第五講 ヴェネツィア・ビエンナーレ第53回国際美術展(2009年)
◆ヴェネツィア・ビエンナーレ第53回国際美術展
会期:2009年6月7日(日)〜11月22日(日)
テーマ:世界を構築する(Making Worlds)
総合監督:ダニエル・バーンバウム(シュテーデル美術大学学長)
参加国数:77カ国
日本館の展示:やなぎみわ「老少女劇団(Windswept Women)」
日本館コミッショナー:南嶌宏(女子美術大学教授)
◆日曜美術館(2009年7月26日放送)
風吹く荒野で笑っていたい―やなぎみわ 成熟する女性像
パーソナリティ:中條誠子/姜尚中
・国立国際美術館(大阪)
やなぎみわ 婆々娘々(ポーポーニャンニャン) 2009年6月20日(土)〜9月23日(火・祝)
「太古の女性の叫び声」(姜尚中)
・京都 2009年3月
モデル(ハイッツラー高山佳子さん)の撮影
特殊メイクによる皺の強調+合成樹脂の乳房、沙漠、4台の送風機
「過去でも未来でもなく、今生きてる感じがする。素敵でしょ。」(やなぎみわ)
「風に全員が吹かれているっていうのを思いついて、あぁ、そうだったんだって」(〃)
「肉体や年齢といった制約から解き放たれて生きる」(中條誠子)
・国立国際美術館(大阪)
マイ・グランドマザーズ
《YUKA》2000年 ※自分の50年後の姿
《MITSUE》2009年
「そこには、お婆さんに対するやなぎさんの憧れが込められています」(中條)
曾祖母たみさん、祖母とくえさん
フェアリー・テール 2004-06年
《赤ずきん》2004年
《白雪》2004年
・やなぎみわ 変わりゆく女性像(インタヴュー1)
光の部分:マイ・グランドマザーズ/影の部分:フェアリー・テール
「Windswept Womenは明暗併せ持つ作品」(やなぎ)
・夫・木村三晴さんが晴峯くんを連れて託児所から帰ってくる
鴨川沿いの散歩
「負うた子に教えられて浅瀬を渡る」(木村)
・モデル(田中節子さん)の撮影
ボリューム感のある乳房、干魃でひび割れた大地、初めての同世代の女性モデル
「生きることのすべてを受けとめる大きな姿」(中條)
・インタヴュー2
「人生の時間の有限というのを感じざるをえない」(やなぎ)
「人生を生き抜くというか、サバイヴァルするっていう、そういうのに憧れているのかも知れない」(〃)
・Windswept Women 2009年
10代から70代までの5人の女性のポートレート、フォトスタンド=家族の記憶の象徴
「女性たちは家族」(やなぎ)
「風吹く荒野を生き抜く力」(中條)
・Windswept Women: 老少女劇団 2009年
荒野をさすらう黒いテント
「テントは仮の家。いつでも解散、集まることができる」(やなぎ)
・やなぎみわ 家族とは(インタヴュー3)
家族を選ぶ
「解散を申し渡すのは子どもだけだと思う」(やなぎ)
・ベネチア
ジャルディーニ地区
日本パビリオン
・オープニング・パーティ
・ポーランド・パビリオン
クシュシトフ・ウディチコ《Guests》
「ぱっと見てすごく魅力的であり、何度見ても魅力的というのはなかなかない」(やなぎ)
・内覧会
「若さと老いがまじりあった体が興味深い」(来場者)
・インタヴュー4
「破壊のための破壊ではなくて、とてもポジティヴな、そういうイメージを持ちました」(姜)
・京都の自宅
晴峯くんの1歳6ヶ月検診
「晴峯が思春期になって成人して離れていって、もしも木村が先に死んだ場合、そのときにやっぱり美術は残るだろうなと思って。解決してないから、美術と私の関係というのは。」(やなぎ)
・鴨川の散歩
「これから先、思いがけなく吹きつけてくる風、そのすべてを受けとめ、新たな美術を追い続けます」(中條)
◆まとめ
―現代作家の生活(家族)と表現(撮影から展示まで)
―インタヴューと作品紹介のバランス
―ヴェネツィアでの展示と日本での展示が並行して開催される機会