ラファエロ


◆「ラファエロ」展の概要 会場写真

 企画展/単館開催/回顧展

 会期・会場:

2013年3月2日〜6月2日 国立西洋美術館

主催:国立西洋美術館、フィレンツェ文化財・美術館特別監督局、読売新聞社、日本テレビ網

後援:外務省、イタリア大使館

特別協賛:キヤノン

協賛:清水建設、損保ジャパン、大日本印刷、東レ、トヨタ自動車、みずほ銀行、三井物産

協力:アリタリア・イタリア航空、日本航空、日本貨物航空、オーストリア航空、ルフトハンザ カーゴ AG、ルーチェ・デッラ・ヴィーテ、西洋美術振興財団


出品作品の所蔵先に着目

・海外作家の回顧展の場合、@国内所蔵作を中心とする展覧会、A海外の単館コレクションに基づく展覧会、B海外の複数の美術館から借用された展覧会、C海外でしかもヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアやアジアなど大陸をまたがって複数の美術館から借用された展覧会の順に、主催者側の経費負担は増加する

・複数の美術館から借用された展覧会ほど、「一堂に集めた展覧会」としてはより一層貴重な機会と言える

・一緒に並べられる機会の少ない作品同士を比較して見ることは、実証的な研究の観点から意義が大きい


作品スライド

1. ラファエロ・サンツィオ《自画像》、1504-06年、油彩・板、47.3×34.8 cm、フィレンツェ、ウフィツィ美術館

 T 画家への一歩

2. ジョヴァンニ・サンティ《死せるキリストと天使たち》、1480-89年、油彩・板、35×23.5 cm、ウルビーノ、マルケ州国立美術館

3. ペルジーノ《聖ユスティナ》、1495-98年、テンペラ・板、31×26 cm、ヴァチカン美術館

4. ラファエロ・サンツィオ《聖セバスティアヌス》、1501-02年頃、油彩・板、44×34 cm、ペルガモ、アカデミア・カッラーラ美術館

 U フィレンツェのラファエロ

5. ラファエロ・サンツィオ《聖ゲオルギウスと竜》、1504-05年、油彩・板、30.7×26.8 cm、パリ、ルーヴル美術館

6. ラファエロ・サンツィオ《大公の聖母》、1505-06年、油彩・板、84.4×55.9 cm、フィレンツェ、パラティーノ美術館

7. ラファエロ・サンツィオ《無口な女(ラ・ムータ)》、1505-07年、油彩・板、64×48 cm、ウルビーノ、マルケ州国立美術館

9. ラファエロ・サンツィオ《磔刑図の解剖学的習作》、ペン・裏打ちされた白色の紙、35.8×24.2 cm、フィレンツェ、マルチェッリアーナ図書館

10. ラファエロ・サンツィオ《聖家族と仔羊》、1507年、油彩・板、28×21.5 cm、マドリード、プラド美術館

 V ローマのラファエロ

11. ラファエロ・サンツィオ《ムーサの頭部》、1510年頃、黒の石墨・灰色がかった紙、26.7×20.9 cm、フィレンツェ、ホーン美術館

12. ラファエロ・サンツィオ《ベルナルド・ドヴィーツィ(ビッビエーナ)枢機卿の肖像》、1516-17年頃、油彩・カンヴァス、86.3×65.9 cm、フィレンツェ、パラティーナ美術館

13. ラファエロ・サンツィオ《エゼキエルの幻視》、1510年頃、油彩・板、40.7×29.5 cm、フィレンツェ、パラティーナ美術館

14. ラファエロ・サンツィオ《友人のいる自画像》、1518-20年頃、油彩・カンヴァス、99×83 cm、パリ、ルーヴル美術館

 W ラファエロの継承者たち

15. ジュリオ・ロマーノ《聖母子》、1520-22年、油彩・板、105×77 cm、フィレンツェ、ウフィツィ美術館

16. ペリン・デル・ヴァーガ《聖母子》、1520年代、油彩・カンヴァス、121×95 cm、ローマ、モンテチトーリオ宮、イタリア共和国代議院(フィレンツェ美術館群から寄託)

作品比較:ヴァーガ《聖母子》とラファエロ《システィーナの聖母》(部分)


「ラファエロ」展図録の構成

クリスティーナ・アチディーニ「ラファエロ―場所、人、業績」
マリア・スフラメーリ「ラファエロと16世紀の装飾芸術の革新」
ラウラ・アルドヴィーニ「ラファエロと版画―古代、同時代そして前衛のあいだで」
渡辺晋輔「ラファエロ像の変遷と偶像化への過程」
カタログ
 T 画家への一歩
 U フィレンツェのラファエロ―レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロとの出会い
  アレッサンドロ・チェッキ「大公の聖母、解決された謎」
 V ローマのラファエロ―教皇をとりこにした美
 W ラファエロの継承者たち
  ヴァチカン宮のラファエロ
ラファエロ関連年表
作家解説
出品作品リスト


盛期ルネサンス 関連年表

1498-1500年 ミケランジェロ《ピエタ》
1503年 レオナルド・ダ・ヴィンチ、フィレンツェ「五百人の間」の壁画《アンギアーリの闘い》の注文を受ける
1503-05年 レオナルド・ダ・ヴィンチ《モナ・リザ》
1504年 ミケランジェロ《ダヴィデ》、フィレンツェ政庁舎前に設置。「五百人の間」の壁画《カッシナの戦い》の注文を受ける
1505-06年 ラファエロ《大公の聖母》 
1508年 ミケランジェロ、システィーナ礼拝堂の天井画に着手
1511年 ラファエロ、「署名の間」の壁画をほぼ完成
1513年 教皇ユリウス2世が死去し、教皇レオ10世が即位
1518-19年 ラファエロとその弟子ジュリオ・ロマーノやペリン・デル・ヴァーガら、ヴァチカン宮のレオ10世の開廊(ロッジア)を装飾
1519年 レオナルド・ダ・ヴィンチ死去(67歳)
1520年 ラファエロ、死去(37歳)

参考:西川しずか編「ラファエロ関連年表」、 『ラファエロ』展図録(読売新聞東京本社、2013年)、194-195頁。


まとめ

 ・所蔵先

―企画展の充実度を計る指標

―借用元の都市を確認

―将来自分でも訪ねる機会がありそうな都市/一生行くことがなさそうな都市

 ・盛期ルネサンス

―レオナルド、ミケランジェロ、ラファエロが傑作を生み出した時代

―フィレンツェとローマ(ヴァチカン)が中心

―レオナルド(1519年)とラファエロ(1520年)の相次ぐ死去で終焉(ミケランジェロは1564年に死去、88歳)

―1527年のローマ掠奪(神聖ローマ皇帝カール5世)で荒廃