ゴッホ展―空白のパリを追う


ゴッホ展の概要 会場写真

 企画展/巡回展/回顧展/個展

 会期・会場:

2012年7月29日〜10月28日 ハウステンボス美術館
2013年4月2日〜5月19日 京都市美術館
2013年5月26日〜7月15日 宮城県美術館
2013年7月22日〜9月23日 広島県立美術館


企画展

・他館や個人コレクター等より作品を借用し、ある一定の期間のみ開催される展覧会。特殊な例として、自館のコレクションの中からテーマ性を持たせて展示した「特集展示」や、「ベスト100」のような「コレクション選」展を、常設展示としては全点出品される機会はないという文脈で、企画展と位置づけることがある

・一般に日本の公立美術館には、常設展示室、企画展示室、市民ギャラリーの3種類の展示室が設けられている

・他館の常設展示で活用されている作品を借用する場合、展覧会の企画趣旨が借用許可の判断材料となる

・美術館の活動方針と連動する企画テーマが立てられる


作品スライド

1. 《農婦の頭部》、ニューネン、1885年5月、油彩・カンヴァス、43.5×36.2cm、ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム

2. 《鳥の巣》、ニューネン、1885年5月〜1886年、油彩・カンヴァス、39.3×46.5cm、ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム

3. 《モンマルトルの小路》、パリ、1886年4月下旬〜5月初旬、油彩・カルトン、22.2×16.3cm、ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム

4. 《石切り場のみえるモンマルトルの丘》、パリ、1886年6月〜7月中旬、油彩・カンヴァス、56.0×62.6cm、ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム

5. 《カーネーションを生けた花瓶》、パリ、1886年夏、油彩・カルトン、46.5×38.5cm、アムステルダム市立近代美術館

6. 《パイプを加えた自画像》、パリ、1886年9月〜10月、油彩・カンヴァス、46.0×38.0cm、ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム

7. 《ヒヤシンスの球根》、パリ、1887年1月〜2月、油彩・板、31.2×48.3cm、ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム

《ヒヤシンスの球根》裏面と参考図版

8. 《アサツキの鉢植え》、パリ、1887年1月〜2月、油彩・カンヴァス、31.9×22.0cm、ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム

9. 《カフェにて:ル・タンブランのアゴスティーナ・セガトーリ》、パリ、1887年1月〜3月、油彩・カンヴァス、55.5×47.0cm、ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム

10. 《女性の石膏トルソ》、パリ、1887年2月〜3月、油彩・カンヴァス、40.8×27.1cm、ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム

11. 《レオニー・ローズ・シャルビュイ=ダヴィの肖像》、パリ、1887年3月〜4月、油彩・カンヴァス、60.7×45.7cm、ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム

12. 《骸骨》、パリ、1887年5月前半、油彩・カンヴァス、42.4×30.4cm、ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム

13. 《森の小道》、パリ、1887年5月中旬〜7月中旬、油彩・カンヴァス、45.3×37.7cm、ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム

14. 《テオ・ファン・ゴッホの肖像》、パリ、1887年夏、油彩・カルトン、19.0×14.0cm、ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム

15. 《グレーのフェルト帽の自画像》、パリ、1887年9月〜10月、油彩・綿布、44.5×37.2cm、ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム

作品比較:《自画像》

作品比較:テオとフィンセント

16. 《積み上げられたフランス小説》、パリ、1887年10月〜11月、油彩・カンヴァス、54.0×73.4cm、ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム

17. 《あおむけの蟹》、アルル、1889年初頭、油彩・カンヴァス、38.0×46.8cm、ファン・ゴッホ美術館、アムステルダムログレス》 2013-14年


ゴッホの画業 時代区分

第1期 1881年4月-1885年11月 オランダ時代
第2期 1886年3月-1888年2月 パリ時代
第3期 1888年2月-1889年5月 アルル時代
第4期 1889年5月-1890年5月 サン・レミ時代
第5期 1890年5月-1890年7月 オーヴェール=シュル=オワーズ時代

参照: 「ゴッホ伝 『勝利者』が歩んだ茨の道」、 『週刊西洋絵画の巨匠1 ゴッホ』(小学館、2009年)、8-11頁。


ゴッホ 略年譜

1853年 3月30日、オランダ南部フロート・ズンデルトの牧師の家に生まれる
1877年 アムステルダムで聖職者になるため受験勉強を始めるが、長続きせず
1880年 画家になる決意
1882年 周囲からの孤立と貧困を深める
1886年 パリに出て、テオと同居。ロートレック、スーラらと交流をもつ
1888年 2月、南仏アルルに移住。10月、ゴーギャンと共同生活を始める。12月、耳切り事件。ゴーギャンはアルルを去る
1889年 5月、サン・レミの療養院に入る
1890年 5月サン・レミを去り、北仏オーヴェール=シュル=オワーズに到着。7月27日、拳銃自殺を図り、2日後に死亡

参照: 「ゴッホの生涯とその時代」、 『週刊西洋絵画の巨匠1 ゴッホ』(小学館、2009年)、11頁。


ゴッホ展の巡回館

 ・ハウステンボス美術館

=オランダの街並みを再現したテーマパーク内の施設
=企画展中心の運営
=鎖国時代のオランダと長崎の通商関係

 ・京都市美術館

=京都ゆかりの作家を中心とするコレクション
= 「フェルメールからのラブレター」展(2011年)を開催
=同展もゴッホ展と同じ財団ハタステフティングの企画

 ・宮城県美術館

=東北ゆかりの作家、ドイツ近代美術がコレクションの中心
= 「フェルメールからのラブレター」展(2011年)を開催

 ・広島県立美術館

=広島ゆかりの作家と戦争をテーマとした作品をコレクション
cf. 「ひろしま美術館」所蔵のゴッホ《ドービニーの庭》が有名


まとめ

 ・企画展

―美術館の活動方針≒コレクションの収集方針

―地元ゆかりの作家の回顧展=紹介と顕彰

―生誕○○年、没後○○周年

―個展以外にも、グループ展やテーマ展などがある

 ・企画展とコレクション

―企画展でコレクションの背景をより深く広く紹介

―作品調査と作品収集

―コレクションを紹介する常設展示室

―流行作家や人気テーマ、集客数を求められる公立美術館

―美術館の活動は長期的な事業(広島県立美術館:旧館は1968年開設、現在の建物は1996年開館)