レンバッハハウス所蔵 カンディンスキーと青騎士


授業の目標

・購入・寄贈・寄託について理解する。

・コレクションの継承と拡充について考察する。


1.「カンディンスキーと青騎士」展の概要 会場写真

企画展(他館のコレクションを主体とした)/巡回展

会場:山口県立美術館

会期:7月5日〜9月4日

主催:山口県立美術館、毎日新聞社、tysテレビ山口


巡回スケジュール 会場写真

三菱一号館美術館 2010年11月23日-2011年2月6日

愛知県美術館  2月15日- 4月17日

兵庫県立美術館  4月26日- 6月26日

山口県立美術館  7月5日- 9月4日


「カンディンスキーと青騎士」展の章立て

序章 フランツ・フォン・レンバッハ、フランツ・フォン・シュトゥックと芸術の都ミュンヘン

第1章 ファーランクスの時代―旅の時代 1901-1907年

第2章 ムルナウの発見―芸術的総合に向かって 1908-1910年

第3章 抽象絵画の誕生―青騎士展開催へ 1911-1913年


2.作品紹介

 序章 フランツ・フォン・レンバッハ、フランツ・フォン・シュトゥックと芸術の都ミュンヘン

1. フランツ・フォン・レンバッハ《自画像》、1903年頃、油彩・カードボード、99.0×87.5 cm、レンバッハハウス美術館

2. フランツ・フォン・シュトゥック《闘うアマゾン》、1897年、油彩・ブナの板、50.0×44.0 cm、ミュンヘン分離派(レンバッハハウス美術館寄託)

3. フランツ・フォン・シュトゥック《アマゾン》、1897/98年、ブロンズ、高さ65.0 cm(台座28.0cm含む)、ミュンヘン分離派(レンバッハハウス美術館寄託)


レンバッハハウス美術館 美術館外観

  フランツ・フォン・レンバッハの旧宅を改装した美術館

1924年、遺族が市へ作品を寄贈するとともに、建物を売却
1957年、ガブリエレ・ミュンターが80歳の誕生日に、青騎士関連の作品1,000点をレンバッハハウスに寄贈
1965年、ベルンハルト・ケーラーの相続人がマルク、マッケらの作品の寄贈


 第1章 ファーランクスの時代―旅の時代 1901-1907年

4. ヴァシリー・カンディンスキー《シュヴァービング、ニコライ広場》、1901/02年、油彩・カンヴァスボード、23.8×32.2 cm、レンバッハハウス美術館

5. ヴァシリー・カンディンスキー《コッヘル―シュレードルフ》、1902年、油彩・カンヴァスボード、32.1×23.8 cm、レンバッハハウス美術館

6. ヴァシリー・カンディンスキー《カルミュンツ―絵を描くガブリエーレ・ミュンターU》、1903年、油彩・粗い目の麻布、58.5×58.5 cm、レンバッハハウス美術館

7. ヴァシリー・カンディンスキー《花嫁》、1903年、グアッシュ・褐色のカードボード、41.5×28.8 cm、レンバッハハウス美術館

8. ガブリエーレ・ミュンター《風景を描くカンディンスキー》、1903年、油彩・カンヴァスボード、16.9×25.0 cm、レンバッハハウス美術館

9. ヴァシリー・カンディンスキー《ガブリエーレ・ミュンターの肖像》、1905年、油彩・カンヴァス、45.2×45.0 cm、レンバッハハウス美術館

10. ガブリエーレ・ミュンター《窓からの眺め、セーブル》、1906年、油彩・カンヴァス、38.0×46.0 cm、レンバッハハウス美術館


ミュンターとカンディンスキー

セーブルにて

サン・クルー公園のテラスにて


 第2章 ムルナウの発見―芸術的総合に向かって 1908-1910年

11. ヴァシリー・カンディンスキー《ムルナウ―家並み》、1908年、油彩・カードボード、32.8×41.0 cm、レンバッハハウス美術館

12. ガブリエーレ・ミュンター《ヤウレンスキーとヴェレフキン》、1906年、油彩・カードボード、32.7×44.5 cm、レンバッハハウス美術館

13. ヴァシリー・カンディンスキー《室内(私の食堂)》、1908年、油彩・カードボード、50.0×64.5 cm、レンバッハハウス美術館

14. ヴァシリー・カンディンスキー《ムルナウ近郊の鉄道》、1909年、鉛筆、クレヨンの上に油彩・カードボード、36.0×49.0 cm、レンバッハハウス美術館

15. ヴァシリー・カンディンスキー《オリエント風》、1909年、オイルテンペラ、水彩(?)・カードボード、70.0×97.5 cm、レンバッハハウス美術館

16. ヴァシリー・カンディンスキー《山》、1909年、オイルテンペラ・カンヴァス、109.5×109.7 cm、レンバッハハウス美術館

17. ガブリエーレ・ミュンター《コッヘルの十字架墓標》、1909年、油彩・カードボード、40.5×32.8 cm、レンバッハハウス美術館

18. ガブリエーレ・ミュンター《耳を傾ける(ヤウレンスキーの肖像)》、1909年、油彩・カードボード、49.7×66.2 cm、レンバッハハウス美術館

19. アウグスト・マッケ《林檎をもつ肖像》、1909年、油彩・カンヴァス、66.0×59.5 cm、レンバッハハウス美術館
 


 第3章 抽象絵画の誕生―青騎士展開催へ 1911-1913年

20. ヴァシリー・カンディンスキー《印象V》、1911年、オイルテンペラ・カンヴァス、77.5×100.0 cm、レンバッハハウス美術館

21. ヴァシリー・カンディンスキー《万聖節T》、1911年、オイルテンペラ・カードボード、50.0×64.8 cm、レンバッハハウス美術館

22. ガブリエーレ・ミュンター《テーブルの男(カンディンスキー)》、1911年、油彩・カードボード、51.6×68.5 cm、レンバッハハウス美術館

23. ガブリエーレ・ミュンター《聖ゲオルギウスと静物》、1911年、油彩・カードボード、51.1×68.0 cm、レンバッハハウス美術館

24. フランツ・マルク《牛、黄―赤―緑》、1911年、油彩・カンヴァス、62.5×88.5 cm、レンバッハハウス美術館

25. アレクセイ・ヤウレンスキー《成熟》、1912年頃、油彩・カードボード、53.3×49.5 cm、レンバッハハウス美術館

26. フランツ・マルク《虎》、1912年、油彩・カンヴァス、111.0×101.5 cm、レンバッハハウス美術館

27. ヴァシリー・カンディンスキー《コンポジションZのための習作2》、1913年、オイルテンペラ・カンヴァス、62.5×88.5 cm、レンバッハハウス美術館

28. アウグスト・マッケ《遊歩道》、1913年、油彩・カードボード、51.0×57.0 cm、レンバッハハウス美術館

29. アウグスト・マッケ《花の絨毯》、1913年、油彩・カンヴァス、60.5×48.5 cm、レンバッハハウス美術館


購入・寄贈・寄託

購入=美術館独自の予算(※)でコレクションを拡充する方法。学芸員が作品を選定し、専門家等から構成される委員会で審査・承認

  ※米国等の美術館では作品購入のために寄付を募る

寄贈=美術館の地元やコレクションに縁の深い作品を所蔵する美術家の遺族、個人コレクターや企業から

寄託=所有権はもとの持主のまま、管理と展示を美術館に委託する


カンディンスキーと青騎士 関連年譜

1896 カンディンスキー、ミュンヘンに移り住む
1901 「ファーランクス」結成
1902 ミュンター、カンディンスキーの生徒となる
1903 ファーランクスの夏の旅行(ミュンターとカンディンスキーの仲は決定的となり、「婚約」と称し確認)
1908 ムルナウでの共同制作。ミュンター、カンディンスキー、ヤウレンスキー、ヴェレフキンの4人とも新しい絵画表現を獲得する
1909 「ミュンヘン新芸術家協会」設立
1911 「青騎士」結成
1914 カンディンスキー、故郷へ帰る


3.まとめ

 ・購入・寄贈・寄託

―文化予算の削減=購入予算の削減
―美術館の購入活動は作品研究や調査の延長線上にある
―寄託から購入へ/購入できない作品を寄託して展示
―寄贈に対する受け入れと選別の問題

 ・コレクションの継承と拡充

―地域の文化拠点としての美術館
―美術館は誰のものか?
―コレクションは誰のものか?
―美術館とコレクションを支える活動としての寄付や寄贈
―個人や企業コレクションの重要性
―美術品コレクションは西洋文化か?