釜山ビエンナーレ2014


釜山ビエンナーレ2014の概要 会場写真

企画展周期展
会期: 9月20日〜11月22日(64日間)
会場:釜山市立美術館、釜山文化会館、高麗製鋼工場・水営
主催:釜山広域市、社団法人 釜山ビエンナーレ組織委員会
テーマ:世界に居住する(Inhabiting the World)
芸術監督:オリヴィエ・カペラン(Olivier Kaeppelin)


企画展

他館や個人コレクター等より作品を借用し、ある一定の期間のみ開催される展覧会。特殊な例として、自館のコレクションの中からテーマ性を持たせて展示した「特集展示」や、「ベスト100」のような「コレクション選」展を、常設展示としては全点出品される機会はないという文脈で、企画展と位置づけることがある

・一般に日本の公立美術館には、常設展示室企画展示室市民ギャラリーの3種類の展示室が設けられている

・他館の常設展示で活用されている作品を借用する場合、展覧会の企画趣旨が借用許可の判断材料となる

・美術館の活動方針と連動する企画テーマが立てられる


オリヴィエ・カペラン(Olivier Kaeppelin, 1949 - ) 顔写真

マーグ財団美術館(サン・ポール・ド・ヴァンス)館長

2007-11  モニュメンタ(グラン・パレ)

2010 プロジェクト「ソフィ・カル」、プロジェクト「アモス・ギタイ」(パレ・ド・トーキョー)

2013 第9回ブリックアクセン彫刻ビエンナーレ、ドイツ・コミッショナー/「ミロ」展(エレーヌ&エドゥアルド・ルクレル基金、ランデルノー)/「E=モーション」展(マーグ財団)


企画者の役割

美術館で開催される企画展は、一般にその館の学芸員やキュレーターが企画する。特殊な例として、ゲスト・キュレーターに企画を依頼することがある

・ビエンナーレ、トリエンナーレなどの国際美術展では、企画責任者として芸術監督が任命され、芸術監督をサポートするキュレーター・チームが編成される

・芸術監督は、展覧会のタイトル(サブタイトル)テーマ、出品作家や出品作品章立て、関連企画等を決定し、図録論文や記者発表、プレスリリース等で展覧会のテーマと作品との関係を解説する


オリヴィエ・カペラン「世界に居住する」

“I believe that among all these answers or these projections, the responses proposed by art and artists are too often neglected.”
([現代社会の危機=未来の不確実性に対して経済的、政治的、技術的側面などからさまざまな説明がなされているが]、芸術や芸術家からの解答があまりに見過ごされ過ぎているように思える)

“I believe that art offers essential answers to this crisis of our presence and our will to continue or not. This is all about living in harmony with our personal and intimate dimension.”
私たちの個人的で親密な次元において、調和のうちに生きることに対する根源的な解答を芸術は提示している)

出典:Olivier Kaeppelin, “Inhabiting the World,” Busan Biennale 2014 Main Exhibition. Inhabiting the World (Busan Biennale Organizing Committee, 2014): (15).


釜山ビエンナーレ2014の章立て

 テーマ:世界に居住する(Inhabiting the World)

第1章 動き(Movement)
第2章 宇宙と天(The Cosmos and The Sky)
第3章 建築と物の流動性(Architecture and Object's Mobility)
第4章 表象されたアイデンティティ(Identities Represented)
第5章 動物の対話(Animal's Dialogue)
第6章 歴史、戦争(The History, The War)
第7章 目撃者としての自然(Nature as Witness)


作品紹介

本展:世界に居住する
 第1章 動き

1. エリアス・クレスパン(フランス, 1965- )《湾曲する平面 4》(1)(2) 2013年

2. 隋建國(スイ・チャンクオ, 中国, 1956- )《物の痕跡》 2013年

3. 隋建國《成長》 2013年

 第2章 宇宙と天

4. ジティッシュ・カラット(インド, 1974- )《呼吸する》 2012年

5. リサイクル・グループ(ロシア)《聖なるWifi》 2013年

 第3章 建築と物の流動性

6. ハン・キュンウー(韓国, 1979- )《緑色の家》

7. メシャック・ガバ(ベナン, 1961- )《壁からカンヴァスへ―コトヌー色》(1)(2) 2008年

8. ジュリアン・ベルティエ(フランス, 1975- )《永遠の運動》 2005年

 第4章 表象されたアイデンティティ

9. クセニア・トゥルチチ(クロアチア, 1963- )《目撃者》(1)(2)  2011年

10. アッサン・スマティ(フランス, 1972- )《憂鬱》 2013年

11. アッサン・スマティ《憂鬱》 2013年

12. トリーネ・リーセ・ネドレオース(ノルウェー, 1972- )《わすれな草 3》 2004年

 第5章 動物の対話

13. ピラール・アルバラシン(スペイン, 1968- )《アスネリア(ロバ)》 2010年

14. チャン・カイユエン(中国, 1948- )《泉=小便器/小便器=泉》(1)(2) 2006年

15. チャン・カイユエン《我思うゆえに我在り》 2006年

16. キム・ミョンベム(韓国, 1976- )《無題》(1)(2) 2010年

 第6章 歴史、戦争

17. 塩田千春(1972- )《集積―目的地を求めて》(1)(2)

18. ヨセフ・ジョセフ・ダドゥネ(フランス、1975- )《砂漠の中に》(1)(2) 2009年

19. 張乾g(チャン・チェンチ, 台湾, 1961- )《チャイナ・タウン》 2011年

 第7章 目撃者としての自然

20. アンジュ・レッチア(フランス, 1952- )《海》

21. ダヴィッド・クレルボ(ベルギー, 1969- )《旅》 1993-2013年


アジアン・キュレートリアル展

 徐準皓(セオ・ジュノ,韓国)
 花田伸一(日本)
 柳淳(リュ・チュンフェン,中国)
 ジョリーン・ロー(シンガポール)

高麗製鋼工場・水営(KISWIRE Sooyoung Factory)

22. ちっご共道組合+アン・シヒュン《クレイジー・スペシャル(釜山ヴァージョン)》(1)(2)

23. 坂崎隆一、中村海坂、和田千秋《障碍の茶室》(1)(2)

24. 耿雪(ゲン・シュー, 中国, 1983- )《海公子》(1)(2)(3) 2013-2014年


ビエンナーレ・アーカイヴ展

 李健洙(イ・ケンシュ)

メタ・ビエンナーレ、ビエンナーレ再構成

1958年 第5回現代カラーリトグラフ国際ビエンナーレ/シンシナティ美術館

25. 陸根丙(ユック・クンビョン, 1952- )《ドクメンタ9 ドローイング》1992年


まとめ

 ・企画展

―企画者がテーマを設定し、テーマに沿った作品を選出して展示する

―国際美術展では芸術監督がテーマや出品作品を決定

―展示は「章立て」によって構成される

―各章のタイトルはサブ・テーマとして理解される

 ・世界に居住する

―現代世界で生き続けることに対する芸術や芸術家からの解答

―私たちの個人的で親密な次元で、調和の中で生きる

―現代美術に触れて「これからもこの世界に生き続ける」ことへの確信を新たにする