特別展 台北國立故宮博物院 神品至宝
◆特別展 台北 國立故宮博物院 神品至宝の概要 会場写真
企画展/巡回展/コレクション展
会期・会場:
2014年6月24日〜9月15日 東京国立博物館
2014年10月7日〜11月30日 九州国立博物館
◆巡回展
・海外等からの借用によって集められた作品の集合(=展覧会)を、2つ以上の離れた地域に存在する美術館で順次紹介する展覧会の形式
・海外所蔵先と日本との間の往復の輸送費や保険料、カタログ印刷費等を「共通経費」として開催館同士で分担することにより、一館あたりの経済的負担を軽減することが可能
・同程度の会場規模を持つこと、他の展覧会の会期とのスケジュール調整が必要
・会場によって出品作品に変更がある
・大手新聞社が参加し、海外との連絡調整を行うことがある
◆國立故宮博物院コレクションの歴史
1911年 中華民国建国
国民政府が皇室コレクションを接収1925年 清室善後委員会が「故宮博物院」の設置を決議
フランスのルーヴル美術館やドイツの王立博物館をモデルに1931年 満州事変勃発
故宮理事会、移送準備作業に着手。精品の箱詰め1933年 日本軍の山海関進軍
故宮文物13,491箱、北平古物陳列所等収蔵品6,066箱を上海租界へ移送1936年 南京の朝天宮に故宮博物館分院を設置
故宮文物は南京分院の保管庫へ1937年 日中戦争開始
3便に分けて、四川巴県(80箱)、楽山(9,331箱)、峨眉(7,288箱)へ移送1945年 日本降伏
3か所から重慶へ集められ、1947年末に南京へ帰還1946年 国共内戦勃発
(1947年末、故宮文物の南京帰還)
1948年 故宮常務理事会、中央博物院理事会による台湾移送
精品3,824箱 ※南遷した文物の約4分の11950年 台中県霧峰郷吉峰村(北溝)に保管庫を新設
両院の連合管理処による共同管理と調査研究1957年 北溝に陳列室を設立、一般公開
国内外の研究者の訪問に対応1965年 台北市郊外の外双渓に新館を建設
11月の孫文生誕100周年を記念して落成、「國立故宮博物院」と命名1967年、1971年、1984年、1995年、2006年の5回にわたって拡張
2015年 台北南部の嘉義県に南部分院開館予定
出典:何傳馨「國立故宮博物院の歴史とコレクション」、『特別展 台北 國立故宮博物院 神品至宝』図録(NHKほか、2014年): 11-13.
◆國立故宮博物院コレクション展
1935年 「ロンドン中国芸術国際展覧会」への出展
王立芸術院バーリントン・ハウスで開催、735件を紹介1961-62年 「中国古芸術品赴美展覧」
ワシントン、ニューヨーク、ボストン、シカゴ、サンフランシスコを巡回、253件を紹介2014年 「神品至宝」展
東京、福岡を巡回、231件を紹介
出典:何傳馨「國立故宮博物院の歴史とコレクション」、『特別展 台北 國立故宮博物院 神品至宝』図録(NHKほか、2014年): 12-13.
◆作品紹介
第1章 中国士大夫の精神
1. 《散氏盤》 西周時代、前9-前8世紀、青銅、口径54.6 高 20.6cm
2. 《秋林群鹿図軸》 遼時代 11世紀、絹本着色、縦118.5 横64.4cm
3. 馬遠《華燈侍宴図軸》、(部分)、南宋時代 12-13世紀、絹本墨画淡彩、縦119.1 横53.5cm
4. 《青磁楕円盤》 北宋時代、11-12世紀、汝窯、高 5.6 長径23 短径15.2cm
5. 《青磁円洗》 北宋時代、11-12世紀、汝窯、口径15.9 底径13.2cm
6. 《鳥形尊》 北宋-南宋時代、11-12世紀、青銅、金銀象嵌 長 34.5 高 29.3cm
第2章 天と人の統合
7. 《蟠龍文盤》 殷時代、前13-前11世紀、青銅、口径43 高 16.3cm
8. 《玉j》 新石器時代(良渚文化)、前3200-前2000年、軟玉、幅6.8-7.8 高 47.2 孔径4.2-4.3cm
9. 《白磁雲龍文高足杯》 明時代、永楽年間(1403-1424)、景徳鎮窯、口径10.9 高 9.5cm
10. 《紅釉僧帽形水注》 明時代、宣徳年間(1426-1435)、景徳鎮窯、総高 19.9cm
11. 《荷葉玉杯》 南宋〜明時代、12-17世紀、軟玉、長15.2 幅6 高9.5cm
12. 《牡丹孔雀堆黒稜花盆》、元〜明時代、14世紀、木製漆塗、径 27 高3.2cm
第3章 中国歴史文化の再編
13. 《臙脂紅碗》 清時代、雍正年間(1723-1735)、景徳鎮窯、口径9.8 高 4.7cm
14. 《紅地琺瑯彩梅竹文碗》 清時代、雍正年間(1723-1735)、各 口径15.2 高 7cm
15. 《青花雲龍唐草文五孔壺》 清時代、乾隆年間(1736-1795)、景徳鎮窯、高 29.2cm
16. 《暖硯》《五峰山字形筆架》《水盂・勺》《紙鎮》 清時代、乾隆年間(1736-1795)、琺瑯、《暖硯》:縦 17.1 横 21.1 高 15.9cm
17. 《文王方鼎》 明時代、15-16世紀、青銅、幅 10 奥行 7.9 高 14cm
18. 《翠玉印盒》 清時代、18-19世紀、硬玉(翡翠)、径 6.2 総高 2.7cm
19. 《「古稀天子之宝」「八徴耄念之宝」玉璽》 清時代、乾隆45・55年(1780・1790年) 軟玉、各辺長 13 高 10.5cm
20. 《紫檀多宝格》 清時代、乾隆年間(1736-1795)、紫檀、長 25.2 幅 25.4 高 19.9cm
特別展示
21. 《人と熊》 清時代、18-19世紀、軟玉、高 6cm
22. 《肉形石》 清時代、18-19世紀、玉髄、長 5.3 幅 6.6 高 5.7cm
東京会場
23. 《翠玉白菜》 清時代、18-19世紀、硬玉(翡翠)、幅 9.1 奥行 5.1 高 18.7cm
24. 伝関同《秋山晩翠図軸》 五代・北宋時代 10世紀、絹本墨画淡彩、縦140.5 横57.3cm
25. 《双龍彫彩漆長方盆》 明時代、万暦17年(1589)、木製漆塗、縦20 横32.1 高5cm
◆まとめ
・巡回展
― 「共通経費」による予算圧縮と事業内容の充実
―学芸員のネットワークと新聞社のネットワーク
―パッケージングとカスタマイズ
―異なる会場で展示の工夫を比較して見る楽しみ
―インターネットで出品作品の事前チェック
・アジアの古美術
―美術品というより「宝」、珍品と神業を尊ぶ
―天恵を活かし、人智を超える
―代々受け継がれて価値が高まる
―支配者の正統性の証