美学・美術史特殊講義二〇一二


期末試験問題概略告知

1.国際美術展、および現代美術について基礎的な知識を問う/○×問題/10問/各2点(20点)

2.国際美術展の歴史について解説した文の空欄に適切な用語を選んで文章を完成させよ/穴埋め問題・選択肢あり/10問/各2点(20点)

3.日本の国際美術展の特徴について、海外の他の国際美術展と比較しつつ論述せよ/論述問題・自由形式/字数制限なし/30点

4.国際美術展におけるグローカリティについて、展覧会の企画テーマや出品作品など具体例を挙げて論述せよ/論述問題・自由形式/字数制限なし/30点


成績評価方法

試験:100点満点×0.7(計70点)

課題レポート:10点

出席:11回=11点(1欠席毎-1点 ex.欠席3回=出席点8点)

※最初の1回をカウントしない

授業態度等の調整点:全回出席者に+2点

そのほか授業への参加度をオピニオンシートの回答等をもとに7〜10点の範囲で加算


美学・美術史特殊講義(前期)試験問題

実施日時 二〇一二年七月二十四日(火)
12時50分〜14時20分(90分)

(各二点、計二〇点)

一、次に示される(1)〜(10)の短文のうち、内容の正しいものに○印を、誤ったものに×印をそれぞれ解答用紙の各欄に記せ。

(1)日本における国際美術展について審議した国際美術協議会は、一九九七年提出の報告書で「横浜市が候補地として有力である」と結論した。

(2)今年の七月二十九日から開幕する「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2012」は、二〇〇〇年の第一回展から数えて第四回目にあたる。

(3)札幌ビエンナーレは、二〇一四年の本開催を目指して、現在、プレ企画が開催中である。

(4)第一回現代日本彫刻展は、一九六五年に開催された。

(5)呉光洙は、光州ビエンナーレの第一回から第三回までのテーマ(境界を越えて/地球の余白/人+間)をそれぞれ「天・地・人」に相当すると解釈した。

(6)一九九八年に開催された第一回台北雙年展のキュレーターは、日本人の南條史生が務めた。

(7)二〇一〇年に開催された第五回釜山ビエンナーレの芸術監督は、日本人の東谷隆司が務めた。

(8)第十一回国際イスタンブール・ビエナリのタイトルは、シェイクスピアの戯曲『三文オペラ』の「何で人は生きるか?」からとられた。

(9)現在開催中のドクメンタ(13)に出品されている大竹伸朗の作品は、フリデリチアヌム美術館のロトンダに展示されている。

(10)二〇一一年に開催されたヴェネツィア・ビエンナーレ第五十四回国際美術展の参加国数は約一二〇カ国で、年々増加の傾向にある。

 

(各二点、計二〇点)

二、次の文を読み、空欄となっている( A )〜( J )に、のちに記されている(1)〜(30)のうち最も適当と思われる言葉を補い、文を完成せよ。解答用紙には、( A )〜( J )の各欄に該当する言葉を1〜30の番号で記すこと。

 世界で最も古いビエンナーレは、ヴェネツィアで( A )年に開始された。当時は「ヴェネツィア市国際美術展」という名称で、イタリア国王( B )一世夫妻の銀婚式を祝う名目で始まったものである。現在のヴェネツィア・ビエンナーレは、美術展のほか、歴史資料館、音楽祭、映画祭、演劇祭、建築展、舞踊祭の七部門で構成されているが、このうち、音楽、映画、演劇部門は、( C )政権時代の一九三〇年代に拡張されたものである。
 第二次世界大戦後の一九五一年に南半球で始まったのが、( D )である。同展は、史上二番目に古いビエンナーレと呼ばれている。日本では、一九五二年に( E )新聞社の主催で日本国際美術展を開始したが、同展は一九九〇年の第十八回展をもって終了した。その後一九九五年に、アジア初の大型国際美術展が( F )で開始される。同展では、第七回展で、二〇〇二年のドクメンタ11を手掛けたオクウィ・エンウェゾーを、第八回展では、二〇〇四年開催のマニフェスタ5―ヨーロッパ現代美術ビエンナーレの共同キュレーターの一人だったマッシミリアーノ・ジオーニを総合監督に抜擢するなど、国際的な人選を行っている。
 一九八〇年代から、世界中でビエンナーレやトリエンナーレの新設が相次いだ。これら後発の国際美術展の多くは、ヴェネツィア・ビエンナーレのような( G )制度を採らず、総合監督が展覧会のテーマを設定し、作家や作品を選定する方式を採用している。こうした方式は、一九七〇年代に( H )が先鞭をつけたものである。
 国際美術展のテーマ設定は、総合監督を務めるキュレーターの問題意識や、時代の課題を反映している。二〇一一年に開催されたシンガポール・ビエンナーレの「オープン・ハウス」、ヨコハマトリエンナーレの「( I )」、今年九月に予定されている光州ビエンナーレの「ラウンド・テーブル」など、近年の国際美術展では、観客の参加、地域との対話が重視されている。
 一九六一年の第一回宇部市野外彫刻展に始まり、昨年五十周年を迎えたUBEビエンナーレは、現代日本彫刻展の名称で二年毎に開催されてきた公募展を国際化し、二〇〇八年の作品公募から改称したものである。優秀作品には、宇部市賞、宇部興産株式会社賞、( E )新聞社賞などが贈られる。授賞制度と連動した( J )事業をめぐる議論は、今後もますます重要になってくると考えられる。

 

(1)一八八五  (2)一八九五  (3)一九〇五  (4)ウンベルト  (5)ルドヴィーコ  
(6)ヴィットーリオ・エマヌエーレ  (7)ヒトラー  (8)フランコ  (9)ムッソリーニ  
(10)チリ・トリエナル  (11)サンパウロ・ビエナウ  (12)シドニー・ビエンナーレ  
(13)朝日  (14)読売  (15)毎日  (16)光州  (17)上海  (18)台北  
(19)招待作家  (20)国別参加  (21)作品公募  (22)パリ・ビエンナーレ  (23)ドクメンタ  
(24)マニフェスタ  (25)アート・サーカス  (26)タイム・クレヴァス  
(27)アワー・マジック・アワー  (28)公園整備  (29)彫刻設置  (30)中心市街地活性化

 

(三〇点)

三、日本の国際美術展の特徴について、海外の他の国際美術展と比較しつつ論述せよ(字数制限なし)。

 

 

(三〇点)

四、国際美術展におけるグローカリティについて、展覧会の企画テーマや出品作品など具体例を挙げて論述せよ(字数制限なし)。

 

 

 

評価基準は、秀=一〇〇〜九〇、優=九〇〜八〇、良=七九〜七〇、可=六九〜六〇、不可=五九〜〇である。本試験の結果をもとに各自の出席数による調整点等を加算したものを評点とする。また、三、四の解答のうち優れたものは、試験問題を蓄積し、今期以後の学生の参考に供するため、ウェブ上で公開する予定である。


一、二の解答