ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展の概要


1.はじめに

ビエンナーレ【biennale イタリア】(「二年ごとの」の意)二年に一度行なわれる美術展のこと。→トリエンナーレ (『広辞苑』第六版、2008年、2335頁)

『広辞苑』に見る「ビエンナーレ」の変遷

 ◆日本のビエンナーレ/トリエンナーレ地図

1999 福岡アジア美術トリエンナーレ
2000 大地の芸術祭 越後妻有アート トリエンナーレ
2001 横浜トリエンナーレ
    BIWAKOビエンナーレ
 …
2007 中之条ビエンナーレ(群馬)
    北九州国際ビエンナーレ
    港で出合う芸術祭 神戸ビエンナーレ
2008 UBEビエンナーレ(山口) ※現代日本彫刻展から改称
    姫路城 現代美術ビエンナーレ(兵庫)
2009 堂島リバービエンナーレ(大阪)
2010 瀬戸内国際芸術祭 ※トリエンナーレ
    あいちトリエンナーレ
    西宮船坂ビエンナーレ(兵庫)
 …
2014 札幌ビエンナーレ


2.ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展を理解するための5つのキーワード

1. ジャルディーニ

2. 日本館

3. コミッショナー

4. 国際交流基金

5. 金獅子賞


2−1.ジャルディーニ

ヴェネツィア地図

サンタ・ルチア駅

リアルト橋

サン・マルコ広場

アカデミア美術館

 ◆ジャルディーニとは…

ヴェネツィア本島の東端に位置する公園。

ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展の主会場の1つで、約30の国別パヴィリオンが建ち並ぶ(もう1つの主会場はアルセナーレ)

giardini (giardinoの複数形) = イタリア語で「庭」の意。カステッロ公園(Giardini di Castello)とも。

カステッロ公園入口

記者専用入口

カステッロ公園/正面に展示館

展示館

ジャルディーニ会場図面

 ◆ジャルディーニの国別パヴィリオン

1. 展示館/2. オランダ館/3. ベルギー館/4. スペイン館/5. スイス館/6. ベネズエラ館/7. ロシア館/8. 日本館/9 韓国館/10. ドイツ館/11. カナダ館/12. イギリス館/13. フランス館/14. チェコ+スロバキア館/15. オーストラリア館/16. ウルグアイ館/17. イスラエル館/18.アメリカ館/19. 北欧館/20. デンマーク館/21. フィンランド館/22. ハンガリー館/23. ブラジル館/24. オーストリア館/25. セルビア館/26. エジプト館/27. ヴェネツィア館/28. ポーランド館/29. ルーマニア館/30. ギリシャ館


2−2.日本館

第54回展(2011年)の日本館

 ・束芋「てれこスープ」(1)(2)(3)

第53回展(2009年)の日本館

 ・やなぎみわ「老少女劇団」(1)(2)

第52回展(2007年)の日本館

 ・岡部昌生「わたしたちの過去に、未来はあるのか」(1)(2)

第51回展(2005年)の日本館

 ・石内都「Mother’s」(1)(2)

第50回展(2003年)の日本館

 ・曽根裕 展示風景

 ・小谷元彦 展示風景

 ◆日本館とは…

ヴェネツィア・ビエンナーレの主会場ジャルディーニにある、日本主催の展覧会のための建物

現代美術展と建築展に使用される。

1956年、外務省予算300万円に石橋正二郎の寄付を加えて建設された。建築家は吉阪隆正

 ◆日本館の歴史

1950年代

1960年代

1970年代

1980年代

1990年代

2000年代

2010年代


2−3.コミッショナー

第55回展コミッショナー:蔵屋美香

蔵屋美香+田中功起 ステートメント

 ◆コミッショナーとは…

ヴェネツィア・ビエンナーレの国別展示部門における各国館の展示責任者

美術評論家や学芸員(キュレーター)が務める。

cf. コミッショナー【commissioner】プロ野球・ボクシングなどで、その統制をとる最高権威者。(『広辞苑』第六版、1055頁)

 ◆日本館代表作家、展覧会名/コミッショナー 1952-2013

2013 田中功起「抽象的に話すこと―不確かなものの共有とコレクティブ・アクト」/蔵屋美香(東京国立近代美術館美術課長)
2011 束芋「てれこスープ」/植松由佳(国立国際美術館主任研究員)
2009 やなぎみわ「老少女劇団」/南嶌宏(美術評論家・女子美術大学教授)
2007 岡部昌生「わたしたちの過去に、未来はあるのか」/港千尋(写真家・多摩美術大学教授)
2005 石内都「Mother’s」/笠原美智子(東京都現代美術館学芸員)
2003 曽根裕、小谷元彦「ヘテロトピア」/長谷川祐子(金沢21世紀美術館建設事務局学芸課長)
2001 畠山直哉、中村政人、藤本由起夫「ファースト&スロウ」/逢坂恵理子(水戸芸術館現代美術センター芸術監督)
1999 宮島達男、「時の蘇生」柿の木プロジェクト実行委員会/塩田純一(東京都現代美術館学芸部長)
1997 内藤礼/南條史生(美術評論家)
1995 日比野克彦、河口洋一郎、崔在銀、千住博/伊東順二(美術評論家)
1993 草間彌生/建畠晢(美術評論家・多摩美術大学助教授)
1990 遠藤利克、村岡三郎/建畠晢(美術評論家・国立国際美術館主任研究官)
1988 戸谷成雄、植松奎二、舟越桂/酒井忠康(美術評論家)
1986 若林奮、眞坂雅文/酒井忠康(美術評論家)
1984 伊藤公象、田窪恭治、堀浩哉/たにあらた(美術評論家)
1982 彦坂尚嘉、北山善夫、川俣正/たにあらた(美術評論家)
1980 榎倉康二、小清水漸、若林奮/岡田隆彦(美術評論家)
1978 榎倉康二、菅木志雄/中原佑介(美術評論家)
1976 篠山紀信/中原佑介(美術評論家)
1972 宇佐美圭司、田中信太郎/東野芳明(美術評論家)
1970 荒川修作、関根伸夫/東野芳明(美術評論家)
1968 三木富雄、菅井汲、高松次郎、山口勝弘/針生一郎(美術評論家)
1966 オノサト・トシノブ、池田満寿夫、篠田守男、靉嘔/久保貞次郎(美術評論家)
1964 斎藤義重、オノサト・トシノブ、堂本尚郎、豊福知徳/嘉門安雄(美術評論家)
1962 江見絹子、川端実、菅井汲、杉全直、向井良吉/今泉篤男(美術評論家)
1960 今井俊満、斎藤義重、佐藤敬、山口薫、小野忠弘、豊福知徳、柳原義達、浜口陽三/富永惣一(美術評論家)
1958 福沢一郎、川端龍子、前田青邨、岡田謙三、木内克、辻晋堂/瀧口修造(美術評論家・詩人)
1956 須田国太郎、脇田和、山口長男、植木茂、山本豊市、棟方志功/石橋正二郎(ブリヂストンタイヤ代表取締役)、富永惣一(美術評論家)、伊原宇三郎(洋画家)
1954 坂本繁二郎、岡本太郎/土方定一(美術評論家)
1952 横山大観、小林古径、鏑木清方、福田平八郎、山本丘人、吉岡堅二、安井曽太郎、徳岡神泉、梅原龍三郎、福沢一郎、川口軌外/梅原龍三郎(洋画家)


2−4.国際交流基金

 ◆国際交流基金とは…

1972年に設立された外務省所管の特殊法人。

2003年10月1日付けで「独立行政法人化」。

=「旧外務省所管の独立行政法人」

@文化芸術交流、A海外における日本語教育、B日本研究・知的交流の3事業部門から成る

英語名:The Japan Foundation(ジャパン・ファウンデーション)

1934年創設の財団法人国際文化振興会(KBS)が母体。
 

記録集:『ヴェネチア・ビエンナーレ―日本参加の40年』(国際交流基金、1995年)

日本館公式サイト:

  http://www.jpf.go.jp/j/culture/exhibit/international/index.htmlトップページ


2−5.金獅子賞

有翼の獅子(聖マルコの象徴)のトロフィー

 ◆金獅子賞とは…

ヴェネツィア国際映画祭の最高賞(1949年〜)。

1951年 黒澤明「羅生門」
1958年 稲垣浩「無法松の一生」
1997年 北野武「HANABI」

1986年より、ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展でも授与。2009年の第53回展では国別参加部門、国際企画展部門、生涯業績部門の3部門、および若手美術家へ銀獅子賞を設定。2003年の第51回展では35歳未満の美術家やイタリア若手女性美術家への金獅子賞も設定された。イタリア語で「Leone d'Oro

第54回展 国際審査員

第55回展の参加国:88カ国

 ◆国別参加部門:金獅子賞

・ドイツ館:クリストフ・シュリンゲンズィーフ《内なる異人に対する恐怖の教会》(1)(2)(3)

 ◆国際企画展部門:金獅子賞

クリスチャン・マークレイ《時計》


3.まとめ

 ・ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展

―ヴェネツィア本島の東端に位置するカステッロ公園(ジャルディーニ)を主会場の一つとして2年に1度開催されている国際美術展。

―国別参加部門、国際企画展部門、生涯業績部門などに金獅子賞が授与される。

―今年は第55回展(6月-11月)。

 ・ヴェネツィア・ビエンナーレと日本

―日本館の代表作家は田中功起さん。コミッショナーは蔵屋美香さん。

―日本館の展示を主催しているのは国際交流基金。

※「現代美術のオリンピック」


 ◆参考図書

『ヴェネチア・ビエンナーレ―日本参加の40年』(国際交流基金、1995年)

『12人の挑戦―大観から日比野まで』(茨城新聞社、2002年)

 ◆参考URL

  ・国際交流基金/国際美術展への参加

http://www.jpf.go.jp/j/culture/exhibit/international/index.html

  ・La Biennale di Venezia

http://www.labiennale.org/it/Home.html

1895年、「ヴェネツィア市国際美術展」の名称で始まった

・ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展は、「ヴェネツィア・ビエンナーレ」の一部門(美術のほかに、建築、映画、舞踊、音楽、演劇、歴史資料館の7部門から成る)

日曜美術館で紹介されることもある。