美学・美術史特殊講義二〇一三


期末試験問題概略告知

1.国際美術展、および現代美術について基礎的な知識を問う/○×問題/10問/各2点(20点)

2.ジャルディーニとアルセナーレの歴史について解説した文の空欄に適切な用語を選んで文章を完成させよ/穴埋め問題・選択肢あり/10問/各2点(20点)

3.「百科事典的な宮殿」について、指定される五つの用語を適切に用いて論述せよ/論述問題・用語指定/字数制限なし/30点

4.地域(山口、中国地方/九州・山口、西日本、日本、アジア等)におけるグローバル・アート・シーンについて、各自の考えを具体例を挙げて論述せよ/論述問題・自由形式/字数制限なし/30点


成績評価方法

試験:100点満点×0.7(計70点)

課題レポート:10点

出席:11回=11点(1欠席毎-1点 ex.欠席3回=出席点8点)

※最初の1回をカウントしない

授業態度等の調整点:全回出席者に+2点

そのほか授業への参加度をオピニオンシートの回答等をもとに7〜10点の範囲で加算


美学・美術史特殊講義(前期)試験問題

実施日時 二〇一三年七月二十三日(火)
12時50分〜14時20分(90分)

(各二点、計二〇点)

一、次に示される(1)〜(10)の短文のうち、内容の正しいものに○印を、誤ったものに×印をそれぞれ解答用紙の各欄に記せ。 なお、(1)〜(3)は、ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展について、(4)〜(10)は、ヴェネツィア・ビエンナーレ第五十五回国際美術展およびその出品作品についての解説文である。

(1)ジャルディーニの日本館は、外務省予算に石橋正二郎の寄付を加えて、吉阪隆正の設計により建設され、一九五六年に開館した。

(2)金獅子賞は、もともとヴェネツィア国際映画祭の最高賞で、 一九八六年以降、ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展でも授与されるようになった。

(3)スイス人のキュレーター、ハラルド・ゼーマンは、第四十八回展と第四十九回展の二度にわたって総合監督を務めた。

(4)ポーランドの美術家アルトゥール・ジミェフスキの《盲目的に》は、盲人が絵を描く様子とその出来上がった絵を紹介するドキュメンタリー映像である。

(5)イタリアの美術家ユーリ・アンカラーニの《ダ・ヴィンチ》は、内視鏡手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ・サージカル・システム」を使用した体験型のメディア・アートである。

(6)ブラジルの美術家パウロ・ナザレスの《私の母の聖人たち》は、キリスト教の聖人の名を冠した商品を集めたインスタレーションである。

(7)日本館の展示は、田中功起による「抽象的に話すこと」で、東京国立近代美術館美術課長の蔵屋美香がコミッショナーを務めた。

(8)キプロスとリトアニアは、市内のスポーツ施設を借りて合同展示を行い、銀獅子賞を受賞した。

(9)ドイツとフランスは、エリゼ条約(独仏協力条約)締結五十周年を記念して、展示会場を交換した。

(10)「別の仕方で占領された」展は、パレスティナ人美術家三人の作品を紹介する併催展である。

 

(各二点、計二〇点)

二、次の文を読み、空欄となっている( A )〜( J )に、のちに記されている(1)〜(30)のうち最も適当と思われる言葉を補い、文を完成せよ。解答用紙には、( A )〜( J )の各欄に該当する言葉を1〜30の番号で記すこと。

 ジャルディーニはヴェネツィア本島の( A )の端にある緑豊かな公園である。ここに約( B )カ国の国別パヴィリオンが建ち並ぶ。現在、ジャルディーニの中央館では国際企画展が開催され、それ以外の国別パヴィリオンでは、各国を代表する美術家の個展やグループ展が開催されている。
 国別パヴィリオンの建設は、一九〇七年のベルギー館が最初で、一九〇九年のハンガリー館、( C )館、バイエルン館(一九一二年にドイツ館に改称)の建設がそれに続く。第一次大戦や第二次大戦による中断はあったものの、その後も新たな国別パヴィリオンの建設が相次いだ。ジャルディーニに最後に作られたのが、一九九五年開館の( D )館で、以後、新たなパヴィリオンの建設は許可されなくなった。
 ジャルディーニに代わって、近年、整備と拡張が進んでいるのがアルセナーレである。アルセナーレとは、ヴェネツィア共和国時代の心臓部であった旧( E )を意味する。二〇〇五年、ジャルディーノ・デッレ・ヴェルジーニに( F )館が開館したのを皮切りに、翌〇六年には( G )館が開館し、それまでジャルディーニにあった( G )館は、「展示館」、次いで「中央館」へと名称を変更し、国際企画展の主会場の一つとなった。
 現在の中央館は、一八九五年に開催された第一回ヴェネツィア市国際美術展では「美術宮」と呼ばれていた。当初、十一室であったが、回を重ねる毎に展示室を拡張していった。第一回展の参加国数は、( H )カ国であった。
 現在、国際企画展のもう一つの主会場として利用されている( I )は、一九八〇年にハラルド・ゼーマンとアッキーレ・ボニート・オリーヴァが( J )展の会場として使用して以来、一九九五年の百周年の際に一時的な中断はあったものの、ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展の注目作家が紹介される場として、関心を集め続けている。

 

(1)東 (2)西  (3)北  (4)二十  (5)三十  (6)四十  (7)ロシア
(8)オランダ  (9)イギリス  (10)オーストラリア  (11)ブラジル  (12)韓国
(13)海軍基地  (14)ガラス工場  (15)造船所  (16)中国  (17)ラテンアメリカ
(18)チリ  (19)フランス  (20)ポルトガル  (21)イタリア  (22)十五  (23)二十五
(24)三十五  (25)コルデリエ  (26)アルティッリエリエ  (27)ガッジャンドレ  (28)プラトー
(29)アペルト  (30)ダペルトゥット 

 

(三〇点)

三、「百科事典的な宮殿」について、指定される五つの用語を適切に用いて論述せよ(字数制限なし)。なお、各用語の初出時には、傍線を引いて明示すること。

アウトサイダー・アート   米国特許庁   アルセナーレ   マッシミリアーノ・ジオーニ   黒板絵

 

 

(三〇点)

四、地域(山口、中国地方/九州・山口、西日本、日本、アジア等)におけるグローバル・アート・シーンについて、各自の考えを具体例を挙げて論述せよ(字数制限なし)。

 

 

 

評価基準は、秀=一〇〇〜九〇、優=九〇〜八〇、良=七九〜七〇、可=六九〜六〇、不可=五九〜〇である。本試験の結果をもとに各自の出席数による調整点等を加算したものを評点とする。また、三、四の解答のうち優れたものは、試験問題を蓄積し、今期以後の学生の参考に供するため、ウェブ上で公開する予定である。


一、二の解答