ヴェネツィア・ビエンナーレ第55回国際美術展(併催展)と総括
1.併催展部門
1. 「好き、嫌い―アゼルバイジャンとその周辺国の現代美術」展(アルセナーレ北エリア)
2. スラブズ・アンド・タタールズ(2006結成- )《反近代主義者モッラ・ナスレディン》
3. アフルズ・アミギ(1974- イラン)《無題》(1)、(2)、(3)
4. ラシャド・アラバロフ(1979- アゼルバイジャン)《翻訳で失われて…これも見過ごされるだろう》(1)、(2)
6. 「別の仕方で占領された」展(パラッツォ・カ・ジュスティニアン・レカナティ)
7. バシーア・マクール(1963- パレスティナ)《幽かな址に入り、幽かな址から出る》(1)、(2)
9. 艾未未(アイ・ウェイウェイ, 1957- 中国)「処分」展(サンタントニン教会)(1)、(2)
10. 艾未未「処分」展:独房の天井部に開けられた覗き窓(1)、(2)
2.その他の展示
14. マリア・クリスティナ・フィヌッチ(イタリア)「ゴミ・パッチ国」(カ・フォスカーリ大学)(1)、(2)、(3)、(4)
15. 「驚異の部屋」展(パラッツォ・ヴィドマン)
16. ヤン・ファーブル(1958- ベルギー)《骸骨とマガモ(雌)》、2012年
17. ジャン=リュック・モーマン(1967- ベルギー)《イエス・キリスト》、2007年
18. ウルリケ・ボーレンツ(1958- ドイツ)《蜻蛉》、2011年
19. 「驚異の部屋」 展示風景(1)、(2)
3.総括
◆5つのキーワードで理解するヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展
1. ジャルディーニ
2. 日本館
3. コミッショナー
4. 国際交流基金
5. 金獅子賞
・第55回展(2013年)
―ジャルディーニの優位性に対する批判(チリ館)
―日本館:田中功起「抽象的に話すこと」 特別表彰
―コミッショナー:国別展示の課題レポート
―国際交流基金:日本館公式サイト(作品映像とステートメント)
―金獅子賞:国別参加部門でアンゴラ館(アフリカ)に
◆3エリア、3部門から成るヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展
・3つのエリア:
1. ジャルディーニ 1907年より国別展示館が建設開始
2. アルセナーレ 1980年より「アペルト」展会場として利用
3. 市内各所 1972年より市内展示が増加
・3部門:
1. 国別参加部門 1897年より国別展示始まる
2. 国際企画展部門 1999年「全開放」(ゼーマン)より
3. 併催展部門
◆3エリアと3部門の相関
・国別参加部門 ※第55回展は88カ国が参加
1. ジャルディーニ 欧米を中心に約30カ国
2. アルセナーレ 中国、イタリアほか、中東や南米など
3. 市内各所 後発参加国のほか、台湾やパレスティナも
・国際企画展部門
1. ジャルディーニ+2. アルセナーレ
・併催展部門
3. 市内各所
◆ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展とは?
・国別参加部門:各国を代表する美術家の展示
・国際企画展部門:キュレーターの「ビエンナーレ論」
―「ビエンナーレは人類の鏡だ」(ゼーマン)
―「予期せぬ出会いを目指した」(クリーガー)
―「不可能な欲望に基づいている」(ジオーニ)
・併催展部門:
―ビエンナーレのタイトルに沿ったもの(ex. 「驚異の部屋」展)
―国別参加部門を意識したもの(ex. パレスティナ、ゴミ・パッチ国)
◆ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展に何を学ぶか?
・現代美術の脱領域化:
―多文化主義(脱欧米中心主義:非欧米圏の増加)
―アウトサイダー・アート(百科事典的な宮殿)
―グローバル・アート・シーン
・私たち自身の文化的環境の「鏡」:
―バシーア・マクール《幽かな址に入り、幽かな址から出る》(あいちトリエンナーレ2013:8/10〜で紹介予定)
―クリスチャン・マークレー《時計》(第54回展金獅子賞、ヨコハマトリエンナーレ2011でも展示)
4.まとめ
・第55回展の併催展部門
―国別の枠を超えた「地域」展示(「好き、嫌い」展)
―台湾、パレスティナなど「非国家主体」の存在表明
―国家と対立する表現を主張する場
―「国別参加方式」を相対化する企画
―テーマに沿った展示
・グローバル・アート・シーン再考
―「鏡」としてのヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展
―日本、山口におけるグローバル・アート・シーン
―一人一人がグローバルな情報の集積・発信拠点
―グローバルな美と豊かさに向けて