美学・美術史特殊講義二〇一一


期末試験問題概略告知

1.国際美術展、および現代美術について基礎的な知識を問う/○×問題/10問/各2点(20点)

2.日本の国際美術展について解説した文の空欄に適切な用語を選んで文章を完成させよ/穴埋め問題・選択肢あり/10問/各2点(20点)

3.授業で紹介された作品の中から、政治的なメッセージ性の強い作例を1つ挙げて解説せよ/論述問題・自由形式/字数制限なし/20点

4.国際美術展における地域主義と世界主義について、対比的に論述せよ/論述問題・自由形式/字数制限なし/40点


成績評価方法

試験:100点満点×0.7(計70点)

課題レポート:10点

出席:11回=11点(1欠席毎-1点 ex.欠席3回=出席点8点)

※最初の1回をカウントしない

授業態度等の調整点:全回出席者に+2点

そのほか授業への参加度をオピニオンシートの回答等をもとに7〜10点の範囲で加算


美学・美術史特殊講義(前期)試験問題

実施日時 二〇一一年八月二日(火)
12時50分〜14時20分(90分)

(各二点、計二〇点)

一、次に示される(1)〜(10)の短文のうち、内容の正しいものに○印を、誤ったものに×印をそれぞれ解答用紙の各欄に記せ。

(1)ヴェネツィア・ビエンナーレは、イタリア国王夫妻の金婚式記念事業として「ヴェネツィア市国際美術展」の名称で開始された。

(2)ヴェネツィア・ビエンナーレは一九三〇年代に拡張され、音楽祭(三〇年)、映画祭(三二年)、演劇祭(三四年)が加わった。三四年の第十九回展には、ムッソリーニとヒトラーが美術展を公式訪問している。

(3)一九五三年に開催されたサンパウロ・ビエナウの第二回展では、ピカソの《ゲルニカ》が展示された。

(4)一九五五年に開催されたドクメンタの第一回展では、ピカソやシャガール、レームブルックなど、ナチス時代に「退廃美術」の烙印を押された前衛美術家やユダヤ人画家の作品が展示された。

(5)大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレでは、イリヤ&エミリア・カバコフ《棚田》や草間彌生《花咲ける妻有》など、各回の出品作品のうちのいくつかが地元に残され、恒久展示されている。

(6)ダッカールト―現代アフリカ美術ビエンナーレ二〇一〇のオフ展部門では、世界遺産のモザンビーク島でも展示が行われた。

(7)瀬戸内国際芸術祭二〇一〇は、直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島の七つの島をの主会場として開催された。

(8)光州ビエンナーレ二〇一〇の総合監督マッシミリアーノ・ジオーニは、ヴェネツィア・ビエンナーレ第五十回国際美術展やマニフェスタ欧州現代美術ビエンナーレの共同キュレーターとしての実績を持つ。

(9)第四回中国北京国際美術双年展では、チリとオーストラリアの特別展示が行われた。

(10)現在開催中のヴェネツィア・ビエンナーレ第五十四回国際美術展の日本館の展示は、束芋の個展「てれすコープ」である。

 

(各二点、計二〇点)

二、次の文を読み、空欄となっている( A )〜( J )に、のちに記されている(1)〜(30)のうち最も適当と思われる言葉を補い、文を完成せよ。解答用紙には、( A )〜( J )の各欄に該当する言葉を1〜30の番号で記すこと。

日本において、本格的な国際美術展時代が到来したのは( A )年代である。( B )、越後妻有、横浜でトリエンナーレ形式の国際美術展が相前後して開始された。トリエンナーレは、( C )年ごとに開催される。今年第( D )回目を迎えた横浜トリエンナーレは、八月六日から十一月六日まで、( E )と日本郵船海岸通倉庫を会場に開催される。

海外も含めた多くの国際美術展が、展覧会全体を統括する総合ディレクターを置く。横浜トリエンナーレが毎回異なる総合ディレクターによって企画されるのに対し、大地の芸術祭 越後妻有トリエンナーレは、第一回から継続して( F )が総合ディレクターを務めている。また、越後妻有トリエンナーレでは、第一回展からボランティア・スタッフの活躍が高く評価されてきた。越後妻有と同じく、( F )が総合ディレクターを務めて、二〇一〇年に開始された瀬戸内国際美術展でも、( G )という名称のボランティア・スタッフのチームが編成されて、地域の人々と海外・国内の美術家、観客との間をつないでいる。( B )、越後妻有、横浜の三つのトリエンナーレのうち、( B )のトリエンナーレは( A )年代に先行する前史を持つ。( H )の現代美術を世界に先駆けていち早く紹介し、出品作品の購入と収集を通じて、( H )美術の一大コレクションを形成した。( B )( H )美術トリエンナーレは、( B )( H )美術館の開館記念事業として、( B )市美術館で開催されてきた( H )美術展を発展継承するかたちで開始された。

地元山口では、現代日本彫刻展の名称で一九六〇年代から開催されてきたUBEビエンナーレが九月二十四日から十一月十三日まで、( I )で開催される。同展は、大賞ほか受賞作品を買い上げ、市内に設置。野外彫刻の( J )として半世紀の歴史を持つ先駆的な存在である。

 

(1)一九八〇  (2)一九九〇  (3)二〇〇〇  (4)名古屋  (5)神戸  (6)福岡  
(7)一  (8)二  (9)三  (10)四  (11)五  (12)六  (13)パシフィコ横浜  
(14)横浜赤レンガ倉庫  (15)横浜美術館  (16)北川フラム  (17)建畠晢  (18)福武總一郎  
(19)こへび隊  (20)こえび隊  (21)こなび隊  (22)アジア太平洋  (23)アジア  
(24)東アジア  (25)宇部市内各所  (26)渡辺翁記念会館  (27)ときわミュージアム  
(28)企画展  (29)公募展  (30)常設展

 

 

(二〇点)

三、授業で紹介された作品の中から、政治的なメッセージ性の強い作例を一つ挙げて解説せよ(字数制限なし)。

 

 

 

(四〇点)

四、国際美術展における地域主義と世界主義について、対比的に論述せよ(字数制限なし)。

 

 

 

 

評価基準は、秀=一〇〇〜九〇、優=九〇〜八〇、良=七九〜七〇、可=六九〜六〇、不可=五九〜〇である。本試験の結果をもとに各自の出席数による調整点等を加算したものを評点とする。また、三、四の解答のうち優れたものは、試験問題を蓄積し、今期以後の学生の参考に供するため、ウェブ上で公開する予定である。

 


一、二の解答