方、引用の仕方など、レポート・論文の書き方の基本事項を理解し、実践できる。

思考・判断の観点

 一、自分と他人の考えを論理的に整理できる。
 二、論理の前提条件とその帰結とを取り違えることなく判別できる。

関心・意欲の観点

 一、「自分のフィールド」を持つ。
 二、より高度な、より専門的な本へと自らの読書体験を発展させることができる。

態度の観点

 「これを好むものはこれを楽しむものにしかず」……リラックスして、楽しんで受講し、課題に取り組んでください。

技能・表現の観点  

 一、提出前に推敲し、誤字・脱字・変換ミスをなくすことができる。
 二、明解な文章表現を心がけている。

 

 

授業計画

 全部で4つのレポートを提出してもらいます。1つ目は自己紹介です。今後4年間の抱負を中心に書いて下さい。2つ目は「私の発見」がテーマです。新しい生活のなかで、みんなに紹介したいことについてまとめて下さい。ここまでが前半。最初の2つは自由に書いてかまいませんが、後半は、いよいよレポートの書き方を学び、それにのっとった文章を書いてもらいます。3つ目のレポートのテーマは「研究課題の紹介」。あなたが学びたいと考えている分野について、他の受講生にもわかりやすく紹介してもらいます。この段階までに、自分が今後どの分野の学問について詳しく勉強していきたいか、選んでおいてください。その後、毎週課題文を読み、グループ・ディスカッションと意見発表を行って、論理的思考力を身につけます。最後は、「人文学の可能性」について短い論文を書いてもらいます。

四・八

<第一週> オリエンテーション1(本セミナーについて)

四・十五

<第二週> オリエンテーション2(総合図書館について)

四・二十二

<第三週> レポート発表(T)自己紹介エッセイ―大学生活の目標 レポート一覧

四・二十九

 (休講) 昭和の日

五・六

<第四週> キャンパス散歩 (YCAMレクチャー)

五・十三

<第五週> レポート発表(U)大学周辺で見つけたもの レポート一覧

五・二十

<第六週> レポート・論文の書き方(1)書き方の指南書1:読む人間から書く人間へ/徒然草的随筆から学問的・論理的文章へ

五・二十七

<第七週> レポート・論文の書き方(2) 書き方の指南書2:構想と配置の戦略/テーマを絞り込む/書く・練る・研く

六・三

 (休講) ヴェネツィア・ビエンナーレ第54回国際美術展調査

六・十

 (休講) ヴェネツィア・ビエンナーレ第54回国際美術展調査

六・十七

<第八週> レポート発表(V)研究課題の紹介=この分野について学びたい レポート一覧

六・二十四

<第九週> 論理的思考力を身につける(1)ディスカッション「近代」

七・一

<第十週> 論理的思力を身につける(2)ディスカッション「二元論と脱構築」

七・八

<第十一週> 論理的思考力を身につける(3)ディスカッション「近代的自我と他者」

七・十五

<第十二週> 論理的思考力を身につける(4)ディスカッション「国民国家と多文化主義」

七・二十二

<第十三講> レポート発表(W)人文学の可能性 レポート一覧

 

 

 

 

リンク:シラバス


参考図書

 高橋源一郎『13日間で「名文」を書けるようになる方法』(朝日新聞出版、2009年)

 中村明『センスをみがく文章上達事典』(東京堂出版、2005年)

 齋藤孝『三色ボールペンで読む日本語』(角川書店、2002年)

 石原千秋『教養としての大学受験国語』(筑摩書房、2000年)

 ウンベルト・エコ『論文作法』(而立書房、1991年)

 澤田昭夫『論文のレトリック』(講談社、1983年)

 澤田昭夫『論文の書き方』(講談社、1977年)

 清水幾太郎『論文の書き方』(岩波書店、1959年)