第七講 各国館の建設とヴェネツィア・ビエンナーレ第I期のまとめ
1. 各国館の建設
◆展示宮の拡張
・第1回展(1895年)の参加国数は15カ国(オーストリア、ハンガリー、ベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、イギリス、イタリア、オランダ、ロシア、スペイン、スウェーデン、ノルウェー、スイス、アメリカ)。 ※下線は後援委員輩出国
・展示室は11室。(スラ イド)
◆参加国の推移
1895年(15)→1897年(16)→1899年(15) (会場平面図)
1901年(16)→1903年(16)→1905年(15)
1907年(18)→1909年(14)→1910年(13)→1912年(12)→1914年(19)
第1回展(1895年):(±0)
第2回展(1897年):日本参加(+1)
第3回展(1899年):(±0)
第4回展(1901年):オランダ不参加/アルゼンチン、アルメニア参加(+1)
第5回展(1903年):オランダ不参加/アルゼンチン、アルメニア参加(+1)
第6回展(1905年):デンマーク不参加/ポーランド参加(±0)
第7回展(1907年):ユーゴスラビア、ポーランド、ルーマニア参加(+3)
第8回展(1909年):デンマーク、スペイン、ロシア不参加/フィンランド、ポーランド参加(-1)
第9回展(1910年):デンマーク、ノルウェー、スウェーデン不参加/ブルガリア参加(-2)
第10回展(1912年):デンマーク、ノルウェー、オランダ不参加(-3)
第11回展(1914年):デンマーク不参加/アルメニア、フィンランド、ユーゴスラビア、メキシコ、ポーランド参加(+4)
◆各国館の建設の歴史
1895年 美術宮(1)建設
…
1907年 ベルギー館(2)建設
1909年 ハンガリー館(3)、イギリス館(4)、バイエルン館(5)建設
…
1912年 フランス館(6)、スウェーデン館(7)建設
1914年 ロシア館(8)建設、展示宮(美術宮)の正面デザイン変更
2. 第T期のまとめ
◆出品作品の分析
イタリア、ヴェネツィアゆかりの画家たち
後援委員会のメンバー
後期サロン⇔近代主義
※サロン風の展示室
風景画(特に海景画)、人物画(肖像画、同時代の生活)、歴史画(神話画、宗教画)
絵画中心(彫刻は比較的少なめ)
エキゾチズム(異国趣味)、オリエンタリスム(東方趣味)、ジャポニスム
◆2つの展覧会図録 (スライド)
Venice and the Biennale: Itineraries of taste (Milano: Fabbri, 1995).
Venezia e il secolo della Biennale: Dipinti, vetri e fotografie della Collezione della Fondazione di Venezia (Torino: Umberto Allemandi & C., 2007).
◆イタリア人作家
1. フランチェスコ・パオロ・ミケッティ《ジョリオの娘》、 1895年、油彩、テンペラ、282×555 cm、ペスカーラ県管理局、第1回展(1895年)出品、ヴェネツィア市賞
2. グリエルモ・チャルディ《夢の都市》、1909年、油彩・カンヴァス、97×195 cm、ヴェネツィア財団、第8回展(1909年)出品
3. アレッサンドロ・ミレージ《一服》、1910年、油彩・カンヴァス、180×115cm、ヴェネツィア財団、第10回展(1910年)出品
◆後援委員
4. ピエール・ピュヴィ・ド・シャヴァンヌ(フランス)《冬》、1891年、油彩・カンヴァス、53×85 cm、パリ、プティ・パレ美術館、第2回展(1897年)出品
5. マックス・リーバーマン(ドイツ)《レースを編む女たち》、1894年、油彩・カンヴァス、97.5×131 cm、カ・ペーザロ近代美術館、第2回展(1897年)出品
6. アンデシュ・ソーン(スウェーデン)《ヒルマ・ヘリクソン嬢》、1908年、油彩・カンヴァス、80×60cm、トリエステ、レヴォルテッラ美術館、第3回展(1899年)出品
◆肖像画
7. ジャック=エミール・ブランシュ(フランス)《手紙(2人の姉妹)》、1898年、油彩・カンヴァス、162×156cm、ニース、ジュール・シェレ美術館、第3回展(1899年)出品
8. フランツ・フォン・レンバッハ(ドイツ)《教皇レオ13世》、1886年、油彩・厚紙、112×86cm、カ・ペーザロ近代美術館
9. イグナシオ・スロアガ(スペイン)《叔母ルイーザ》、1903年、油彩・カンヴァス、200×134cm、カ・ペーザロ近代美術館、第5回展(1903年)出品
◆外光派
10. ホアキン・ソローリャ・イ・バスティーダ(スペイン)《帆繕い》、 1896年、油彩・カンヴァス、220×300 cm、カ・ペーザロ近代美術館、第6回展(1905年)出品
11. ルシアン・シモン(フランス)《小舟》、油彩・カンヴァス、288×152cm、カ・ペーザロ近代美術館、第10回展(1912年)出品
◆オリエンタリスム
12. マリオ・デ・マリア(イタリア)《ヴェネツィア、トルコ商館の東方的幻想》、1909-20年、油彩・カンヴァス、116×182 cm、ローマ、個人蔵、第8回展(1909年)出品
◆ジャポニスム
13. 荒木寛畝《秋草野雉圖》/鈴木松年《雪中枯木鳶圖》/久保田桃水《游鯉図》、カ・ペーザロ近代美術館、第2回展(1897年)出品
◆同時代の生活情景
14. フランク・ブラングィン(イギリス)《ヴェネツィアの水葬》、 1906年頃、油彩・カンヴァス、228×274 cm、リーズ市立美術館、第11回展(1914年)出品
◆点描派
15. カミッロ・インノチェンティ(イタリア)《休暇の人びと》、油彩・カンヴァス、100×160 cm、ローマ、サン・ルカ・アカデミー、第10回展(1912年)出品
◆象徴派
16. フランツ・フォン・シュトゥック(ドイツ)《恥》、油彩・カンヴァス、126×100×14cm、パレルモ、市立近代美術館、第8回展(1909年)出品
17. グスタフ・クリムト(オーストリア)《ユーディットII ―サロメ》、1909年、油彩・カンヴァス、175×45cm、カ・ペーザロ近代美術館、第9回展(1910年)出品
18. ジョルジョ・キエネルク(イタリア)《沈黙》、1900年、油彩・カンヴァス、170×94cm、パヴィーア市立美術館、第4回展(1901年)出品
◆ユーゲントシュティール
19. オスカー・ツヴィンシャー(ドイツ)《金と真珠の花》、 1909年、油彩・カンヴァス、89×177.3 cm、ケムニッツ美術館、第9回展(1910年)出品
◆彫刻
20. ドメニコ・トレンタコステ(イタリア)《貧困》、1893年、大理石、175×45cm、トリエステ、レヴォルテッラ美術館、第1回展(1895年)出品
21. ジュゼッペ・グラツィオージ(イタリア)《スザンナ》、1910年、ブロンズ、46×42×30cm、ピアチェンツァ、リッチ・オッディ近代美術館、第11回展(1914年)出品
22. マックス・クリンガー(ドイツ)《浴女》、1896-97年、ブロンズ、151×47×66cm、カ・ペーザロ近代美術館、第7回展(1907年)出品
23. ジョージ・フランプトン(イギリス)《美しいけれど無慈悲な乙女》、ブロンズ、93×40×45cm、カ・ペーザロ近代美術館、第8回展(1909年)出品
24. メダルド・ロッソ(イタリア)《イヴェット・ギルベール》、1895年、石膏に彩色、44×28×20cm、カ・ペーザロ近代美術館、第11回展(1914年)出品
◆まとめ
・各国館
―展示宮(イタリア+国際展示)に加えて、ベルギー、ハンガリー、イギリス、バイエルン(ドイツ)、スウェーデン、フランス、ロシアの合計8館
―個性的な建築(民族性の表象)
―1995年の韓国館の開館まで増加
・第I期ビエンナーレ
―展示作品の一部がカ・ペーザロ近代美術館のコレクションになっている
―各参加国単位で参加の歴史に対する研究進む
―イタリア/ヴェネツィアの地域主義、欧米の後期サロン芸術と近代主義