南蛮美術の光と影 泰西王侯騎馬図の謎


授業の目標

・「南蛮美術」について理解する。

・東西文化の交流について考察する。


1.「南蛮美術の光と影」展の概要

企画展/サントリー美術館開館50周年記念展/巡回展

会場:サントリー美術館

会期:2011年10月26日〜12月4日

主催:サントリー美術館、日本経済新聞社


巡回スケジュール

サントリー美術館 2011年10月26日〜12月4日

神戸市立博物館  2012年4月21日- 6月3日


「南蛮美術の光と影」展の章立て

第1章 はるかなる西洋との出会い

第2章 聖画の到来

第3章 キリシタンと輸出漆器

第4章 泰西王侯騎馬図の誕生と初期洋風画

第5章 キリシタン弾圧

第6章 キリシタン時代の終焉と洋風画の変容

第7章 南蛮趣味の絵画と工芸


2.作品紹介

 第1章 はるかなる西洋との出会い

1. 《南蛮屏風》(左隻)(右隻)(左隻部分図)(右隻部分図)、桃山〜江戸時代初期、16世紀後半〜17世紀前半、紙本金地着色、六曲一双、各159×375 cm、大坂天守閣

2. 狩野山楽《南蛮屏風》(左隻)(右隻)、桃山時代、17世紀初期、紙本金地着色、六曲一双、各166.8×357 cm、サントリー美術館

3. 《南蛮屏風(南蛮人渡来図屏風)》(左隻)(右隻)、桃山時代、17世紀前期、紙本金地着色、六曲一双、各155.8×334.5 cm、宮内庁三の丸尚蔵館


 第2章 聖画の到来

4. 《ポルトガル国インド副王信書》、天正15年(1587年)、羊皮紙着色、一通、60×76.8 cm、京都市・妙法院

5. 《悲しみの聖母図》、16世紀末〜17世紀初期、油彩・亜麻布、一面、52.5×40 cm、南蛮文化館


 第3章 キリシタンと輸出漆器

6. 《花樹鳥獣蒔絵螺鈿聖龕》、桃山時代、16世紀末〜17世紀初期、一基、高45×幅29.5×厚4.5 cm、名古屋市博物館

7. 《花鳥蒔絵螺鈿聖龕》、桃山時代、16世紀末〜17世紀初期、一基、高61.5×幅39.5×厚5.0 cm、九州国立博物館

8. 《IHS花鳥蒔絵螺鈿書見台》、桃山時代、16世紀後半〜17世紀初期、一基、高29.5×縦43×横27 cm、南蛮文化館


 第4章 泰西王侯騎馬図の誕生と初期洋風画

9. 《泰西王侯騎馬図屏風》(部分図1)(2)(3)(4)、桃山〜江戸時代初期、17世紀初期、紙本金地着色、四曲一双、各184×245 cm、サントリー美術館

10. 《泰西王侯騎馬図屏風》(部分図1)(2)(3)(4)、桃山〜江戸時代初期、17世紀初期、紙本金地着色、四曲一隻、166.2×460.4 cm、神戸市立博物館

11. 《万国絵図屏風》、桃山〜江戸時代初期、17世紀初期、紙本着色、八曲一双、各153.5×369 cm、宮内庁三の丸尚蔵館

12. 《レパント戦闘図・世界地図屏風》(右隻)、桃山〜江戸時代初期、17世紀前期、紙本着色、六曲一双、各153.5×369 cm、香雪美術館

13. 《洋人奏楽図屏風》、桃山〜江戸時代初期、17世紀前期、紙本着色、六曲一双、各93×302.5 cm、MOA美術館


 第5章 キリシタン弾圧

14. 《元和五年、長崎大殉教図》、マカオ製、1626-32年、紙本着色、一面、127×170 cm、イタリア内務省 宗教建造物基金(ジェズ教会)

15. 《元和八年、長崎大殉教図》、マカオ製、1626-32年、紙本着色、一面、135×155 cm、イタリア内務省 宗教建造物基金(ジェズ教会)

16. 《日本イエズス会士殉教図》、17世紀、紙本着色、一面、110×220 cm、イタリア内務省 宗教建造物基金(ジェズ教会)

17. 萩原祐佐《ピエタ》、江戸時代初期、17世紀、真鍮、一枚、縦18.8×横13.6×厚2.3 cm、東京国立博物館


 第6章 キリシタン時代の終焉と洋風画の変容

18. 《聖フランシスコ・ザヴィエル像》、江戸時代初期、17世紀初期、紙本着色、一面、61×48.7 cm、神戸市立博物館

19. 信方《婦女弾琴図》、江戸時代初期、17世紀前半、紙本着色、一幅、55.5×37.3 cm、大和文華館

20. 信方《達磨図》、江戸時代初期、17世紀前半、紙本着色、一面、60.7×28.5 cm、埼玉県・養竹院

 ・参考図との比較


 第7章 南蛮趣味の絵画と工芸

21. 天木宗忡《花下遊楽図屏風》(左隻部分図)、桃山時代、17世紀初期、紙本着色、六曲一双、各151.0×352 cm、サントリー美術館


南蛮美術 関連年譜

1543 ポルトガル人、種子島に鉄砲伝来
1549 フランシスコ・ザヴィエル、鹿児島上陸
1551 ザヴィエル、山口で大内義隆に大時計等を献上
1576 京都下京に南蛮寺建立
1582 天正遣欧使節、長崎を出発
1583 イタリア人画家ジョヴァンニ・ニコラオ、長崎に着任
1587 秀吉、バテレン追放令発布
1596 二十六信徒、長崎で殉教
1600 関ヶ原の戦い
1611 家康、南蛮世界図屏風を見て諸外国について議論
1637 島原の乱


3.まとめ

 ・南蛮美術

―南蛮文化の影響によって生まれた美術
―キリスト教の禁止と鎖国によって衰退
―16世紀後期〜17世紀中葉
―南蛮屏風や洋風画、漆器、陶器、染織、金工など

 ・東西文化の交流

―日本人洋画家育成の端緒
―異国趣味の流行
―輸出向け美術工芸品の制作
―キリスト教の布教と植民地政策、禁止令と鎖国