特別展 京都―洛中洛外図と障壁画の美


「京都」展の概要 会場写真

  企画展/単館開催/テーマ展

  会期・会場:

2013年10月8日〜12月1日 東京国立博物館 平成館

主催:東京国立博物館、日本テレビ放送網、読売新聞社

特別協賛:タマホーム

協賛:光村印刷、日本興和損保、三菱東京UFJ銀行

協力:全日本空輸、日本貨物航空、日本通運、JR東日本、BS日テレ、シーエス日本、ラジオ日本、J-WAVE、文化放送、テレビ神奈川、楽天トラベル、京都市

技術協力:キヤノン/キヤノンマーケティングジャパン、JVCケンウッド、凸版印刷


作品展示の工夫に着目

・展覧会は作品をただ並べているだけではない。テーマ展であれば、企画の趣旨に沿って、調査と研究によって新たに明らかになった新たな歴史的事実やものの見方を効果的、かつ正確に伝えようとしている

・一作家の回顧展や複数作家のグループ展の場合も、来館者に最も注目して欲しい作品は、展示室の中で相応の場所に置かれている。単に制作年順に並べているようであっても、最盛期の作品を多めに、あるいは逆にこれまであまり知られることのなかった初期作品を中心に、といった具合に強弱がつけられる

・同じ美術館を複数回見学することで、会場構成の比較が可能になる


作品スライド

 第一部 都の姿―黄金の洛中洛外図

1. 《洛中洛外図屏風 歴博甲本》(右隻部分:金閣寺将軍邸、左隻部分:清水寺、五条大橋ほか)、室町時代(16世紀)、紙本着色、六曲一双、各137.8×344.9 cm、千葉・国立歴史民俗博物館

2. 国宝 狩野永徳《洛中洛外図屏風 上杉本》(右隻部分:金閣寺将軍邸、左隻部分:四条大橋)、室町時代(16世紀)、紙本金地着色、六曲一双、各160.4×365.2 cm、山形・米沢市上杉博物館

3. 《洛中洛外図屏風 歴博乙本》(右隻部分:金閣寺将軍邸)、室町時代(16世紀)、紙本金地着色、六曲一双、各158.6×364.2 cm、千葉・国立歴史民俗博物館

4. 岩佐又兵衛《洛中洛外図屏風 舟木本》(右隻部分:清水寺、左隻部分:祇園祭、)、江戸時代(17世紀)、紙本金地着色、六曲一双、各162.7×342.4 cm、東京国立博物館

5. 《洛中洛外図屏風 福岡市博本》(右隻部分:五条大橋)、江戸時代(17世紀)、紙本金地着色、六曲一双、各81.3×265.2 cm、福岡市博物館

6. 《洛中洛外図屏風 勝興寺本》(右隻部分:三十三間堂、左隻部分:二条城)、江戸時代(17世紀)、紙本金地着色、六曲一双、各155.5×348.4 cm、富山・勝興寺

7. 《洛中洛外図屏風 池田本》(右隻部分:御所、左隻部分:二条城)、江戸時代(17世紀)、紙本金地着色、六曲一双、各153.6×360.0 cm、岡山・林原美術館

 第二部 都の空間装飾―障壁画の美

  ・龍安寺

8. 《列子図襖》(部分:列子)、江戸時代(17世紀)、四面、各182.9×182.9 cm、メトロポリタン美術館

9. 《琴棋書画図襖》、江戸時代(17世紀)、四面、各182.9×182.9 cm、メトロポリタン美術館

10. 《琴棋書画図襖》、江戸時代(17世紀)、四面、各173.4×114.6 cm、シアトル美術館

  ・二条城 二の丸御殿 黒書院一の間 図面

11. 狩野尚信《松桜柴垣禽鳥図》(部分:大松山並み)、江戸時代 寛永3年(1626年)、紙本金地着色、三十面、京都市(元離宮二条城事務所)


特別展 京都 関連年表

1467年(応仁元年) 応仁の乱勃発
1506年(永正3年) 朝倉貞景が土佐光信に注文した洛中洛外図屏風を三条西実隆が見る
1549年(天文18年) フランシスコ・ザビエルが鹿児島に上陸
1573年(天正元年) 室町幕府滅亡
1574年(天正2年) 信長、上杉謙信に狩野永徳が描いた洛中洛外図屏風(上杉本)を贈る 
1582年(天正10年) 大友宗麟ら三大名が天正少年使節をローマへ派遣
1600年(慶長5年) 関ヶ原の戦い
1606年(慶長11年) 織田信包が西源院(龍安寺の小院)を建立
1615年(元和元年) 岩佐又兵衛、福井へ移住
1626年(寛永3年) 二条城本丸、二の丸、天守が完成
1867年(慶応3年) 徳川慶喜が二条城大広間で大政奉還を表明

参考:「関連年表」、 『特別展 京都―洛中洛外図と障壁画の美』図録(日本テレビ放送網、2013 年)、226-229頁。


まとめ

 ・会場構成の工夫

―つかみ、クライマックス、しめ、の作品(=展示のストーリー)

―展示室の特性を熟知する

―時間に余裕があれば、複数回会場を往復してみる

 ・再現展示

―展覧会は時空間の再構成(時間的移動と空間的移動)

―展覧会の再現(出品作品の再構成)

―室内の再現(画家のアトリエ、パトロンの居室)

―写真の活用:写真(平面)から展示(空間的な再現)へ

―散逸したコレクションの時限的な再構成