生誕100年 香月泰男と下関〜旅のはじまり〜


授業の目標

・コレクションと企画展の関係について理解する。

・香月泰男とポロックの画業と人生について比較考察する。


1.「香月泰男と下関」展の概要 会場写真

企画展(コレクションを主体とした) /周年記念展/回顧展

会場:下関市立美術館

会期:9月28日〜10月23日

主催:下関市立美術館


「香月泰男と下関」展の章立て

・初期、1930年代〜画家への道〜

・1940年代〜独自の絵画世界の発見〜

・1950年代〜新しい表現の模索〜

・〈シベリヤ・シリーズ〉〜終わりのない旅〜

・1960年代以降〜日本的油絵の世界〜


2.作品紹介

 初期、1930年代〜画家への道〜

1. 《二人座像》、1936年、油彩・カンヴァス、145.3×112.5 cm、下関市立美術館


 1940年代〜独自の絵画世界の発見〜

2. 《石と壷》、1940年、油彩・カンヴァス、72.5×116.5 cm

3. 《月》、1948年、油彩・カンヴァス、33.4×53.4 cm、下関市立美術館

4. 《朝》、1948年、油彩・カンヴァス、53.5×33.8 cm、下関市立美術館

5. 《桐》、1948年、油彩・カンヴァス、33.3×53.3 cm、下関市立美術館

6. 《尾花》、1948年、油彩・カンヴァス、33.3×53.2 cm、下関市立美術館

7. 《月》、1949年、油彩・カンヴァス、53.4×33.4 cm、下関市立美術館

8. 《枯れた花葉》、1949年、油彩・カンヴァス、53.2×33.2 cm、下関市立美術館


 1950年代〜新しい表現の模索〜

9. 《草上》、1950年、油彩・カンヴァス、72.7×116.7 cm

10. 《パン》、1950年、油彩・カンヴァス、45.5×65.0 cm、下関市立美術館

11. 《籠の中のとうもろこし》、1952年、油彩・カンヴァス、65.2×45.5 cm、下関市立美術館

12. 《土間の山鳥》、1955年、油彩・カンヴァス、33.5×53.2 cm

13. 《うなぎ》、1956年頃、油彩・カンヴァス、27.4×41.0 cm、下関市立美術館

14. 《パリ風景(ポン・ロワイヤル)》、1957年、油彩・カンヴァス、41.1×24.2 cm、下関市立美術館

15. 《フォロ・ロマーノ》、1957年、油彩・カンヴァス、41.1×24.3 cm


 〈シベリヤ・シリーズ〉〜終わりのない旅〜

16. 《埋葬》(解説)、1948年、油彩・カンヴァス、72.1×117.1 cm、山口県立美術館

17. 《1945》(解説)、1959年、油彩・カンヴァス、72.8×116.7 cm、山口県立美術館

18. 《別》(解説)、1967年、油彩・カンヴァス、162.1×111.6 cm、山口県立美術館

19. 《アムール》(解説)、1962年、油彩・カンヴァス、162.1×112.0 cm、山口県立美術館

20. 《運ぶ人》(解説)、1960年、油彩・カンヴァス、72.8×116.7 cm、山口県立美術館

21. 《海〈ペーチカ〉冬》(解説)、1966年、油彩・カンヴァス、111.9×161.9 cm、山口県立美術館

22. 《渚〈ナホトカ〉》(解説)、1974年、油彩・カンヴァス、96.5×162.0cm、山口県立美術館

23. 《太陽B》、1960年、油彩・カンヴァス、72.1×49.2 cm、下関市立美術館

24. 《久原山》、1962年、油彩・カンヴァス、72.7×50.0 cm、下関市立美術館

25. 《せせらぎ》、1962年、油彩・カンヴァス、91.0×60.5 cm、下関市立美術館

26. 《裏山雪》、1971年、油彩・カンヴァス、90.9×60.6 cm、下関市立美術館

27. 《エトルタ》、1974年、油彩・カンヴァス、90.9×48.0 cm、下関市立美術館


香月泰男 略年譜

1911 10月25日、山口県大津郡三隅町(現・長門市)に生まれる
1931 東京美術学校入学
1934 国画会展に初入選
1936 北海道庁立倶知安中学に美術教師として赴任
1938 山口県立下関高等女学校に赴任
1940 国画会同人に推挙。同展新人奨励賞受賞
1943 召集。満州ハイラル第19野戦貨物厰営繕係に配属
1945 終戦後、1年半シベリアに抑留される
1947 5月帰国、下関高等女学校に復職
1951 第1回サンパウロ・ビエンナーレに出品
1953 戦後初めての回顧展を長府博物館(下関)で開催
1959 〈シベリヤ・シリーズ〉開始
1969 〈シベリヤ・シリーズ〉に対し第1回日本芸術大賞
1974 心筋梗塞により急逝。享年62歳


生誕100周年の作家

 ・1911年生まれ

岡本太郎( 〜1996年)
瑛九( 〜1960年)
香月泰男( 〜1974年)
ルイーズ・ブルジョワ( 〜2010年)

 ・1912年生まれ

ジャクソン・ポロック( 〜1956年)
松本竣介( 〜1948年)
奥田元宋( 〜2003年)
高山辰雄( 〜2007年)
佐藤忠良( 〜2011年)
舟越保武( 〜2002年)


3.まとめ

 ・コレクションを主体とした企画展

―地元ゆかりの作家の周年記念(没後35年、生誕100年)
―地域の「文化力」を見直す契機
―他館からの借用作品とコレクション作品との比較対照
―画業全体の再構成とコレクション作品の位置づけ

 ・香月とポロックの100年

―自己の体験を見つめ直し続けた画家(香月)
―純粋に造形的な領域で絵画の可能性を追究した画家(歩ロック)
―美術教師の職を得て、グループ展に出品、頭角を現す
―敗戦国と戦勝国(作品所蔵先の多様性)
―戦後、国際美術展に出品
―享年62歳と44歳