没後一〇〇年 徳川慶喜


「徳川慶喜」展の概要 会場写真

企画展/二館共同開催/回顧展/没後一〇〇年記念展

会期・会場:

 2013年10月5日〜12月15日 松戸市戸定歴史館
 2013年11月2日〜12月15日 静岡市美術館


図版のレイアウトに着目

・展覧会図録の主要部分は、一般に、作品のカラー図版と考えられている(論文や作品解説、資料部分も同等に重要である)。1980年代以前の展覧会図録ではモノクロ図版が多く見られたが、近年の図録ではオール・カラーが標準仕様として定着している

・美術展の図録は作品図版を1頁に1点ずつ割り付け、博物館の展覧会図録では1頁に複数の展示物が割り付けられる傾向が見られる

・見開き扱いや、部分拡大図や参考図版の掲載、解説文とのバランスなど、さまざまな工夫がなされている


作品スライド

一章 七郎は天晴れ名将とならん

1, 2. 内藤業昌《五郎麻呂七歳》(右)、《七郎麻呂七歳》(左)、天保14年、双幅、絹本着色、各86×50 cm、鳥取神社(釧路)

3. 徳川慶喜《依於仁》、天保14年(1843)、一幅、紙本墨書、114.5×28.3 cm、渋沢史料館

二章 十五代将軍

4. 徳川慶喜《紅梅図自画賛》、元治元年〜慶応頃(1864-67頃)、一幅、紙本着色、129×38 cm、新村出記念財団

5. 古写真 徳川慶喜(衣冠)、慶応2年(1866年)3月頃、鶏卵紙、24.5×19.3 cm、茨城県立歴史館

6. ザ・イラストレイテッド・ロンンドン・ニュース、慶喜紹介記事、1867年版(8月10日号・24日号)、印刷・紙、各40×28 cm、松戸市戸定歴史館/東京都江戸東京博物館

7. 邨田丹陵《大政奉還 下図》、大正末〜昭和初期、紙本着色、75.7×65.5 cm、明治神宮

三章 文人の営みと眼差し

8. 徳川慶喜《河畔風景》、油彩・紙、26.3×34.9 cm、茨城県立歴史館

9. 徳川慶喜《西洋風景》、油彩・カンヴァス、60×40 cm、久能山東照宮博物館

10. 川上冬崖《婦女図(来信)》、安政4〜明治14年(1857-81)、油彩・布、49.7×37.8 cm、長野県信濃美術館

12. 高橋由一《美人(花魁)》、明治5年(1872)、油彩・布、77×54.8 cm、東京藝術大学

13. 島霞谷《庭に立つ女性》、慶応3〜明治3年(1867-70)頃、油彩・布、53.5×38.5 cm、個人蔵

島霞谷《庭に立つ女性》と古写真

14. 川村清雄《徳川慶喜像》、明治中期、油彩・板、53.4×37.5 cm、徳川記念財団

15. 川村清雄《徳川家茂像》、明治17年(1884)、油彩・板、53.3×37 cm、徳川記念財団

16. 川村清雄《徳川家定像》、明治25年(1892)、油彩・板、53.5×37.3 cm、徳川記念財団

17. 徳川慶喜「古写真 麦刈」、着色・鶏卵紙、10.1×14.5 cm、徳川慶朝氏蔵

18. 徳川慶喜「古写真 安倍川鉄橋上り列車進行中之図」、明治26〜30年(1893-97)、鶏卵紙、21×27.4 cm、茨城県立歴史館

四章 徳川慶喜家の誕生

19. 徳川慶喜《日本橋》、明治44年(1911)、紙本墨書、131.7×61.5 cm、東京都公文書館

20. 小川一真「古写真 徳川慶喜(胸像)」、明治40年(1907)頃、14.5×9.7 cm、徳川慶朝氏蔵


徳川慶喜 関連年表

1837年(天保8)1歳 水戸藩主斉昭の七男として生まれる
1843年(天保14)7歳 弘道館で学びはじめる
1847年(弘化4)11歳 元服し、諱を慶喜とする 
1857年(安政2)19歳 美智子と婚礼を行う
1862年(文久2)26歳 一橋家再相続を命じられ、将軍後見職に就任 
1866年(慶応2)30歳 徳川宗家を相続、征夷大将軍に叙任される
1867年(慶応3)31歳 「政権を朝廷ニ奉帰」ことを建白
1868年(明治元)32歳 江戸城開城、水戸弘道館に入り謹慎
1869年(明治2)33歳 静岡元代官屋敷へ移る
1880年(明治13)44歳 正二位に叙せられ、将軍時代の位階に復す
1897年(明治30)61歳 巣鴨邸へ移る 
1898年(明治31)62歳 維新後初めて参内、天皇・皇后に拝謁
1913年(大正2)77歳 小日向邸にて死去                   ※年齢は「数え年」で表記

参考: 「徳川慶喜関連年表」、 『没後100年 徳川慶喜』展図録(松戸市戸定歴史館ほか、2013年)、170-173頁。


「徳川慶喜」展の構成

一章 七郎は天晴れ名将とならん

第一節 水戸弘道館で
第二節 水戸旧城之図を読む

二章 十五代将軍

第一節 変貌する将軍
第二節 開化への眼差し
第三節 幕末の二条城と政権返上
第四節 慶喜を支えた幕臣たち

三章 文人の営みと眼差し

第一節 維新後の再生
第二節 慶喜の油彩画を読む
第三節 慶喜の眼差し―撮影写真より

四章 徳川慶喜家の誕生

第一節 天皇との和解
第二節 変貌した東京
第三節 江戸の象徴


まとめ

  ・図版レイアウト

―図版の大きさ≒展示品の重要性

―雑誌の図版レイアウトと比較

―文字は重ねない

―トリミングは原則不可

  ・美術館の近代性

―政治家・慶喜と文人・慶喜

―展示可能な美術と展示・収蔵できない美術

―ヨーロッパ起原の美術館と非欧米圏への拡がり

―美術館の近代性の乗り越え