下関市立美術館開館30周年記念 河村幸次郎と美の世界
◆河村幸次郎と美の世界展の概要 会場写真
企画展/単館開催/回顧展
会期・会場:
2013年11月14日〜12月23日 下関市立美術館
主催:下関市立美術館
◆○○周年記念展とは
・企画展の中でも、特に力を入れて準備された展覧会。美術館の設立○○周年記念の場合はその美術館の活動の歴史を振り返るようなテーマが設定される。画家の生誕○○周年や没後○○周年などの機会には画業を振返り、これまでの成果を集大成した上で新たな知見を提示する
・公立美術館の活動予算の総額は、前年度比で横ばいか、1990年代半ば以降の税収の落ち込みを反映して減額され続けている。設立○○周年のような特別な年度は、予算増額を要求する機会となる
・市民にとって、地元にある美術館活動の継続性を再認識する機会であり、地域の文化活動の展望と自らが担う役割を見つめ直す機会
◆作品スライド
1. 高島北海《朝鮮金剛山万物相図》、(部分1)、(部分2)、1919年、絹本着色、133.3×50.4 cm、下関市立美術館
2. 高島北海《果蔬図》、(部分1)、(部分2)、1920年、絹本着色、双幅、各151.1×42.1 cm、下関市立美術館
3. 高島北海《北米洛機山中壊雪湖図》、(部分1)、(部分2)、1922年、絹本墨画淡彩、123.8×36.2 cm、下関市立美術館
4. 香月泰男《桐》、1948年、油彩・カンヴァス、33.3×53.3 cm、下関市立美術館
5. 香月泰男《尾花》、1948年、油彩・カンヴァス、33.3×53.2 cm、下関市立美術館
6. 香月泰男《月》、1949年、油彩・カンヴァス、53.4×33.4 cm、下関市立美術館
7. 竹久夢二《初春》、『婦人グラフ』第3巻第1号表紙原画、1926年、水彩・紙、24.8×24.2 cm、個人蔵
8. 竹久夢二《春娘図》、1926年頃、絹本着色、136×42.5 cm、個人蔵
9. 竹久夢二《紅衣扇舞》、1929年頃、絹本着色、126.5×33.9 cm、個人蔵
10. 岸田劉生《村娘之図》、1919年、水彩、木炭・紙、45×33.4 cm、下関市立美術館
11. 岸田劉生《花持ち麗子》、墨・紙、26.3×22.2 cm、下関市立美術館
12. 梅原龍三郎《はふ女》、1909年、油彩・カンヴァス、27.8×37.6 cm、下関市立美術館
13. 梅原龍三郎《裸婦図(豹裸婦)》、1926年、油彩・カンヴァス、29×44.4 cm、下関市立美術館
14. 藤田嗣治(レオナール・フジタ)《パリの小学校》、1931年、油彩、墨・カンヴァス、21×25.7 cm、下関市立美術館
15. 藤田嗣治(レオナール・フジタ)《秋田の娘》、1937年、油彩・カンヴァス、板貼、33×23.7 cm、下関市立美術館
16. 藤田嗣治(レオナール・フジタ)《臥 裸婦》、1941年、墨、水彩・紙、62×93.5 cm、下関市立美術館
17. 『燭台』第6年10月再生号、1932年10月(表紙:河村幸次郎)、冊子、21×19 cm、下関市立中央図書館
18. 河村幸次郎編集『河豚笛』創刊号、1935年、冊子、発行:下関玩具同好会、14.6×19.4 cm、個人蔵
◆「河村幸次郎と美の世界」展の構成
・美術品コレクション
高島北海/香月泰男
竹久夢二/岸田劉生/梅原龍三郎/レオナール・フジタ
古代オリエント工芸
・資料:昭和戦前期・地域文化の振興
文芸誌『燭台』/河村幸次郎編集『河豚笛』と郷土玩具
・創作:自作図案など
染布「多目的風呂敷―世界の旅」シリーズ、スケッチ
◆河村幸次郎 年譜
1901年(明治34) 下関の三大呉服店伊勢安の次男として生まれる
1919年(大正8) 上京し、書店南陽堂で竹久夢二と知り合う
1925年(大正14) 馬関毎日新聞社主催「無線電話放送大会」。河村が手弁当で運営、海峡オーケストラの演奏をラジオ放送
1927年(昭和2) 高島北海の五女園と結婚/文芸誌『燭台』発行。誌友となって発行を後援するほか、詩や海外渡航記を寄稿
1928年(昭和3) 燭台芸術展覧会開催。関係作家の色紙、短冊、絵画など4,000点を展示。河村は洋行土産のマリアをテーマとする絵画等数百点を出品
1935年(昭和10) 下関郷玩同好会の会誌『河豚笛』発行
1939年(昭和14) 東京・青山の帝国アパートを拠点として文士、芸術家たちとの交流が始まる
1945年(昭和20) 伊勢安呉服店、空襲で全焼、翌月には下関の邸宅も全焼。年末には生活の拠点を東京に移す
1963年(昭和38) グラナダ発足。海外の民芸品、家具の輸入販売
1994年(平成6) 妻園が亡くなった翌日死去
参照: 「年譜」、『芸術は魂のたべもの 河村幸次郎と美の世界』展図録(下関市立美術館、2013年)、
◆河村幸次郎と下関市立美術館
1963年(昭和38) 美術館設立を視野に、下関市へ竹久夢二作品の寄贈話が持ち上がるが、実現せず
1977年(昭和52) 下関市立美術館(仮称)建設世話人会委員
1980年(昭和55) 下関市立美術館(仮称)建設専門委員会委員
1981年(昭和56) 狩野芳崖ほか63点を寄贈/「下関市立美術館(仮称)第1回収集作品展」(下関市民会館展示室)開催
1982年(昭和57) 岸田劉生ほか52点を寄贈/講演会「美・めぐりあい・感動〜私のコレクション」(下関市、シーモールホール)
1983年(昭和58) 古代オリエント工芸152点を寄贈/11月19日、下関美術館開館
1984年(昭和59) 竹久夢二の作品201点を寄託(1991年返還)
1987年(昭和62) 芝生広場に業績を讃えるモニュメント《文字を生む石》(山口牧生・作)を設置
1989年(平成元) 中近東文化センター総裁三笠宮による古代オリエント・コレクション見学を案内
1994年(平成6) 夫妻を追悼して河村コレクションが展示される
参照: 「年譜」、『芸術は魂のたべもの
河村幸次郎と美の世界』展図録(下関市立美術館、2013年)、
◆下関市立美術館 開館記念展年表
1983年 開館記念展「海・そのイメージと造形」
―
2003年 開館20周年記念「リール、ナンシー、ボルドー、レンヌ、トゥール美術館所蔵 珠玉の名画―フランス19世紀絵画展」
2004年 開館20周年記念所蔵名品展「美術の森の散歩道」
2013年 開館30周年記念「河村幸次郎と美の世界」
◆まとめ
・○○周年記念展
―美術館活動の節目を記念する展覧会
―京都市美術館(1933)、河井寛次郎記念館(1973)、森美術館(2003)、山口情報芸術センター(2003)、横尾忠則現代美術館(2013)
―山口県立美術館(1979)、下関市立美術館(1983)、山口県立萩美術館・浦上記念館(1996)
・美術館設立運動
―長崎県(2005)、青森県(2006)、沖縄県(2007)
―箱物行政
―コレクションあっての美術館
―地元有力コレクターからの寄贈や大家からの遺贈